No.13_令和元年度3学期終業式 ~3月23日~

校門前の桜が一輪咲きました
明日から春休みに入ります。校内での部活動は、日数や時間に制限があるものの、やってよいということになりました。ただし新年度からのことはまだはっきりと示されていません。そこで、終業式の式辞で生徒の皆さんへ、お伝えしたことを、改めて掲載しておきます。
まず、生活のリズムを大事にしてほしいということです。寝る時間、起きる時間、バランスの良い食事、そして適度の運動と日々の学習。栄養と休養と睡眠は生活の基本です。身体と頭は使ってやることで活性化します。そうしたリズムはウイルスに打ち克つ身体づくりにもつながりますし、何といっても心が溌溂とします。もしすでにリズムを崩してしまっている人がいれば、是非今日から立て直してください。3学期の始業式で、「身の回りにある変わらない確かなものを大切にしましょう」と話したことを覚えていますか?「日々の生活のリズム」これもまた「変わらない確かなもの」です。
次に、時間はいつもよりあるはずですから、こういう時にこそ本を読んでください。10代に読む本は、ときに自分の一生に影響を与えます。そんな一冊に出会えたら、このコロナ騒動にも大きな意味があったんだと思える日が来るかもしれません。帰る前に図書館へ寄ってみることを勧めます。2冊でも3冊でも借りて帰りましょう。
また、体調さえ問題なければ、家に閉じこもっていることはありません。公共交通機関での移動や繁華街へ行くことは、不要不急のものは避けねばなりませんが、家の近くの散歩やランニングやサイクリングなどは大いにすればいいのです。随分暖かくなりましたし、今年の桜は早そうです。今朝見ると、校門前の桜が一輪だけほころびかけていました。1学期の始業式には校門前の桜は散ってしまっているかもしれませんが、近所の桜を見ながら散歩する、ついでに一句詠んでみるなどというのもいいですね。世間はコロナ騒動で大騒ぎしていますが、そうした人間界とは関わりなく季節は移ろっています。自然は偉大ですねえ。普段あまり目に留めていない身近な自然に気づける機会となるかもしれません。
そしてこれだけは忘れないでほしいのですが、今後感染が拡大することがあろうとも、冷静さを保ち、集団のパニックに巻き込まれないでください。「トイレットペーパーやティッシュペーパーが足りなくなる」というデマがネットに流れ、一時期店頭からそれらが姿を消すという騒ぎが起こりました。また、世界各地で外国人への理不尽な言動が起こっているという報道が流れています。そんな中、イタリアのある学校の校長先生が、ネットを通して生徒へ送ったメッセージの中に、次のようなことばがありましたので紹介します。
見えない敵に脅かされた時、人はその敵があちこちに潜んでいるかのように感じてしまい、自分と同じような人々も脅威だと、潜在的な敵だと思い込んでしまう、それこそが危険なのです。
分かりますか?闘う相手はウイルスなのに、恐怖心が勝手に敵を作ってしまい、平常時にはしないようなことをやってしまう。騒動が収まった後、なんであんなことをしてしまったんだろうと恥ずかしくなったり、修復しがたいほどのしこりが残ったりする。実は人類の歴史にはそういうことが繰り返されてきています。新しいウイルスに対しては、正しく恐れましょう。無責任な情報に振り回されない賢さを持ちましょう。自分だけでなく、みんなで世の中を守っていくんだという連帯への責任感を持ちましょう。SDGsを学んできている明峰生ならばきっと私の言っている意味を理解してくれると信じています。そこにこそ、明峰生としてのPRIDEがあります。明峰生としての自覚と誇りです。
今年はさまざまなイベントが中止になりました。東京オリンピック・パラリンピックの開催も危ぶまれています。大会への出場を目指すアスリートは、不安な中でトレーニングに励んでいることでしょう。ただ、この状況を自分への言い訳にしてしまう人と、この状況の中でもやるべきことを淡々と積み重ねていく人とでは、競技力だけでなく、人として大きな違いが出てくると思いませんか?確かにこの状況で元気を出せというのは無理があるかもしれません。しかしこういうときこそ自分が試されます。自分を見失わずに努力を重ねたら、それは必ずその人の姿かたちに現れます。新年度が始まったとき、あなた方がどのような面構えで登校してくるか、今から楽しみにしています。
No.12_42回生卒業証書授与式 式辞 ~2月28日~

