学校長より
洲本高等学校 学校長
越田 佳孝
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7月16日(水)に、洲本市市民交流センター(ビバホール)で、平成26年度生活体験発表校内大会を行いました。今年は、6月27日のクラス予選を通過した計8名の生徒が、友だちのことや学校生活のこと、職場でのことなどの演題で熱弁をふるいました。
生活体験発表大会は、定時制や通信制高校に通う高校生が、学校生活を通して、感じ、学んだ貴重な体験を自らの「ことば」にして発表する、定時制・通信制高校ならではの長い歴史と伝統を持つ事業です。校内大会を経た代表者は、地区大会(東播磨・淡路地区)、兵庫県大会と進み、最終は全国大会につながります。今年、全国大会は「62回」を数えるそうですが、兵庫県大会は「64回」で歴史は長いのです。それは、この生活体験発表大会が昭和26(1951)年11月に、「定時制弁論大会」として始まったからです。
校内大会の話をします。今年は、事前に生活体験発表大会とはどういう大会なのかを具体的にイメージしてもらうために、金戸先生の発案で、昨年度の兵庫県の生活体験発表大会のビデオを観てもらうことにしました。県大会に出場した各学校の生徒が、どういう内容を発表し、しかもそれをどのような方法で表現(声の出し方、抑揚、話をする間の取り方等も含めて)しているのか、を知ってもらうためにです。その取組の成果なのか、昨年以上にすべての発表者のレベルが高く素晴らしかった。それぞれの発表者が、これまでの自分はどうだったのかから始まり、洲本高等学校定時制に入学してからの、友だちや部活などの学校生活、仕事や将来のこと等を、自分が「体験したこと」、「見たり」、「聞いたり」、「感じたこと」を、自分自身の「ことば」で話していたからです。そこには「伝えたい」「話したい」「聞いて欲しい」という力強い「意志」を感じました。また、友だちの発表を聞いている生徒の姿勢もよかった。それがまた校内大会によい効果をもたらしました。
このことは昨年も話しましたが、人の前で話すこと、特にしっかり相手に伝わるように話すには、「二つの要素」が必要です。それは「話しの中味(内容)」と「話し方(技術)」です。
「話しの中味(内容)」で必要なのは「具体性」です。誰でも、どこでも当てはまる抽象的な話は、聞く者の興味を引きません。どれだけ素晴らしい内容でも「話し方(技術)」がつたないと相手に伝わりません。その反対に、いくら「話し方(技術)」(声の大きさ、スピード、抑揚、間の取り方)が上手でも、中味に具体性がないと聞く者の関心を呼びおこさないのです。
今年も、校内大会の8人の発表者のすべての内容に明確な「物語」を感じ取りました。それは「成長の物語」です。「成長」とは、昨日に比べて今日、昨年に比べて今年の「変化」を言います。これまでの自分に比べて現在の自分の「変化」です。「成長」を実感するためには、まず、昨日の、昨年の、そしてこれまでの自分に向き合わなければなりません。それは決して楽しいことではありません。時には避けたいことなのかもしれません。それを避けている限り「成長」は実感できません。自分のものにならないのです。
生活体験発表は、定時制の生徒の「成長の物語」です。その生徒たちの「成長の物語」にかかわることができる。それが定時制教育の素晴らしさでしょう。審査員席に座っていた私たちも成長させていただいた時間でした。
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