平屋建ての駅舎にはじめて降り立った時、私は22歳でした。教員採用試験の一次筆記試験の会場は加古川東高等学校。迷いながら、惑いながら校門までの道のりを歩いたこと、今も昨日のことのように思い出すことができます。
あの日が私にとって、教員としての「はじめの1歩」であると思うとき、このたび加古川東高等学校長を拝命したことは、運命であったかのように感じます。
既にあの日から30年以上の歳月が流れました。先月末に降り立った加古川駅はきれいに建て替えられ、高架化された駅舎にかつての面影はありません。不意にロータリーで見上げると、すぐに目につくのは駅前商業施設の壁面の垂れ幕。
『加古川東高校は2024年 創立100周年を迎えます』。
その重みにはじめて心と身体が震えました。
本校は「正解のない未来を切り拓く人づくり」と策定された新しい教育ビジョンのもと、近年は国指定のスーパーサイエンスハイスクール事業や、最新のICT技術等を活用する教科横断型のSTEAM教育の実践校として、県内のみならず、全国においても高い評価をされています。
しかし、長い歳月をかけて培われてきた本校教育の根幹は「自治創造」「明朗親和」の校訓のもとで育まれてきた集団を動かす「人間的魅力」と課題を解決するための「構想力」を身につけ、新しいことに「挑戦する勇気」を持つリーダー育成に他なりません。
将来の「在りたい自分」について語る生徒がいて、傍らで寄り添い支えることに高き誇りを持つ教職員がいて、そして深い信頼をもととして保護者の方々にあたたかく見守っていただける学校づくり。
その実現のために教職員一丸となって教育活動に取り組んでいきたいと考えております。また、PTA、同窓会、地域の方々ともいっそうの連携をはかりながら今後とも取り組んで参りますので、ご理解、ご支援をいただきますよう、よろしくお願いいたします。
令和6年4月1日 兵庫県立加古川東高等学校長 新谷 浩一
|