22.酸と塩基

A.pHの測定
[目的]いろいろなもののpHを調べる。
[薬品・材料]
 身近な溶液(レモンの汁 食酢 炭酸水 石けん水 食器用洗剤の水溶液など)
石灰石CaCO3 希塩酸HCl 硫黄S マグネシウムMg 万能pH試験紙
[器具]ガラス棒 ガラス板 ふたまた試験管 ゴム栓付き気体誘導管 燃焼さじ 集気瓶
[操作]
 a.身近な溶液b.二酸化炭素
 
 c.二酸化硫黄d.マグネシウム
 
[留意点・工夫点]
乾燥した試料は、少量の水に溶解させてから使用する。(水の量に注意する)
試料液は常温で一日経つとpHが変わる場合があるので、密栓して冷蔵庫に入れておく。
試料液に万能pH試験紙を直接浸すと試料が浸み上がり、色の判定がしにくくなるので、試料液はガラス棒などで1滴たらす程度でよい。
試料液は多めに作り、あらかじめpHメーターなどで測定したものを実験に使うとよい。純水によっては少し酸性を示すものであるので、理論値のpHの値に調製しておく。
ガラス棒はその都度洗って、水気を拭き取っておく。
 
万能pH試験紙、pH試験紙を使う場合
万能pH試験紙は切る手間を省いたり、必要以上に長く切って粗末にするのを防ぐため、1〜2cmに切って密閉容器に入れておく。
試験紙は変色しやすいので、薬品の近くに置かないようにする。
pH試験紙は手で触れずに、ピンセットで取り出すようにする。
標準変色表は汚れを防止するためにブッカーを貼ったり、パスケースに入れておくとよい。
pHメーターを使う場合
実験前に標準液で調整しておく。
取り扱うときは電極に衝撃を与えないように注意する。
電気回路部分を汚したり、濡らしたりしない。
保管場所は直射日光が当らず、湿気や塵ほこりが少なく、振動がない所がよい。
保管の際、電池使用の場合は電池をはずしておく。
ガラス電極の場合、電極の汚れをよく取り落とし、ゴムカバーに純水を入れて保管する。
簡易の場合、使用後は電極部分をよく水洗いし、乾燥させてから、キャップをつけて保管する。
  
  
  
<参考1>
 ◎いろいろなもののpH(温度により多少変化する)
レモン汁2.5牛乳6.3〜6.6
日本酒4.5母乳7.2〜7.4
コーヒー5.0〜6.5筋肉の細胞液6.1
水道水5.5〜7.0尿5.5〜7.0
7.0〜8.0胆汁7.8〜8.6
海水8.0〜8.5骨髄液7.4
石けん水7.0〜10.0膵液7.8〜8.6
セメント9.8胃液1.6〜1.8
 
 
<参考2>
 ◎指示薬について
指示薬略称変色域(pH)変色
メチルバイオレットMB0.1〜 1.5黄→青
クレゾールレッド(A)*CR0.4〜 2.0赤→黄
チモールブルー(A)*TB1.2〜 2.8赤→黄
メチルイエローMY2.9〜 4.0赤→黄
メチルオレンジMO3.1〜 4.4赤→黄
メチルレッドMR4.2〜 6.3赤→黄
ブロムチモールブルーBTB6.0〜 7.6黄→青
フェノールレッドPR6.8〜 8.4黄→赤
クレゾールレッド(B)*CR7.2〜 8.8黄→赤
チモールブルー(B)*TB8.0〜 9.6黄→青
フェノールフタレイン*PP8.3〜10.0無→赤
アリザリンイエローGGAZY10.2〜12.0黄→紫
   *(A)は酸性側変色域、(B)はアルカリ性側変色域を示す。
    フェノールフタレインはpH13.4で再び無色になる。
   ※pH試験紙は、これらの指示薬の溶液をろ紙に染み込ませた ものである。 
B.弱酸の電離平衡
[目的]酢酸の濃度を変えてpHを測定し、電離定数を求めて電離度との関係を考察する。
[薬品]酢酸CH3COOH pH試験紙(またはpHメーター)
[操作]
1)何種類かの濃度の酢酸水溶液を作り、pH試験紙またはpHメーターでpHを測定する。
2)それぞれのpHと水素イオン濃度の関係、電離度の値から、酢酸の電離定数を求める。
<参考>
電離度・・・電解質が水溶液中で電離している割合のこと
   0(電離しない)≦電離度α≦1(完全に電離)
 (電離度は、濃度や温度によって異なる)
 
 強酸・強塩基: 高濃度の水溶液中でも電離度が1に近い酸・塩基
 弱酸・弱塩基: 水溶液中の電離度が小さい酸・塩基
C.塩の加水分解
[目的]塩の水溶液は必ずしも中性とは限らない。酸、アルカリの強弱を確かめるとともに、塩が加水分解したときのpHを調べる。
[薬品]塩酸HCl 酢酸CH3COOH 水酸化ナトリウムNaOH アンモニアNH3
各種の塩(塩化ナトリウムNaCl 塩化アンモニウムNH4Cl 炭酸水素ナトリウムNaHCO3
炭酸ナトリウムNa2CO3 硫酸水素ナトリウムNaHSO4 酢酸ナトリウムCH3COONaなど)
万能pH試験紙 pH試験紙セット
[操作]各0.1mol/l水溶液を作り、万能pH試験紙とpH試験紙セットを用いてそれぞれのpHを調べ、酸、アルカリの強弱と塩が加水分解したときの液性を調べる。
[留意点・工夫点]
各水溶液はあらかじめpHメーターなどで測定し、理論値のpHの値に調整しておく。
<参考> 
塩の加水分解
 弱酸の陰イオンや弱塩基の陽イオンを含む塩を水に溶かすと、それらの一部が水と反応して、もとの弱酸とOH、または弱塩基とHを生じる変化。
(強酸の陰イオンや強塩基の陽イオンは、加水分解しない)
例)CH3COONa   CH3COO- + Na+
 CH3COO- + H2O  CH3COOH + OH- (塩基性)
 NH4Cl  NH4+ + Cl-
 NH4+ + H2O  NH3 + H3O+ (酸性)