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明峰だより

本校の校長が編集長となり、学校の様子をコラム形式でご紹介します。

No.8_令和5年度3学期始業式 校長講話

 
 皆さん、おはようございます。お正月はゆっくりできましたか。
 
 今年は元旦から、とても悲しい出来事が起きました。石川県の能登半島で発生した震度7を超える地震は、一瞬にして多くの建物を破壊しました。沿岸部では強い津波が押し寄せ、家屋を飲みこんだ場所もありました。昨日の段階でこの地震による死者168名、未だ323名の方々の安否が不明です。また、発生から9日が経過しましたが、土砂崩れで道路が寸断され孤立状態になっている集落もあります。被災地の各地に設けられた避難所には約3万人が避難しています。飲料水や燃料、食べ物や毛布などの救援物資が届いているものの、まだまだ不足状態であり、避難されている方々は厳しい寒さの中、とても不便な生活を続けています。避難されている方々の中には、地震で家族を失ったり帰る自宅が倒壊していたり、深い悲しみの中で避難生活に必死に耐えている方もたくさんいらっしゃいます。
 
 このような状況を、皆さんも映像で何度も見たことと思います。私は29年前に阪神淡路大震災での避難生活を経験していますので、避難されている方々の苦しさや不安がそれなりに伝わってきます。体育館の床が冷たくて眠れなかったこと。食べ物がなくて空腹状態だったこと。トイレが汚物だらけでできなかったこと。顔や手を洗えなかったこと。テレビを見ているとあの時の辛い記憶がよみがえってきます。
 
 私の自宅は幸い損壊が少なかったため、避難生活は2日間程度でしたが、その後、その避難所でボランティアをすることにしました。最初、とにかく物が足りない状況でしたが、3日後から次々に支援物資がトラックで届くようになりました。また、全国各地からボランティアの方々が来てくださり、一生懸命になって炊き出しをしたり、物資の仕分けや配給を手伝ってくれたりしました。支援物資を送っていただいた方々やボランティアに来ていただいた方々には、今でも心から感謝しています。人の暖かさや親切心を身をもって感じました。
 
 石川県の被災地はまだ、自衛隊や消防といった専門家が、倒壊した家屋や崩れた土砂の中から人を救出している段階で、私たち一般人が現地に行って被災者の方々を直接支援することはできません。
 
 じゃあ、いま私たちは被災者の方々に対して一体何ができるのでしょうか。皆さん今回の大災害を自分事として考えてください。そして、何でもいい。行動してください。

No.7_令和5年度2学期終業式 校長講話

 
 とても寒い朝をむかえました。体育館も相当冷えていますので、できるだけ短くはなします。
 
 最初に皆さんにお礼を言いたいと思います。
 
 12月5日(火)から予定されていた期末考査ですが、インフルエンザの感染拡大により多くのクラスを学級閉鎖としたため、6日間延長して11日(月)からの実施としました。直前の予定変更となり、皆さんもかなり動揺したのではないでしょうか。
 
 また、残念ながら、期末考査の延期により、楽しみにしていた球技大会や幼稚園児との凧あげ交流が中止となってしまいました。
 
 過半数を超える計11クラスが閉鎖される中、期末考査はとても実施できないと判断させてもらいました。皆さんの中には、「12月5日に合わせ、せっかくバッチリ勉強してきたのに」「期末考査のために、感染予防をしっかりしたのに」と悔しい思いをした人も多いと思います。
 
 学級閉鎖とならなかった10クラスの生徒の皆さんも、12月11日に延期された期末考査まで、登校を続けてくれました。中には、この間に感染してしまい、期末考査に間に合わなかった人もいると思います。
 
 そんな中でしたが、インフルエンザ感染もおさまり、12月14日には無事に期末考査を実施することができました。これも、皆さんの理解と協力があったからこそと感謝しています。ありがとうございました。
 
