〒662-0813 西宮市上甲東園2-4-32
Tel 0798-52-0185 Fax 0798-52-0187

  1. ホーム
  2. 県西随想
  3. 県西と南オーストラリアの交流

県西随想 ~県西歴史物語~


県西と南オーストラリアの交流

今年、7月25日(日)~8月9日(月)の16日間の日程で、県西の1・2年生30名が、南オーストラリアのアデレードを訪ね、現地のAberfoyle Park High Schoolでの授業・教育活動に参加し、各家庭にホームスティして交流を深めた。県西の国際理解教育の一環であるこの海外研修を引率し、県西とAberfoyle Park High Schoolの相互交流の覚書の調印式(和泉喜久男校長先生とLIZ MEAD校長先生の署名)に出席した。この引率は、今までいろいろな海外研修旅行・海外修学旅行の引率をしてきた私自身にとっても貴重な体験となった。若い頃のパースやシドニー、アリススプリングスなど私にとってオーストラリアは初めてではないが、今回のアデレードは、現地高校の先生方や生徒たち、町の人々の親切なホスピタリティーと、またユーカリの木や野鳥の多い美しい公園都市の景観で、素晴らしい思い出になった。 
 アデレードは人口100万人をこえる大都会だが、自然も多く、市の中心部にはヴィクトリア女王の像もあり、19世紀からの歴史的な近代建築遺産が多い。それらの歴史遺産の建物には「ナショナル・トラスト」のマークがついており、まさに「大英帝国」の姿を伝える都市である。南半球の南極側に向いたアデレードは真冬。猛暑の日本から、マフラーやジャンパーを着ている真冬の世界を訪ねたわけだが、カラっと乾燥した気候で、時には強い雨の降る日もあったが、過ごしやすい、さわやかな空気であった。夏(つまり12月)は降水が無く水不足に苦しみ、各家庭には雨水を貯める大きなタンクのあるアデレードだが、7~8月は日本の晩秋を思わせるような、良い季節である。県西の生徒はこのさわやかな空気の中で、オーストラリアの歴史や文化・自然を学び、英語の力を磨いたのである。 
 県西はAberfoyle Park High School(教育目標:Respect,Care&Compassion,Honesty)と、2000年から交流を開始し、過去に180名の県西の生徒がこの海外研修に参加している。この高校は南オーストラリア州立で、生徒数約1500名、教員数120名の大きな学校である。美しい森やラグビーのグランドがあり、南オーストラリアのシンボルともいうべきマグパイや、白いパロットなど野鳥がキャンパスにやってくる。研修期間中、アデレード市内の博物館や(絶滅したタスマニアタイガーのはく製も!)、ワイルドライフパーク(コアラ、カンガルー、ポッサムなど多くの有袋類がいる)も遠足で訪ねたが、何より、この高校のあるコロマンデル・バレーは多くの緑に包まれ、2週間滞在した近くのニール先生の家にもたまに野生のコアラやクカバラ(歌で有名な、笑いカワセミ)が訪ねてくるという。まさにオーストラリアの大自然の中にあるのである。独特な楕円形のフィールドのオーストラリア・ラグビーのグランドも緑の芝が美しい。夜は南十字星が空に輝くのである。
 県西は今後、この南オーストラリアの高校とさらに交流を深める。現地へ行かなかった多くの生徒も同時テレビ授業とかあれば、いろいろ興味を持てるだろう。現地では、日本語を学ぶ生徒のクラスもある。交流はさらに進むだろう。「コアラの国」「カンガルーの国」といったステレオタイプでなく、オーストラリアの高校生たちも、毎日の学校生活を努力し、進路を模索し、部活をがんばり、いろいろ夢も悩みも持っていて、平和な世界を願っていて、県西の高校生たちと何も変わらない同じ若者たちであること、そのことを知ってほしい。2010年執筆(石戸 信也)

このページのトップヘ