また本日を迎えるまで、卒業生を物心両面から支え、励ましてこられた保護者の皆様、関係者の皆様にも、心よりお祝いを申し上げます。おめでとうございます。
そしてこの晴れの日に花を添えてくださっているご来賓の皆様に厚く感謝申し上げます。ありがとうございます。
さてこの三年間、あなた方は萩原台の丘の上にある川西明峰高校まで、毎日坂を上ってきましたね。この通い慣れた学舎を去り、いよいよ次のステージへの一歩を踏み出すことになります。そこで私から二つのお話をして、あなた方への餞といたします。
まずひとつは、ユネスコスクールのことです。あなた方が一年生の夏から、本校はユネスコスクールを目指して、SDGsを教育活動へ結び付けてきました。その頃のSDGsの認知度は今よりずっと低いものでした。「持続可能な開発目標」をいち早く学び、その実現を意識した活動に取り組んできたあなた方は、時代を一歩先んじています。これからの時代、進学先でも就職先でも、必ずやSDGsに出会うでしょうし、またそれを考えずにはいられない時代です。
生徒会が援助活動のため寄付を募っていましたが、本校の姉妹校があるオーストラリアで大規模な森林火災がありました。南極の温暖化、さらには新型コロナウイルスの問題など、国際的な協調を必要とする、グローバルな視点を抜きにしては語れないことが、今後ますます増えていくことでしょう。
一方、あなた方が地域でボランティア活動を行ったり、「明峰の学び」の授業で地域の方々から学んだりするようなローカルな活動は、地域の未来を支えていく大切な営みです。
そうしたグローバルとローカル、いわゆるグローカルな教育活動を行ってきた中で、昨年の夏に福島県の被災地での学び合いに参加した生徒がいました。卒業生の中にも参加者がいます。全校生への報告会の中で、「他人事(たにんごと)」ではなく「自分事(じぶんごと)」ととらえてほしいという訴えがありました。様々な課題を「他人事(ひとごと)」ではなく「我が事(わがごと)」ととらえる。SDGsの根本は「誰一人取り残さない」ということですが、まさにこの「我が事」ととらえるという意識が、SDGsの実現へつながっていきます。そしてそれは、「平和の文化を築く」というユネスコの理念へと直結します。
本校はまだ、ユネスコスクールのチャレンジ校の段階です。それでもあなた方は、川西明峰高校でユネスコの精神を学びました。それをあなた方の誇りとして胸に刻んでください。そして世の中の様々なことを「我が事」として引き受ける覚悟を持って生きてほしいのです。それは社会人としてのスタンスでもあります。
次に、二つ目は「念ずれば花ひらく」ということばです。このことばは、本校二十一回生で、プラントハンターとして名高い西畠清順さんの著書で知りました。「念ずれば花ひらく」とは、「強い思いを持って努力していれば、夢はいつか叶う」という意味で普通は使われます。西畠さんも初めはそのように解釈していられたそうですが、植物に毎日触れているうちに気づいたそうです。植物にとっては実こそがゴールであり、花はスタートの合図であると。つまり、「強い思いを持って努力していれば、夢を叶えるためのスタートラインに立てる」という解釈をこのことばに見つけられたのです。本校の野球部が選抜大会へ出場した三年後に入学した西畠さんは、高校球児として野球に打ち込む三年間だったそうです。それでも甲子園への夢は叶わず、強く念じただけでそれが必ず叶うほど世の中は甘くないことを思い知らされたのでした。しかし「強く念じていれば夢へ向かってスタートすることはできる」。このことに気づいて、大きな勇気を得られたようです。
花が咲くのは目にはっきりと見えるスタートです。しかし実際は咲く以前から、植物はさまざまな準備をスタートさせています。梅の木の幹を切ると、白梅の幹の中は白く、紅梅は紅い。桜の花が咲く直前の樹皮を煮詰めると、燃えるようなピンクの染料がとれる。木々は全身で、花を咲かせるという強い思いを持って準備を進めているのですが、それは表には現れません。花がひらいて初めて私たちは季節の訪れを知るのです。あなた方にも同じことが言えるでしょう。この三年間、さまざまな活動をして力を蓄え、世の中へ出る準備をしてきました。そして本日の卒業式は、まさに花ひらく時です。
これからの人生においても、あなた方はさまざまなスタートを切ることでしょう。新たなスタートへ向けた準備を私たちは日々行っていると言えます。自分がこれから何をしたいか、どうなりたいか。強く念じること、自分を信じることを大事にしてください。
初めにお話しした「我がごととして引き受ける覚悟」、そして「念ずれば花ひらく」、このふたつのことばを餞として贈ります。
名残は尽きませんが、いよいよお別れです。これまで「自己効力感」「自己肯定感」「自己有用感」ということばを何度となくお話ししてきましたね。それらは、他者との関わりの中で感じるものです。この先さまざまな出会いがあるでしょう。出会いは人を育てます。あなた方ひとり一人が、これからの人生においてすてきな出会いに恵まれ、豊かで潤いのある人生を進まれることを願い、以上を以って式辞といたします。
令和二年二月二十八日
兵庫県立川西明峰高等学校
校長 中川 透
No.11_川西明峰高校のグローカルな取り組み ~2月28日~

