矢田川弁天淵 生き物観察会
晴天に恵まれ、頬を伝う汗をぬぐい、川の水の心地よい冷たさに夏の訪れを感じる7月21日(日)、矢田川中流域の弁天淵で長井小学校の児童を対象とした生き物観察会が開かれました。
昭和50年頃、矢田川には「弁天淵」と呼ばれる多様な生き物が生息し、地元の子どもたちの遊び場として親しまれた淵がありました。昭和55年、河川工事により川の流れが変化し、弁天淵は消失してしまいました。矢田川には同じく消失、或いは縮小してしまっている淵が数多く存在します。
かつての弁天淵を取り戻し、子供たちへ伝えていきたいとの地元住民の思いから、「弁天淵再生プロジェクト」が始まりました。環境の調査から河川改修を行い、改めて魚類・水生昆虫等の調査を行った結果、個体数・種類数ともに増加が見られ、豊かな環境と子供たちの遊び場として親しまれた弁天淵が戻りつつあります。
このイベントは、弁天淵再生プロジェクトの一環として開催されているものであり、環境調査と川に親しむ心を次世代へと継承していくことを目的としています。
本校からは2年生アクアコースの地元生が協力してくれました。川底の石にはコケがびっしりと生えており、児童生徒たちは滑らないように足元に気を付けながら調査を行いました。
生物調査では、ヘビトンボやカゲロウなど多くの指標生物の生息が確認されたほか、アユやカワムツなどが捕獲されました。
指標生物というのは川に住む生き物から、川のきれいさ、健康状態を調べようとするものであり、水質をⅠ~Ⅳの階級に分け、それぞれの水質環境の指標として設定される生物のことを指します。
特に、上述のヘビトンボやカゲロウといった生き物は水質階級Ⅰに分類され、弁天淵付近は一番汚染の少ない「きれいな水」であると判定されます。
イベントの終わりには、小学校高学年の児童に向けて本校アクアコースの紹介を行い、水産・海洋系の学科を有する本校独自の学びの環境を自身の経験と夢を交えながら伝えました。
また、アユの雌雄の見分け方や生態の解説も行いました。前述した川底のコケはアユの餌として重要であり、川を覗くとアユがコケを食べた後の食み跡が見られるかと思います。
これからも弁天淵の環境調査を継続し、川に親しみ、自然を大切にする心が育つ地域の宝物として、いつまでも愛される場所となることを願います。


