兵庫県立洲本高等学校定時制
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学校長より

洲本高等学校 校長
 越田 佳孝

成長するということ(定時制修学旅行)

少し前の話になりますが、11()から()に、洲本高等学校定時制の修学旅行(2)で沖縄を訪問しました。昨年は沖縄、一昨年は東京でした。定時制の修学旅行の行き先は生徒の希望を聞きながら決定していきます。その一方で仕事や勤務の都合などで全員が参加するとは限りません。今年も年生の19人のうち修学旅行への参加者は14人でした。修学旅行に参加しなかった生徒は、日の遠足(USJ)に参加しました。

 

私は沖縄に思い入れがあります。それは沖縄県の近代・現代の歴史から来るものです。沖縄県には現在もアメリカ軍の基地があります。沖縄県にあるアメリカ軍の基地は、日米安全保障条約第条に基づくもので、沖縄県にある在日米軍基地の面積は県全体の面積の約10%、沖縄本島の約18%を占めています。さらには、日本にある米軍基地の割以上が沖縄県に集中しているのです。それには20世紀に入ってからの歴史が関係しています。1945年(昭和20)、太平洋戦争末期、沖縄では、侵攻してきたアメリカ軍と日本軍が激戦を繰り広げました。「沖縄戦」の戦死者の正確な数は未だに不明ですが、軍人・軍属が約4000人、一般住民 約4000人、それに米軍2520人を加えて、約20万人といわれています。沖縄では戦闘行為だけで県民の人に人が命を落としたのです。その結果、戦後、沖縄県は長い間アメリカの支配下に置かれていました。日本に復帰したのは1972年(昭和47年)15日ですから、今年は復帰44年目です。旅行の最終日には、アメリカ軍の嘉手納飛行場を見渡せる「道の駅嘉手納」に立ち寄ります。軍の飛行場近くに住むということはどういうことなのかを体験する機会でもあります。沖縄の人たちの思い体験することなくして、沖縄に行った意味はありません。生徒にはそういう体験が大切です。

 

その一方、沖縄県の持つ青い空、美しい海、明るい県民性は、沖縄県以外にはない宝物です。旅行では、沖縄の美しい珊瑚礁をグラスボートで見学し、淡路島の海とはまた違った海や魚たちを目の当たりにします。美ら海水族館や沖縄フルーツランドで、海洋生物だけでなく、植物、昆虫も含む沖縄の自然を見学します。さらには首里城を見学し、沖縄が琉球王国であった頃の歴史にも触れます。修学旅行は、仲間とともに行動し、連帯感を深め、高校時代の素晴らしい思い出をつくることも目的です。

 

自由行動では誰一人として集合時間に遅刻する人がいませんでした。これは今年のことだけではありません。その一方でたえずスマホをしている人もいました。訪問する場所によって、たとえば平和祈念館などでは、そういう行動をふさわしくないと思う生徒もいたのです。「その場にふさわしい行動を誰に言われなくてもできる」というのは、「一人前の社会人」の条件です。その生徒は、そういう規準から自らの行動を客観的に観ることができているのです。生徒たちの意識は確実に深まっています。大きな成長です。



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