2月1日(土)に行われた川西市による「いのちと心のセミナー」(自殺対策強化月間における啓発事業)に、ダンス部がアトラクションとして出演しました。



【SDGs目標11:住み続けられるまちづくりを】



【SDGs目標17:パートナーシップで目標を達成しよう】

2月12日(水)に、「明峰の学び発表会」を行いました。2学期に、地域の方々を講師にお迎えして、4週間にわたってご講義いただきましたが、そこでの学びを講座ごとにまとめて発表しました。





No.10_川西明峰高校のSDGs への取り組み ~1月31日~

なおかつ石炭火力発電を増やしている日本のスタンスは諸外国からの批判にさらされました。このような状況の中、私たちひとり一人も地球温暖化による気候変動について真剣に向き合う必要があります。【SDGs目標13:気候変動に具体的な対策を】
延期となった1月9日(木)の始業式のあと、毎学期始めに行っている「命の大切さ」講演会がありました。今回は川西南消防署久代出張所長にお出でいただき、消防士の観点からの「命の大切さ」についてのお話をいただきました。

所長さんは本校の卒業生でもあり、ご自分の高校時代のお話も交えながら、後輩の高校生に熱心に語りかけてくださいました。
【SDGs目標11:住み続けられるまちづくりを】




1月17日(金)は私たち兵庫県民にとって特別な日です。この日を決して風化させないために、毎年追悼行事を行っています。犠牲者を悼むと共に、命あることに感謝し、そしてその命を次代へつなぐために大災害に対する教訓を再確認する日だということを念頭に置いて、黙祷を行いました。



【SDGs目標17:パートナーシップで目標を達成しよう】



【SDGs目標17:パートナーシップで目標を達成しよう】

そのあと、その授業を踏まえて研究協議が行われ、これから高等学校で力を入れようとしている探究学習について熱心に意見交換が行われました。さらに神戸大学からお招きした准教授による講演もあり、探究学習について実践的で大変参考になる示唆を頂きました。これからの教育活動の推進に大いに生かしてまいります。

No.9_明峰生のコミュニケーション力~12月24日~
5月に改元した令和元年も、あと1週間ほどで年が改まります。期末考査後校内外でさまざまな行事がありましたが、明峰生はプレゼン能力を発揮しました。
12月18日(水)に校内でグローバル・コミュニケーション生徒発表会を行いました。全校生徒の前で4つの発表がありました。




