学校長より
洲本高等学校 学校長
越田 佳孝
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6月30日(火)15時から、本校応接室で、平成27年度県立洲本高等学校定時制振興会会議を開催しました。県立洲本高等学校定時制振興会は、昭和63年に、県立洲本高等学校定時制課程の教育の振興を図ることを目的として、洲本市長を会長に、洲本市議会議長を副会長等として設立されたものです。
当日は、竹内通弘洲本市長、笹田守洲本市議会議長、河上和慶洲本市教育長の代理の赤松利信学校教育課長、岡田昌史南あわじ市教育長、黒地禎三淡路市教育長、さらに、定時制同窓会から川端通会長、定時制育友会から伊勢勝会長にも出席いただきました。学校側からは、私と木林教頭、原田事務長、髙田教諭が出席しました。今回は、学校の概況等については、定時制生徒会の二年生の生徒にパワーポイントを使って説明してもらいました。堂々としていて、分かりやすく、出席者から大きな拍手をいただきました。彼にとって大きな自信になったことでしょう。議事は、竹内洲本市長の議長ですすみ、平成26年度の収支決算報告、27年度の予算案を審議、承認いただき、意見交換を経て、とどこおりなく終了しました。
以下は、当日の振興会会議での私のあいさつです。
本日は大変ご多用のところ、県立洲本高等学校定時制振興会にご出席いただき誠にありがとうございます。また、平素は県立洲本高等学校定時制の課程の教育に、ご理解と多大なるご支援をいただいていることに厚くお礼申し上げます。ありがとうございます。
本校定時制の課程の歴史は、1948(昭和23)年10月、太平洋戦争後、新しいというか現在の高等学校制度が発足するのと同時に始まりました。今から68年前の話です。県下で一番古い定時制です。今、現在の高等学校の制度ができあがったのが、1948(昭和23)年10月といいましたが、洲本高等学校の定時制にはさらにその前史があるのです。洲本高等学校の定時制の課程を設置して欲しいという運動です。太平洋戦争後の昭和23(1948)年1月、「働く青年のために夜間学校をつくろうという」というポスターが、洲本市内いたるところの電柱や家々に貼り巡らされました。さらに「洲本市夜間高校期成同盟」に集まった十五歳から二十歳の青年たちの市内全域にわたって行った各戸訪問で、短期間の間に約5,000人の署名が集まり、それが当時の洲本市長に提出されました。そこで、6月には洲本市の全面支援のもと、旧の洲本消防署の隣にあった洲本市立幼稚園を間借りして、「夜間高校準備教育」が始まりました。記録では6月25日から9月25日まで授業を行っていたとあります。これはまだ正式に定時制が発足する4ヶ月も前の話です。このことは毎年創立記念式で生徒に話しています。生徒たちに「誇り」を持って欲しいという意味からです。
先ほど、竹内市長のご挨拶の中にもありましたが、本来、定時制の課程は「働く青少年」に高等学校教育を保障するとして設立されたものですが、近年は何らかの事情で、小中学校時代に登校できにくくなっていた子どもたちも少なからず入学し、学んでいるというのが現状です。ちなみに小中学校時代に不登校経験を持つ生徒の割合は、平成27年度については入学生徒の30.3%、在籍生徒の38.0%となっています。全国の定時制全体では16.9%(平成25年度文部科学省調査)ですからその数値の大きさが判ります。ところがその生徒たちが4年または3年(三修制)で本校を卒業していく率(本校では学習継続率といっています)は、平成23年度からの4年間で83.7%となっています。同じ文部科学省の調査による全国の定時制全体の数値が28.8%ですから、本校では格段に多くの生徒が「学び」を達成して卒業していっているのです。私は、これは洲本高等学校定時制の「教育力」として誇りに思ってよいことだと自負しています。
こういう本校の生徒の実情に対応するための、本校定時制の取り組みをあらわすキーワードが「学び直し」です。本校でいう「学び直し」には二つの意味があります。一つは、小学校・中学校で「学び残してきた部分」を、高校生としての発達段階をも配慮してもう一度学ぶということです。あと一つは、何らかの理由で一度は高校を離れたけれども、やはり「高校で学びたい」「高校卒業の資格をとりたい」と考える人に、再度学ぶ機会を提供するという意味です。
私は、つねづね生徒には、洲本高校の定時制は、学ぶことの大切さ、すばらしさを知っている人たちの気持ちがつくりあげた学校だ。時代がうつり、生徒の状況が変化したとしてもその原点は大切にしていかなければならない。そのために、私たちは、まず学校に来ること、次に授業を受けて学ぶこと、そして学んだ成果を活かして、自らの将来の進路実現へと道筋をつけていくことだと話しています。
本日の会議は、まず冊子に基づいて本校の現状と特色についてスライドを使って説明いたします。その際には、3市から負担いただきました振興費がどのような場面で使わせていただいているかも説明いたします。
最後に、私たちの最大の課題は、洲本高等学校の定時制課程での学びを、保護者はもとより地域の方々にもしっかり知っていただき、生徒が誇りをもってかよう学校づくりを進めていくことであると考え、日々の取り組みを進めております。皆さまには限られた時間ではありますが、忌憚のないご意見を頂戴し、今後とも、洲本高校定時制課程にこれまで以上のご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。
兵庫県立洲本高等学校長 越田 佳孝
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