県西随想　～県西歴史物語～

二つの全国大会出場―陸上競技部と写真部

記録的、歴史的な猛暑の今夏、自分が顧問をしている二つのクラブの部員が全国大会に出たので、応援、引率をした。教師生活３８年、定年の年に母校の後輩でもあるクラブの生徒が運動部でも、文化部でも全国の大舞台に立ってくれ、教師冥利に尽きると言える。生徒の日々の努力はもちろんのこと、保護者の方をはじめ、彼女たちを支えてくださっているすべての方々に感謝したい。
　全国高校総体（全国インターハイ）の女子５０００メートル競歩に出場したのは２年の籔田みのり選手。アジアジュニア選手権では１万メートル競歩に出場して各国の強豪選手のひしめく中で４位と健闘し、続く６月１６日の大津・皇子山陸上競技場で開催された全国高校総体近畿地区予選会(近畿インターハイ)では、２３分２２秒７７で優勝して、三重県伊勢市での全国インターハイに出場となった。女子競歩の種目では、すでに一昨年の岡山での全国インターハイで、先輩の県西の選手が健闘して、２位、３位を獲得している。伊勢市の三重交通Ｇスポーツの杜陸上競技場で８月３日、予選が３８度という猛暑の中、夕方行われた。この日、名古屋は観測史上初の４０度を超えていた。２組目に出場した籔田選手は最初から先頭に出てレースを引っ張り、５０００メートル（トラック１２周半）を終始、トップを維持した。２４分０５秒２４で１着ゴール。明けて翌日の決勝では、２３分３８秒３２で３位入賞し、表彰台に立った。全国の強豪の中で全国３位、本当によくがんばった。まだ２年次生。今年はいくつもの大舞台を経験した。来年のさらなる飛躍を期待したい。
　一方、長野県安曇野市で開催の第４２回全国高等学校総合文化祭の写真部門には、作品「四重奏―光」の、３年次生の野間奏衣さんが出場した。写真部は、昨年の宮城県仙台市で開催の全国総合文化祭にも３年女子が一人、出場しており、４年続きの全国大会出場。開会式のあと講演会や交流会、撮影会、表彰式や講評会と、閉会式まで３日間行事があり、写真展は安曇野市豊科近代美術館で開催された。彼女の所属する音楽科の男女生徒がバイオリンなど楽器を持ち、やわらかな光の射す階段にたたずむ光景の写真で、いつもの学校生活のワンシーンが一つの心象風景ともなるような作品である。松本市内も３８度と猛暑の信州であったが、全国から選抜されてきた高校生の若い感性あふれる優秀作品の中で、県西の生徒のこの作品も多くの方々に見ていただけた。何より、出場した他府県の写真部員との交流は有意義な時間となったに違いない。クラブ活動で全国大会まで行くというのは運動部でも文化部でもなかなかできることではない。それは彼女たちの日頃の精進のたまものであり、これからの人生で大きな財産となる。「文武両道」の言葉がある。これからも勉学にクラブ活動に、高校生活のすべてにさらなる精進を続けてほしいと願う。(石戸信也)

全国高校総体(陸上競技)　三重県伊勢市　スポーツの杜　陸上競技場

全国高校総合文化祭(写真部門)　　長野県安曇野市　豊科近代美術館