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県西随想 ~県西歴史物語~


表現された校章、そして記念品


旗幟きしを鮮明にする」という言葉がある。旗印をはっきりすることから、考えや立場を明らかにし、主張するという意味で使われる。校章は学校を認識し、象徴する、言わば共通の「記号」である。たとえば、大阪大学の総長だった鷲田清一先生(その後京都市立芸術大学理事長・学長)のお話を大阪で聴いたことがある。その阪大の校章は、言わずと知れた銀杏いちょうのデザインだが、この銀杏は商都大阪の象徴で、銀杏並木の御堂筋に近い場所に阪大の源流である緒方洪庵の適塾があった。私も「適塾友の会」に入っていたが、この建物は現存し最近、保存耐震工事を終えた。幕末、全国から集まった多くの若者がここでオランダ語や医学、蘭学を学び、激動の明治維新をはさんで、日本の近代化のリーダーになる。慶応義塾を創設したあの福沢諭吉もここで学んだ一人であった。阪大とオランダのこの関係は、400年の歴史を持つオランダのグローニンゲン大学との交換留学など継承され、グローニンゲン大学に赴く阪大の学生たちや、来日したグローニンゲン大学の学生とある会合で話したことがあった。この鷲田先生が、今夏、興味深いことを新聞に書かれていた。福沢の『福翁自伝』から、「自分たちより外にこんな苦い薬をむ者はなかろうという見識で……ただ苦ければもっと呑んでやるというくらいの血気であった」という回想を引き、適塾では、これを知ることが何の役に立つかはわからずとも「むつかしければ面白い」という思いだけで勉学に励んだと。すごい勉学への熱意である。みな粗衣粗食の貧しい書生ではあったが「目的なしに苦学」できたのが幸いで、「我身わがみの行く先ばかり」に心を引かれていたら本物の勉強はできないと語る(朝日新聞。2018,8.9『折々のことば』)。受験科目だけ要領良く暗記し、お膳立てされた勉強だけしようとする現代の学生がいたなら、この日本の近代化に貢献した、阪大の源流の適塾の若者たちをどう思うだろうか。勉強は楽でなく、主体的にやらなければ、自分の力にならないし、誰かのせいにしても何も生まれない。
 ところで県西の校章を校旗などから見てみよう。また、布地に表現された記念品も見てみよう。①は、現在、式典などで使用されている校旗である。②は、かなり昔の紫紺の校旗。③は、定期戦で掲げられた校旗。この時、県芦の校旗は緑地に校章である。県西は青地の旗を使用した。④は、その定期戦で使用され、みんなを鼓舞してくれた応援団旗。⑤はかつて上ヶ原に移転してきた時の校舎落成記念品に見る校章。⑥は、毎年、卒業式の会場設営で張られる幕の校章である。なお、⑦は、50周年記念の手ぬぐい。⑧は現在も使われているグラウンドのクラブハウスの、竣工時の記念の手ぬぐいで、卒業生の同窓会理事のお母様から寄贈を受けたので紹介しよう。そして、最後の⑩は今日8月31日、掲げられた創立100周年の祝いの横幕で、これは、100周年記念事業実行委員会(県立西宮高等学校・PTA・同窓会)により寄贈されたものである。スクールカラーを思わせる薄い緑色を背景に、右端に応募で決まった音楽科卒業生の作品の、校章を中央に置く100周年ロゴマーク(⑨)が配置されている。来年の100周年に向けて、みんなの気持ちを一つにしてくれるだろう。
(石戸信也)

①現在の校旗(平成に入りPTAから寄贈していただいた)②紫紺の校旗
③定期戦での校旗④応援団旗
⑤落成記念 ⑥卒業式会場の幕の校章 
⑦創立50周年記念・記念品手ぬぐい 
⑧45周年記念クラブ室竣工・記念手ぬぐい⑨県西100周年ロゴマーク
⑩「祝 2019年 県立西宮高等学校創立100周年」と、ロゴマーク 

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