 今日は、このお礼をもって校長講話とさせてもらいます。

No.6_「学校をきれいに」 頑張っていただいた皆さんに感謝

 
写真1

写真1

 写真1は8月22日、男子トイレの小便器を一生懸命に磨いている本校男子生徒の様子です。夏季休業中、自習のため登校してきた3年生の生徒たちが、長期間掃除がされていないトイレを自主的にきれいにしてくれました。この生徒たちに感謝です。 
 トイレ掃除を嫌やがる人は多いと思います。なぜなら、人の汚物のよごれを落とさないといけないからです。不快な匂いがすることも理由でしょう。人が避けたがるトイレ掃除を率先して行うことは、嫌なことや辛いことでも自ら進んで取り組むことに繋がっていきます。「トイレ掃除をしっかりできる者は、勉強もしっかりできる」と私の恩師たちからそう教わってきました。勉強、とりわけ受験勉強はまさに嫌なこと辛いことの代表です。この生徒たちは受験という試練を自らの努力できっと乗り越えてくれると確信しています。
 
写真2

写真2

 写真2は9月21日、本校の技能職員の方々に、教室棟東階段のタイルを磨いた上に、ワックスを塗っていただいている様子です。
 この場所は、毎日大勢の生徒や職員が行き来するため、タイルが特によく汚れます。厳しい残暑の中、中腰で行う地道な作業には、体力と根気が必要だったでしょう。おかげで見違えるようにきれいになりました。感謝の気持ちを持って、ピカピカの階段を歩きたいと思います。ありがとうございました。

No.5_心優しき明峰生たち~小さな命の救出劇~

 
 9月17日(日)、ある運動部の2年生の生徒たちが校内に閉じ込められ出られなくなった小鳥を救出しました。閉じ込められたのは教室棟東側1階階段横の倉庫です。階段踊り場と天窓の細い隙間から落下し、倉庫から出られなくなったのです。休日の部活が終わって自転車で帰ろうとした時に、脱出しようとパタパタしている鳥を生徒たちがガラス窓越しに発見しました。このままにしていると小鳥が死んでしまうと判断した彼らは、自転車を降りて校舎内に入り救出に向かいます。
 
 最初は倉庫の中から窓を開ければ、簡単に救出できると思っていたところ、窓の前には大きく重いロッカーが立ちはだかり窓を開けることができません。ロッカーを動かそうとしたのですが、全く動かなかったため、中に保管されていたファイル類を取り出し、ロッカーを軽くしてから皆でロッカーを動かし窓との隙間を作りました。しかし、これでも小鳥が羽を広げて飛び立つほどの隙間はできません。だんだん小鳥が元気をなくして弱り始めています。そこで、彼らは小鳥が侵入したと思われる天窓の隙間を思い出し、校舎の外から天窓に箒を差し入れ、柄を使って天窓下の窓の錠を突っついてようやく解錠。窓が開いた途端に小鳥は慌てて飛び立っていきました。長い長い救出活動の間、近くの木にとまっていた親鳥が「チュンチュン」と心配そうに鳴き続けていたそうです。
 
 「人を大切に 命を大切に」 心のサポート事業や人権学習で、我々教職員が生徒に伝え続けているメッセージです。今回の生徒たちの行動は、我々のメッセージに対する返答と受け取ります。この心優しき明峰生たちに心から讃辞を送りたいと思います。

No.4_学校環境の整備進む~事務室の皆さんありがとうございます~

 
 今年度に入り、学校のあちこちで施設や設備の整備が進んでいます。玄関の配置換え、部室横の水道・石垣の修繕、3年生教室や階段のPタイルの貼り替え、本館1階・管理棟1階廊下のワックスがけ等、日に日に学校がきれいになっていくのがわかります。これも事務室の皆さんの頑張りのおかげと感謝しています。
 今後も、体育館の床の塗装工事や、阪神昆陽特別支援学校の生徒の協力を得て3年生教室のワックスがけを行う予定になっています。さらに学校環境が良くなっていくことを楽しみにしています。
 

本館1階廊下

本館1階廊下

 
部室横の水道と石垣

部室横の水道と石垣

 