いずれの発表も、自分の体験や調査からの発表でしたので、自分のことばで伝えていました。この発表を聞いて、「次は自分が」と感じてくれる生徒が一人でも増えればうれしいと思います。
12月19日(木)には、第1学年が「カタリバ」を行いました。大学生が40人以上本校に来られて、自分のさまざまな思いをグループに分かれて語ってくれるのです。高校生も、年の近いお兄さん、お姉さんには心を許しやすいのか、初対面とは思えないほど話し合っていました。そして大学生が真剣に語る話に感動している姿が、とても新鮮でした。


明峰生がさまざまな形で、さまざまな場所で輝いているのを感じます。これからも、彼らがもっと輝く場所を提供していきたいと思います。
では、みなさまが良い年を迎えて、令和2年度へ良いスタートが切れることをお祈りします。
No.8_明峰だより~11月24日~

8日(金)から、4週続く「明峰の学び」の授業が始まりました。今年で6年目となるこの取り組みは、総合的な学習(探究)の時間の中で、1,2年生全体を25講座に分けて行います。地域から講師をお招きし、それぞれのご経験を生かした講座を開いていただいています。
4回の講義を受けて学んだことを、後日まとめて発表します。講師の方々の叡智に富んだお話などから、生徒には探究の糸口を見つけて欲しいと期待しています。



防災プログラムとしては、夏休みに福島県を訪れた生徒が防災ワークショップを行いました。プレゼンの中で、現地を訪れて初めて知る被災地の現実を、熱心に伝えました。通訳を介してではありましたが、プレゼンに対する質疑応答が熱っぽく交わされました。

他にも、授業体験や部活動体験を行い、全校を挙げ、丸一日をかけてたっぷりと交流することができました。夕暮れが迫る中、本校生が人間アーチを作ってお見送りしました。
この日の出会いがさらに実りあるものとなるよう、これからの教育活動に生かしていこうと思います。そして日中友好の証としての記念の樹々を、これからも大切にしてまいります。
No.7_グァムでの学校交流 ~10月31日~

10月22日(火)から25 日(金)に2年生が修学旅行でグァムへ行きました。私も団長として一緒に参りました。天候に恵まれ、時折のスコールもスケジュールに障ることはなく、学校交流やマリンスポーツなどのプログラムを予定通り行うことができました。雨が降ると気温が下がり、むしろ凌ぎやすくなります。熱帯のグァムよりも、真夏の大阪の方が暑いような気がしました。


そのほかにも、ダンスを披露し合ったり、代表選手によるバスケットボールの対抗試合をしたりと、さまざまなプログラムで交流しました。
学校を離れるときに、バスの中へ飛び込んできて「愛してる!」と叫ぶ女子生徒がいました。教えてもらったばかりの「love」の日本語を自分のバディに伝えに来たのでした。数時間の交流でしたが、互いに心に残るものとなったことでしょう。バスの中にも外にも、名残惜しそうに手を振る姿がありました。

No.6_2学期に入っても暑い! 明峰生も熱い! ~9月17日~
2学期の始業式は、昨年の10月にできたばかりのキセラ川西プラザにあるキセラホールで行いました。前号でもお伝えしたとおり体育館はこの夏に大規模な改修工事を行うため、始業式に使える確証がなかったためです。この日も朝から日差しが強くて暑くなりましたが、クーラーの効いたホールで快適に行うことができました。
始業式の式辞では、スウェーデンの高校生、グレタ・トゥンベリさんが、ニューヨークで開かれる国連の会議に出席するためにヨットで大西洋を渡った話を紹介し、自分の信じるように発言したり、行動したりする勇気を持ってほしいということを伝えました。
始業式後には、生徒会長から「自転車マナーと交通安全」についての話がありました。これは、7月の明峰だよりでお伝えしました、各学年各クラスのHRでの話し合いの総括です。多くのクラスで出てきた意見について、みんなで守っていこうと全校生に呼びかけてくれました。こういうことをみんなできちんと話し合ったこと自体にも、大きな意味があると言えます。
本校は毎年2学期の始業式のあとに「命の大切さ講演会」を実施しています。今年度は教育サポーターの仲島正教さんを講師にお迎えしました。様々な事情を抱えた子どもたちと向き合い、迷いつつも真摯に向き合ってこられた教員としての数々のご経験を元にお話しいただきました。ときにはユーモアを交え、ときには切実な心情を訴えるお話に、時間の経つのを忘れました。生徒にとって心に残る講演となりましたが、教員にとっても、考えさせられたり、明日からの教育活動のヒントになったりすることがたくさんありました。2学期の始まりに、とてもいいお話を聞かせてくださったことに感謝申し上げます。


