学校長より
洲本高等学校 学校長
越田 佳孝
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今日で平成26年度の課程を終了します。4月からは皆さんは一つずつ学年が上がります。進級します。2月26日の卒業式で話した言葉を覚えていますか。学校のために「学び」があるのではなく、「学び」のために学校がつくられたという、「学び」と「学校」との本質的な関係の話です。この話は5月9日の洲本高等学校定時制の創立記念式でも話しました。
洲本高校の定時制は、67年前の昭和23(1948)年10月、新しい高等学校制度が発足すると同時に生まれた県下で1番古い定時制です。実はその前の話があるのです。昭和23年の1月、洲本市内いたるところの電柱や家々に「働く青年のために夜間学校をつくろうという」というポスターが貼り巡らされました。「洲本市夜間高校期成同盟」に集まった15歳から20歳にも満たない少年たちの運動です。市内全域にわたった戸別訪問で、約5,000人の署名が集まり洲本市長に提出されました。その結果、6月から洲本市の全面的な支援で市立幼稚園を間借りして「夜間高校準備教育」が始まりました。記録では6月25日から9月25日まで授業を行ったとあります。正式に定時制が発足する4ヶ月も前の話です。学校もできていないのに「学び」「勉強」が始まったのです。テストでいい点を取りたいとか、単位が欲しいからではありません。ただただ純粋に「学びたい」と思った者が集まったのです。
学校のために「学び」があるのではなく、「学び」のために学校がつくられた。この教育と学びの本質を体現してきたのが、みなさんが学んでいる洲本高校の定時制です。こんな学校はどこにもありません。創立記念式でお話しいただいた山田廣美さんや、当日80歳を超える高齢をおして出席していただいた定時制特1回生の佐藤文作さんも本校の卒業生であることを誇りに思っています。それを守り伝えていくのが、今、ここにいるみなさんです。
私はみなさんに、まず学校に来る、そして授業をしっかり受けて学ぶ、さらには学んだ「成果」をいかし自らの将来への道筋をつける、と機会ある毎に話し続けてきました。みなさんが学んでいる洲本高校定時制は、その特色を「できる」「わかる」「つながる」の3つのコンセプトで説明できます。まず、学校に来れば、小中学校の時に学び残してきたものを学び直すことができる。さらにもう一度学びたいと思う人は再び学び直すことができるのです。これが「できる」です。学校に来て授業を受ければ、少人数で授業内容がわかるようになり、ソーシャルスキルトレーニング等を通じて相手の気持ちもわかるようになります。これが「わかる」です。そして、体育祭、文化祭、ボランティア活動、生徒会活動等の様々な学校行事によって、友だち、先輩、先生、さらには地域の人たちとつながっていきます。そしてそういう人たちとのつながりによって視野が広まり、責任感などの意識が深まり、そのことで自らの将来に道筋がつき、自分の未来につながるのです。それが「つながる」です。4月から一つ上に進級し、新入生に定時制の特色をしっかり伝えましょう。
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