No.3_2学期始業式 校長講話

 
 おはようございます。長い夏休みが終わり、今日からいよいよ2学期が始まりました。皆さんは夏休みをどのように過ごしましたか。
 
 今日は私の少年時代の話をします。夏休みも8月のお盆を過ぎると、私は日を追う毎に焦りや不安を感じていました。その焦りや不安の要因は何かわかりますか。宿題です。私は、いやなことはいつも後回しにするのんびり屋の少年でしたので、特に中学時代や高校時代の夏休み最後の2,3日は、必死で宿題を仕上げていました。時には、同じ焦りや不安を抱える友達の家で「宿題合宿」と称して、夜を徹して協力しながら宿題と格闘したこともありました。8月終盤は毎年憂鬱な日々を送っていました。少年の頃のことがトラウマとなっているせいか、9月1日が近づいてくると、今でもなんとなく気が重くなってしまいます。
 
 皆さんの中にも、「学校に行くと嫌なことが待っているので、できれば学校に来たくなかった」と、9月1日が来ることを憂鬱に感じていた人がいるかも知れません。逆に、「友達と早く会って話をするのが楽しみ」と、今日の日を首を長くして待っていた人もいるでしょう。今こうして始業式を迎えている皆さんの思いは様々なんでしょうね。
 
 皆さんは多感な思春期を送っています。友達や家族との関係、自分自身の中にあるコンプレックス、勉強や進路のつまずきなど、少なからず悩みを抱えている人がほとんどだと思います。夏休み中は、人との交わりが減り、一人になる時間が長いので、ついつい深く考え悩みを増幅させてしまいがちです。皆さんの中には、悩みが大きくなりすぎて、どうしたらよいかわからなくなっている人もいるかも知れません。
 
 そこで皆さんにお願いがあります。悩みを一人で抱え込んではいけません。小さな悩みでも構いませんから身近な友人、家族、先生に相談してください。きっと、悩みを和らげてくれます。身近な人に相談しにくいのなら、電話やメール等ですぐにアクセスできる「ひょうごっこ悩み相談」などの相談窓口があります。保健室前に相談先の情報がいくつも掲示されていますので是非確認をしてください。自分のことを大切にしてくださいね。
 
 では、まだまだ暑い日が続きますが、健康には十分気をつけて学校生活を送ってください。
 

 

No.2_ 1学期終業式 校長式辞

 
おはようございます。
 
今日は、生徒の皆さんのこれからの成長につながる話をしたいと思います。よく聞いて考えてください。
 
話というのは人の顔についてです。
 
人の顔には耳と目と口があります。それぞれいくつありますか。
耳は2つ。目は2つ。口は1つです。
なぜ口だけ1つなのかな。
 
ここでは生物学的な話は抜きにして、哲学的に私はこう思っています。
人は社会的な動物です。常に他の人とコミュニケーションをとりながら生きていかないといけません。
 
耳が2つもあるのは、まず、人とコミュニケーションを上手くとるためには、相手のことをしっかり聞かないといけないからです。また目も2つあるのは、相手の表情や場所をよく観察し、ふさわしい会話をするためです。
 
しかし、口は1つです。耳や目の数の半分です。それはなぜかというと、口を開いてしゃべるのは、必要な時だけでいいからです。逆に、余計なことをしゃべらないようにするため数が少ないのです。
 
だから、まず耳で人の話をしっかり聞き、目で相手や周囲の様子をしっかり観察してから、自分の話をすることが社会的な動物である人間には大切なのです。
 
この話は、私が高校生の頃、月に1度の全校朝礼で校長先生がお話しをしてくれました。その時はとても幼稚な内容に思えたので、笑って聞き過ごしていましたが、40年たった今でも、その話はなぜか忘れられず、頭の中に残っています。あれから40年生きてきて、この話が正しいことと実感しているからこそ、頭に長く残っているのでしょう。
 
皆さんは、授業や集会で先生の話を聞かず、おしゃべりをしていて注意された経験はありませんか。
 
授業や集会では、まず口を閉じ、目を開き、耳に神経を集中してください。話をしている人を見ず、他の人としゃべっていては、先生方からの大切な話は耳に入りません。それだけ損をしていることになります。
 