No.5_夏休み中も輝く明峰生 ~8月16日(金)~
夏休みに入ってからも、補習、面談、部活動等で、明峰生の姿を大勢見かけます。夏の日差しのもと、暑さをものともせずスポーツに汗を流している運動部の生徒には、感心するだけでなくうらやましく思ってしまいます。自分も学生時代はあのように走り回れていたのになあと。
体育館がこの夏に大規模改修工事をしているため体育館関係の部の活動は校外が中心です。市の体育館や近隣の小学校の体育館をお借りしたり、他の高校と合同練習や練習試合をしたりしています。いろいろな学校や施設にお世話になり、大変感謝しております。ありがとうございます。
さて、前号でもお伝えしましたように、7月29日(月)にアステホールにおいて学校説明会を開きました。中学生とその保護者を合わせて200名以上の方々がご参加くださいました。本校の施設でできないのを補うためにも、できるだけ本校生の姿を見ていただこうというコンセプトの企画です。生徒会や文化部、有志の生徒、さらに数人の卒業生も併せて104名が協力してくれました。
オープニングは、演劇部とダンス部と吹奏楽部のコラボによる寸劇。たちまち参加者の心を捉えました。学校紹介やグローバルキャリア類型の説明も生徒が行い、そのあとの本校生・卒業生との座談会で、より深く本校のことを知ってもらいました。最後を締めくくったのは、放送部が制作した部活動紹介動画です。そのほかにも、茶華道部が花を生け、美術部が横断幕を作成して、会場を華やかに彩りました。このようにして全校を挙げてお迎えしましたが、ご参加くださった方々の目に、本校生はどのように映りましたことでしょう。
夏休み中も、いろんなところでチャレンジする明峰生がいます。
8月2日から12日まで、オーストラリア研修が行われました。姉妹校のオギルビーハイスクールとニュータウンハイスクールとを訪問しました。ホームステイをして、英会話や異国文化を学んで帰ってきました。
8月20日から22日まで、福島県の浪江町へ行く生徒もいます。東日本大震災で大きな被害を受けた地を訪れて、現地の方々と交流してきます。どのようなことを学んで帰ってくるかを期待しています。
8月21日から22日には、日中ESD/SDGs学び合い交流会に参加して、姫路市立安富北小学校へ行く生徒もいます。近畿・北陸地域のASPnet校が、小中高の垣根を越えて集まり、そこへ中国からの参加者も加わります。「持続可能な開発」についての深い学び合いができるものと大いに楽しみにしています。
こうした学びをしてきた成果は、全校生徒の前で発表してもらう場を用意するつもりです。このひと夏で、ひと回り大きく成長した姿を見せてもらいたいと思っています。
そのほかにも、近隣の藤ヶ丘幼稚園や川西北幼稚園で育児体験に行く生徒もいます。地域の夏祭りなどで音楽やダンスを披露する部活動もあります。夏休み中は、平常はできないことに思い切って取り組むことができます。そうした生徒の輝く姿をいろんなところで見ることができ、2学期の始業式が今から楽しみです。
No.4_1学期の締めくくり そして夏休みへ ~7月23日(火)~
昨年度の猛暑に比べ、今年の暑さはまだしのぎやすく感じられます。しかし、遅く始まった梅雨が明けるのも目の前。本格的な暑さはこれからなので、油断は禁物です。
7月は期末考査に始まり、考査後はさまざまな行事が行われました。昨夏の集中豪雨で水浸しになった体育館の改修工事がこの夏にようやく行われることになり、体育館が使えません。それでも前半までは使えることになったので、急遽ミニ球技大会を各学年で実施しました。賑やかな歓声をあげながら、考査での運動不足を発散させていたようです。【SDGs目標17:パートナーシップで目標を達成しよう】
LHRでは、クラスで話し合う機会が持たれました。ひとつは人権ホームルームです。各学年がそれぞれのテーマについて話し合いました。私が見学した2学年のクラスでは、2学期に修学旅行でグアム島に行くということもあり、まずはグアム島と同じく先住民チャモロ人の島であったテニアン島が抱えている問題について、新聞記事を用いながら学習しました。その後、自分たちの身の回りでも起こる例を挙げて、多文化共生について話し合いました。どの問題もすぐに解決できるものではありませんが、「交流」が大切だということを伝えてまとめとしていました。【SDGs目標16:平和と公正をすべての人に】
