58.土の性質を調べよう

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[目的]作物の生育培地である土壌の性質を、亜硝酸態窒素の量とpHについて調べる。
[領域]化学:窒素の酸化物  アゾ化合物  酸と塩基
生物:窒素同化  生態系と物質循環
環境:土壌の分析

1.土壌中の亜硝酸態窒素の定量
[目的]比色法を用い土壌中の亜硝酸態窒素を定量する。
[準備]試料(土) 硫酸カルシウムCaSO4 スルファニルアミド液
N-1-ナフチルエチレンジアミン液 亜硝酸ナトリウムNaNO2
ふるい 分光光度計(または光電比色計)
[操作]
1)試料に硫酸カルシウムと水を加え数分間振り混ぜた後静置し液をろ過する。
2)一定量のろ液をさらに水で希釈したものにスルファニルアミド液を加えよく混合する。しばらく置いた後N-1-ナフチルエチレンジアミン液を加え20分程度放置する。水を足して液の全量を整えた後、亜硝酸塩の濃度を比色定量する。
[留意点・工夫点]
試料の質量を正確に読み取っておく。
土は未風乾新鮮土(採土してすぐの湿った土)を2mmの網ふるいに通して使用する。風乾細土(乾いた土)の場合は大きな土塊を砕き、薄く広げて水分を蒸発させる。乾燥中に時々かき混ぜ、根や礫を取り除く。ふるいには防虫網を使用してもよい。
加える水の量は試料20gに100ml程度とする。
試料に加える硫酸カルシウムの量は適当でよい。目安としては試料20gに0.2g程度。
スルファニルアミド液はスルファニルアミド0.5gを2.4mol/l塩酸HCl 100mlに溶かし調製する。冷蔵庫で保存。
N-1-ナフチルエチレンジアミン液はN-1-ナフチルエチレンジアミン二塩酸塩 0.3gを0.12mol/l塩酸100mlに溶かし調製する。遮光して冷蔵庫で保存。
使用する薬品の量は検液50 mlの場合、ろ液 20 ml、各薬品 1 mlに水を加えて50mlにするのを目安にする。
あらかじめ亜硝酸ナトリウムを用い、検量線を作成しておく。
この比色法は亜硝酸が酸性溶液中でジアゾ化試薬と反応してジアゾニウム塩を生成し、この塩がさらにカップリング試薬と反応して赤紫色のアゾ化合物を形成する性質を利用している。硫酸カルシウムは、浸出中に亜硝酸塩の形態変化が起こるのを防ぐため加える。
亜硝酸塩は土壌の酸性化を招くが、一部は土壌中の窒素源として植物の生育にも利用されている。

2.土壌のpH測定
[目的]pH計を用い土壌のpHを測定する。
[準備]試料(土) pH計
[操作]
未風乾新鮮土の乾土10g相当量または風乾細土10gに純水25ml加え、数分間激しく振った後、1時間程度放置し、懸濁状態の土壌溶液のpHを測定する。
[留意点・工夫点]
土はなるべく未風乾新鮮土を採土後速やかに測定するのが望ましい。
一般に土壌のpHとは土壌の懸濁液のpHのことである。日本では、土壌に対する水の比率は
1: 2.5が採用されている。
水の替わりに同量の1mol/l塩化カリウムを用いることもある。水を加えて測定するpHを「pH」または「pH(H2O)」、塩化カリウムを用いたものを「pH(KCl)」と表す。風乾細土は「pH(KCl)」で測定する。
[関連実験]大気中のNOx(窒素酸化物)の測定  硝酸と窒素の酸化物  アニリン・アゾ染料
酸と塩基
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