学校長より
洲本高等学校 校長
越田 佳孝
|
 |
今日は7月20日です。1学期の全課程を終了します。明日からは夏休みです。しばらくは学校にくる機会はなくなりますが、普段できないことをする絶好の機会です。
7月14日に、洲本市市民交流センターで、平成29年度定時制生徒生活体験発表校内大会を行いました。クラス大会を経て選ばれた8名の仲間が、友だちのことや学校生活のこと、職場でのことなどを熱く語ってくれました。出場した8名の内容も素晴らしかった。これまでの自分はどうだったのかから始まり、洲本高等学校の定時制に入学してからの友だちや部活などの学校生活、仕事や将来のこと等を、自分が「体験したこと」、「見たり」、「聞いたり」、「感じたこと」を、自分自身の「ことば」で話していました。私は、そこに「伝えたい」という力強い「意志」を感じました。また、友だちの発表を聞いている皆さんの姿勢も本当によかった。私は、ホールの最前列に設定された審査員席に舞台を向いて座っていましたから後の様子はわかりません。始まる前には少し話し声は聞こえていていました。しかし、発表者が話し出すと急に静かになり、会場には張り詰めたような静寂が広がりました。これは、「伝えたい」という発表者の強い意志に対する、しっかり聴きますよという会場の仲間たちの強い意志だったのではないかと思います。そこにあるのは「敬意」です。
私は「生活体験発表は、定時制で学ぶ生徒の成長の物語である」と考えています。ですから、毎年の生活体験発表会ではその話をしています。「成長」とは、昨日に比べて今日、昨年に比べて今年の「変化」をいいます。これまでの自分に比べて現在の自分の「変化」です。「成長」を実感するには、まず昨日、昨年、そしてこれまでの自分に向き合わなければなりません。これまでの自分にしっかり向き合う作業が「作文」です。ですから、洲高の定時制では、6月に作文週間を設定して生活体験発表で発表する「作文」を書いているのです。
作文は、これまでたくさん書いてきたでしょう。しかし、生活体験発表会で発表する原稿を書く「作文」には明確なテーマがあります。「成長」です。なんでもいい、思ったこと、感じたことを書けばいいのではありません。「成長」という明確なテーマがある作文にはその書き方があります。学校や家庭や職場や友だち関係で、「これまでの自分」と「現在の自分」を比較して、その変化を作文にするのです。その「変化」が成長です。作文を書くとは自分との「対話」です。文字で書き現わすことで、自分も気づかなかった「自分」というものが現れてくるからです。また、発表することは他者の前に自分をさらすことです。自分をさらすことでそれを聴いている他者(仲間)との間で対話が生まれます。こう考えれば、「聴くということ」も双方向のコミュニケーションであるということができます。だから、「聴く者」の態度も大切なのです。では、長い夏休み、事故にも遭わず、病気もしないで、全員、元気に9月1日の始業式でお会いしましょう。
|