もう一つの話し合いは、自転車の安全についてです。日頃から交通マナーについて注意を受けたり、小さな交通事故が起きたりしています。交通事故が起きないよう、自分や他者の命と安全を守れるよう、各クラスでグループディスカッションを行いました。これも先ほどと同様、すぐに解決策や正解の出るものではありません。しかし高校生なりに考えられる意見を出し合っていました。こういうことについて、友達同士で話し合う機会はあまりないのではないかと思います。自分たちのこととしてきちんと向き合って話し合う、そのこと自体に大きな意味がありました。【SDGs目標11:住み続けられるまちづくりを】
7月9日には、1年生GC類型による「英語暗唱大会」が行われました。GCオープニングセッションの中で練習し、発表を行い、選抜された代表6人の暗唱です。何も見ずにまとまった英文を暗唱するだけでも難しいことですが、優勝者は、視線や手振りを上手に使って相手に伝えようとする意欲が感じられました。【SDGs目標4:質の高い教育をみんなに】
7月19日の終業式は、体育館が使えないため放送を通じて式辞を述べました。マイクを通して、「対等な人と人との学び合いから平和の文化を築く」ということについて話しました。そして「平和の文化を築く」ためには学ぶことが必要だと。これは、ユネスコ憲章の根本に流れる理念です。この夏休みに生徒のみなさんがどんなことを学び、どれほどの成長した姿を2学期に見せてくれるのか、それを楽しみにしています。
改修を終えた体育館も、2学期にはきれいな姿を見せてくれることでしょう。ただし始業式はキセラホールで行い、命の大切さを考える講演会を予定しています。
さて、中学生やその保護者の皆さま、7月29日(月)14時から、川西能勢口にあるアステホールにて第1回学校説明会を行います。学校紹介だけでなく、在校生や卒業生との座談会も行います。是非お越しください。
No.3_盛り上がった文化祭 ~6月21日(金)~
6月13日(木)14日(金)の二日間にわたって、明峰文化祭が行われました。日頃の精進のおかげか、心配された天候に恵まれ、大いに盛り上がる二日間となりました。
今年のテーマは、「みんなちがって、みんないい」です。このことばは、有名な金子みすゞさんの「私と小鳥と鈴と」という詩の一節です。
そして副題が
- We are all born Superstars! -
(我々はみんな生まれながらのスーパースターだ!)
というものです。
鈴も小鳥も私もそれぞれできないことがあるけれど、得意なこともある。そうしたあなたがいて私がいる。あなたのおかげで私がいる。あなたの存在に私もどこかでかかわっている。あなたと私、どちらも大切。そんな思いが「みんなちがって、みんないい」のフレーズに凝縮されています。お互いがそれぞれの違いを認め合い、それぞれの営みにリスペクトし合い、そしてひとりひとりが輝ける。
- We are all born Superstars! - なのですね。
文化祭の開会式で、私はこうお話しました
「すごいことができるのがスーパースターなのではありません。かけがえのない存在であることがすでにスーパースターなのです。」と。ひとりひとりの存在のかけがえのなさに気づき、認め合い、生かし合うのが文化祭の意義でしょう。
1日目は、ダンス部の目を奪う踊りで幕を開けました。コーラス同好会と吹奏楽部の素敵な演奏、理科部の学術的な発表、演劇部のマクベスをアレンジしたシリアスな舞台。午前は文化部の演技が全校生徒を魅了しました。午後の体育館では文化部・有志の歌やダンス等がありました。
2日目の午前中は、1年生のコーラスです。入学後まもなく、練習時間が十分にとれない中で、どのクラスも素敵なハーモニーに仕上げてきました。午後の体育館では、この日も文化部・有志の演奏やダンスがありました。
そして体育館以外では、両日ともに中庭で3年生と家庭科部の模擬店がいい匂いをふりまき、大いに賑わいました。また、校内随所に2年生や文化部等の作品が飾られ、それぞれ工夫を凝らした展示を披露しました。
文化祭は2日間だけですが、そこへたどり着くまでの積み重ねこそが大切な日々です。まさに【SDGs目標17:パートナーシップで目標を達成しよう】を具現化した行事です。さらに今回の発表の中に、理科部による蝶の研究がありました。これは【SDGs目標15:陸の豊かさも守ろう】に通じます。2年5組のクジラのソーラーバルーンは【SDGs目標7:エネルギーをみんなに そしてクリーンに】へとつながります。そしてさまざまなものを作った後で、その材料を丁寧に分別してリサイクル等に回すことができれば、【SDGs目標12:つくる責任 つかう責任】を考えることになります。文化祭というひとつの行事が、ESD(Education for Sustainable Development=持続可能な開発のための教育)へさまざまな形でつながる可能性があるのです。




