学校長より
洲本高等学校 学校長
越田 佳孝
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6月25日(火)14時から、本校応接室で県立洲本高等学校定時制振興会会議がありました。定時制振興会は、昭和63年、洲本市長を会長に、洲本市議会議長を副会長等として、県立洲本高等学校定時制課程の教育振興を図ることを目的に充て設立されたものです。
当日は、竹内 通弘洲本市長、戸田 公三洲本市議会議長、河上 和慶洲本市教育長、髙田 喜代志淡路市教育長においでいただきました。さらに、定時制同窓会から細川 末勝会長、定時制育友会から竹岡 優晴会長にもご出席いただきました。学校側からは、私(校長の越田)と武中教頭、小原事務長、高田教諭が出席し、学校の概況等について資料と、スライド写真によって説明し、平成24年度の収支決算報告、25年度の予算案をご審議いただき、質疑応答、意見交換を経て、とどこおりなく終了しました。
以下は、当日の振興会会議での私のあいさつです。
本日は大変ご多用のところ、県立洲本高等学校定時制振興会にご出席いただき誠にありがとうございます。また、平素は県立洲本高等学校定時制の課程の教育にご理解と多大なるご支援をいただいていることに厚くお礼申し上げます。ありがとうございます。本校定時制の課程は、昭和23年に開設され、今年で創立66年目を迎える学校です。
本来、定時制の課程は「働く青少年」に高等学校教育を保障するとして設立されたものですが、近年は何らかの事情で、中学校時代に登校しにくくなっていた子どもたちも少なからず入学し、学んでいるというのが現状です。また、「働く青少年」というものの、昨今の厳しい経済情勢のおりから、正規雇用で働いている生徒の数は少なくなり、アルバイト等の非正規雇用で働いている生徒が多いのが実情です。
5月の上旬でしたか、私は、島内のある市の教育長から、うれしい話をお聞きしました。この3月に中学校を卒業した生徒の話です。その教育長はこう話されました。
「先日、洲本高等学校の定時制の先生が入学生の出身中学に来て、定時制に入学後の様子を知らせていただいた。その子は中学校の3年間、学校に登校できなかったが、今、洲高の定時制に毎日登校していると聞いた。その先生がうれしくなって校長に報告し、その校長が私に報告に来た。私としてもこんなにうれしいことはない。洲高の定時制の先生方が、いかに丁寧に指導してくれているかがわかる」と。
創立記念式でも話しましたが、洲高の定時制は、学ぶことの大切さ、すばらしさを知っている人たちの気持ちがつくりあげた学校です。時代がうつり、生徒の状況が変化したとしてもその原点は大切にしていかなければなりません。そのために、私たちは、まず学校に来ること、次に授業を受けて学ぶこと、そして学んだ成果を活かして、自らの就職へと道筋をつけていくことを大切にしていかければなりません。このことは、とりもなおさず、洲本高等学校定時制の教職員全員の課題でもあります。
まず、生徒が学校に来ることが全うできるためには、教育活動のすべての場面で、一人一人を大切にした丁寧な指導を心がけ、生徒たちが学校に行くことが楽しくてしかたがない学校づくり、授業づくり、教師と生徒との人間関係づくりを進めていかなければなりません。本校の定時制では少人数であることを活かし、また、今年度は1年生を運用上2クラスとして、より一層一人一人の「個」を大切にした指導を行っています。
さらには、学ぶことが楽しいと思えるような授業づくりももちろん問われるところです。本校では、全学年・全教科で基礎・基本の定着をはかるとともに、小・中学校ですでに学んだ内容や事項ももう一度しっかり身につけるようにする「学び直し」に力をいれています。また、具体的な学ぶ目標をもって頑張らせるために、3年間で卒業する「3修制」にも力を入れております。今春は3人が3年間で卒業し、現在、2年と3年で合わせて9人が3年間での卒業を目指して頑張っています。
次に、学んだ成果を進路実現(就労)につなげる取り組みにも力を入れています。現在、アルバイト等の非正規雇用を含めて就業している生徒は県内の他の定時制高校よりも格段に高く、全体で71パーセント、1年生を除く3・4年生では8割以上の生徒が仕事をしています。その非正規の就業を卒業時には何とか正規雇用に持って行くべく努力している状況です。その取り組みの一つが就業体験(インターシップ)です。昨年の5人に対して今年度は現時点で2・3年生の9人が希望しています。また、先日は、コミュニケーション能力を高める質問方法を学ぶ体験授業なども行いました(『神戸新聞』6/14、『朝日新聞』6/20)。
本校の定時制の生徒たちは、他のどの学校の定時制の生徒よりも、あいさつをしてくれますし、学校行事では校歌・応援歌を大きな声で歌います。学校に対してそれだけ愛着を持ってくれているのでしょう。教えるものとしてこれ以上のうれしいことはありません。
最後に、私たちの最大の課題は、洲本高等学校の定時制課程での学びを、保護者はもとより地域の方々にもしっかり知っていただき、生徒が誇りをもってかよう学校づくりを進めていくことであると考え、日々の取り組みを進めております。今後とも、これまで以上のご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。
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