皆さんには、口を閉じ人の話を相手の顔を見てしっかり聞ける人に成長して欲しいと思います。

 
  

 No.1_令和5年度 1学期始業式 校長挨拶

 
皆さん、こんにちは。今日から新年度が始まりました。学校では今日は元旦のようなものです。「1年の計は元旦にあり」という通り、今日はこの1年をどう過ごすのか、どんな1年にしたいかを考え、しっかりとした目標をたてる日なのです。
 
3年生は卒業後の進路を決める大切な1年になります。2年生は上級生となり、学校行事や部活動などで中核になって活躍する1年になります。ただ毎日をだらだらと過ごすのではなく、目標を掲げその目標に向かって充実した日々を送ってください。
 
さて、始業式にあたり、生徒の皆さんには一つの略語を覚えてもらおうと思います。それはアルファベット3文字で「T、P、O」です。
  「T」とは「Time」の頭文字です。だから「時」のことです。
  「P」とは「Place」の頭文字です。だから「場所」のことです。
  「O」とは「Occation」の頭文字です。だから「場合」のことです。
この「TPO」という略語は、時と場所、場合をわきまえた服装・頭髪、マナーという意味になります。
 
「TPO」という言葉が使われるようになったのは、1964年の東京オリンピックが開催された年まで遡ります。約60年も前にできた和製英語です。当時の日本人は、時と場所によって服装を使い分ける習慣がありませんでした。そこで、オリンピック観戦のために訪れる海外からの旅行者に対して恥ずかしくないために、紳士向けカジュアル服の「VAN」の創業者・石津謙介氏が「TPO」を提唱したと言われています。当時は、「時と場所をわきまえた服装」の意味で「TPO」が使われていましたが、現在では「マナー」「常識」などの意味合いも含まれています。さらに「周囲の空気を読みなさい」のニュアンスを含む「TPOをわきまえる」という言葉もよく使われています。
 
ここで「TPO」の事例をいくつか紹介します。皆さんもその時、その場所、その場合には、どのような服装、頭髪がふさわしいのかを考えながら聞いてください。
 
まず「お葬式」です。男女ともに黒の喪服です。男性は黒のネクタイを着用し、女性は黒色のバックを携行します。華美な髪飾りや装飾品もふさわしくありません。お葬式は悲しみの場です。黒という色で身を包むことが、亡くなった
 
次に「結婚式」です。お葬式とは反対のおめでたい場です。男性は礼服に白いネクタイを着用し、女性はドレスや和服で着飾り髪型やお化粧も自由です。ただし、花嫁さんが着るウエディングドレスと同じ白のドレスは着てはいけないようです。また、花嫁さんより目立つ華美な服装や髪型もよくないと言われています。
 
また、神社や寺院への参拝にも同じようなことが言えます。初詣は真冬なので、防寒着を身につけていると思いますが、夏に肌の露出の多い服装で参拝しようとしても断られる神社や寺院もあります。宗教施設や宗教行事では、服装や髪型を厳しく規制することも多いです。
 
最後に、「USJ」です。USJは遊園地ですから、思いっきり楽しむための遊び場です。来場者たちはお揃いの服装や髪型をしたり、コスプレをしたりして目立つことを楽しみの一つにしていますよね。まさに、服装や髪型で自己主張をするところです。
 
では、学校はどうでしょうか。生徒の皆さん個人によって学校がどんな場所か思いが異なるかも知れません。友達とたのしく過ごすところ。部活動に一生懸命とりくむところ。中には、寂しさや辛さを紛らわせるところと学校を位置づけている人もいると思います。だけど、学校は本来、社会に出るために必要なことを学び、自分を磨き成長させるところです。学校は決してUSJのような遊び場ではありません。
 
だから、学校では生徒の皆さんが学び成長することに集中できるよう、また、社会のマナーや常識を身につけるためにさまざまな校則があります。校則を守り、整った服装・頭髪でいることは、結局自分のためであるということを理解してください。
 
今日は「TPO」をわきまえることが大切だというお話をしました。これからを学校のTPOをよく考えながら学校生活を送ってくれることを願います。