No.2_令和の幕開け 初夏到来 ~5月8日(水)
10連休の間に、皇位継承、改元が行われ、令和の時代を迎えました。長い休みでリズムを崩していないか心配しましたが、令和初日の5月7日は、ほとんどの生徒が元気よく登校していて安心しました。
始業式・入学式から約1ヶ月が経ちました。
1年生にとっては、環境が大きく変わり、めまぐるしいひと月だったことでしょう。1泊2日の生活合宿を経て、クラスの親睦が深まり、高校生活にも随分となじんできているようすがうかがえます。クラブに入って、先輩とともに活動に励んでいる姿も目にします。きっとこれから、楽しさも厳しさも含めた本当の意味での高校生活の醍醐味を味わっていくのです。
2年生は後輩ができました。周りから頼られると、人は成長するものです。教えられる方も学びますが、教える方もまた学びます。そうした学び合いの中で、ともに成長していくのです。そして2年生は万博記念公園へ遠足に行きました。大阪(伊丹)空港に集合したのは、2学期の修学旅行の予行演習を兼ねているからです。国立民族学博物館では、オリエンテーリングの趣向を凝らすなどしたこともあり、時間を惜しむほど熱心に見学したようです。お祭り広場での大縄飛びで、クラスの輪が広がる1日となりました。
3年生は、いよいよ高校生活最後の年がスタートしました。授業にも緊張感が高まっていると聞いています。これまで培ってきたものを消化して表現する、それのできるのが3年生です。それらを成果として発揮させるために最も大切なのが1学期と言われます。張りのある毎日を送り、充実した夏休みにつなげてほしいと思います。さて3年生の遠足は奈良公園です。集合場所は興福寺・五重塔前でした。川西からは遠いですが、これからさまざまな進路に向けてひとりであちらこちらへ行かねばならない3年生にとっては、ちょうどよい機会でした。みんな無事集まって、古都の初夏を楽しみました。
生活合宿や遠足は、【SDGs目標17:パートナーシップで目標を達成しよう】に合致した行事です。次の大きな行事である文化祭にうまくつながることを期待しています。
さて連休が明けると、中間考査が迫っています。日頃の学習の成果が試されるときです。テストの点数は気になりますが、大事なのはテストに臨むまでの努力です。前向きな気持ちで取り組んで、自分の学力を精一杯発揮してほしいと願っています。
No.1_入学式が挙行されました ~4月8日(月)

