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県西随想 ~県西歴史物語~


宝塚歌劇100年と県西

明治44年(1911年)5月1日、宝塚新温泉が武庫川のほとりに生まれ、翌年に増設した「パラダイス」という2階建て洋風建築の中のプールが改造されて劇場になり、大正2年(1913年)7月15日「宝塚唱歌隊」が誕生した。第1期生16名の少女たちである。12月には、「宝塚少女歌劇養成会」と改称し、翌年の大正3年(1914年)4月1日、第1回公演が始まった。「ドンブラコ」「浮れ達磨」「胡蝶」の3本立てであった。こうして開始した宝塚歌劇は、今年、100周年となる。通学の阪急電車の車両にこの「宝塚歌劇100年」の装飾デザインを、毎日見ている生徒もいるだろう。
 10数年前、阪急電車が開業90周年を記念して、「阪急コレクション」というグラフィック誌を出版した。「阪急ワールド全集①」である。明治43年(1910年)3月10日の開業以来90年目ということで、阪急沿線や宝塚の絵葉書を多数、収集していた私にも阪急から依頼があり、この巻頭カラー特集は、「絵葉書で見る阪急沿線~石戸コレクションより」となった。「ターミナル探訪」「阪神間時間旅行」「懐かしの宝塚」という構成で、コレクションが紹介された。この「阪急コレクション」は車両の歴史あり、宝塚歌劇の歴史あり、ポスターやパンフレットも多数掲載され、今見ても興味深い。
 阪急文化の代表ともいうべき宝塚歌劇は、大正13年の宝塚大劇場(4000人収容)完成、昭和2年の日本初のレビュー上演(「モン・パリ」)、昭和13年には軍国化の中でも初のヨーロッパ海外公演出発、昭和15年には宝塚歌劇団と改名し発展した。大劇場は戦争で閉鎖も、戦後、再開され、宝塚市誕生と同じ日(昭和29年4月1日)、宝塚歌劇40周年記念式典が大劇場で盛大に挙行されたという。昭和49年8月に初演された「ベルサイユのばら」は驚異的な宝塚ブームを生み出した。阪急の創業者・小林一三氏によって生み出された宝塚歌劇は、宝塚市の歴史とも共に歩みながら、「世界の宝塚」に発展してきた。阪神間モダニズムと称されるモダンな文化の地域にあって、今年95周年の県西とほぼ同じ長さの歴史を宝塚歌劇も歩んできたのである。宝塚音楽学校の旧校舎を見学させていただいたことがある。県西の音楽科にも通じる豊かな文化の歴史をそのモダンな照明施設や教室に感じた。
 県西から宝塚歌劇に入団し活躍した人がいる。宝塚歌劇43期・星組の黛ひかる氏は、1956年に入団し、1962年に退団した。俳優・山崎努と夫妻である。県西の昨年の芸術鑑賞会は卒業生の落語家・笑福亭三喬氏であったが、今年の芸術鑑賞会は宝塚歌劇である。全員で鑑賞は県西の歴史でも初めてのことだろう。若い高校時代に、地域社会の素晴らしい芸術文化にふれ、それを共通の体験にする。人生の大きな財産になる。2013年執筆(石戸信也)

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