ただいま、入学を許可いたしました二百八十名の新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。私ども教職員、並びに在校生一同、心から皆さんの入学をお祝いし、歓迎いたします。
本校は、昭和五十一年に創立され、今年で四十四年目を迎えます。校歌にもありますように、本校は、猪名川を見下ろす自然豊かな高台に立地し、古くは源氏の武士(もののふ)が心と体を鍛えた由緒ある場所でもあります。このような環境のもと、創立以来の校訓である「自主」「創造」「礼節」「友愛」を理念として掲げ、教育活動に邁進してまいりました。
具体的には、「自己効力感」(自分にもできるかも)、「自己肯定感」(自分にもできるんだ)、「自己有用感」(自分が世の中とつながり、役に立っている)、これらを生徒自身が実感し、そうした思いを育むことを目的と定めて、「安全・安心な学校づくり」「基礎・基本の確実な定着と創意工夫と活力に富んだ教育活動の展開」「学校・家庭・地域との連携」を本校の学校経営の重点に定めています。
さて、新入生の皆さんはユネスコという組織を耳にしたことがおありでしょう。ユネスコは、国際平和と、人類の福祉の促進を目的とした国際連合の専門機関です。そのユネスコ憲章の前文に次のように書かれています。
戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない。
次の元号にも平和の和の字が用いられています。平和はすべての人の永遠の願いでもあります。そうしたユネスコの理念を掲げたユネスコスクールに、本校は現在チャレンジしています。そこで、学校全体の教育活動を「Steps to My Dreamプロジェクト」と命名し、本校が展開している様々な教育活動すべてを、国連が提唱するSDGsという持続可能な開発目標の十七項目に照らして、今自分たちがやっていることはどういうことにつながり、どのような意義があるのかを可視化、目に見える形で示しています。そうすることで、先ほど申し上げました生徒の「自己効力感」「自己肯定感」「自己有用感」を育むとともに、併せて、高大接続改革答申で示されている「学力の三要素」、すなわち、「基礎的な知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「主体性をもって多様な人々と協働して学ぶ態度」をバランスよく身に付けることを目指します。
新入生の皆さん、今日から高校生としての第一歩を踏み出します。きっと、夢と希望に満ち溢れていることでしょう。この門出に際して、ひとつのことばを贈ります。それは、「本当に自分を大切にする」ということです。
本当に自分を大切にする人は、目の前の課題に前向きに取り組み、自分を鍛えます。
本当に自分を大切にする人は、必ず身の回りの人をも大切にします。
もっと自分を大切にする人は、身の回りの人に関係する人や物や環境をも大切にします。
さらに自分を大切にする人は、見聞を広め、あるいは想像力を働かせて、未知の人や物や環境のことを考えます。
皆さんの前には無限の可能性があります。しかし私たちの人生は有限です。その限られた人生を精一杯生ききるために、高校の三年間を充実させましょう。何かに本気になって取り組みましょう。互いに切磋琢磨し、ときにはぶつかり合い、そして認め合いつつ、青春を謳歌し、地域に愛される川西明峰高校生として、これまでの伝統の継続と伝統の創造に加わってください。
最後になりましたが、保護者の皆様、本校へのご入学を心からお祝い申し上げます。本日確かに、お子様をお預かりいたしました。卒業する時には、川西明峰高校に入学させてよかったと喜んで頂けるよう努力してまいります。保護者の皆様や地域の皆様と手を携え、お子様の教育に全力で当たります。どうぞ、本校教育に対するご理解とご支援をよろしくお願いいたします。
それでは新入生の皆さん、今皆さんの胸にある感激や決意をこれから育てて行き、学習に、部活動に、持てる力を思う存分発揮してください。本校での生活が人生における貴重な三年間になることを祈念しまして式辞といたします。
平成三十一年四月八日
兵庫県立川西明峰高等学校
校長 中川 透