兵庫県立洲本高等学校定時制
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学校長より

洲本高等学校 校長
 越田 佳孝

自分との対話 一学期終業式(定時制)


今年の夏は涼しいのかと思っていた矢先、月の暑さです。まさに強烈な夏がやってきたという感じがします。今日で学期の教育課程を終了します。明日からは夏休み。しばらくは学校にくる機会はなくなりますが、普段できないことをする絶好の機会です。

 

今年も15日に、洲本市市民交流センターで、平成28年度定時制生徒生活体験発表校内大会を行いました。出場した名の仲間が、友だちのことや学校生活のこと、職場でのことなどの演題で熱く語ってくれました。今年の参加者は全員が、例年以上にレベルが高く素晴らしかった。それぞれの発表者が、これまでの自分はどうだったのかから始まり、洲高の定時制に入学してからの、友だちや部活などの学校生活、仕事や将来のことなどを、自分が「体験したこと」、「見たり」、「聞いたり」、「感じたこと」を、自分自身の「ことば」で話していました。私は、そこに「伝えたい」「話したい」「聞いて欲しい」という力強い「意志」を感じました。また、友だちの発表を聞いている皆さんの姿勢も本当によかった。

 

私は毎年、「生活体験発表は、定時制で学ぶ生徒の成長の物語です」と話しています。「成長」とは、昨日に比べて今日、昨年に比べて今年の「変化」をいいます。これまでの自分に比べて現在の自分の「変化」です。「成長」を実感するには、まず昨日、昨年、そしてこれまでの自分に向き合わなければなりません。そこに生活体験発表で作文を書く意味があります。

 

作文とは自分との「対話」です。頭で考えている限りでは「対話」になりません。作文として文字で書き現わすことで、自分というものが客観化できます。自分の中にいるもう一人の自分が、自分の前に現れてくるのです。作文とは、自分も知らなかったもう一人の自分と対話することです(鷲田清一『じぶん―この不思議な存在』講談社現代新書、1996)。また、考えていることがあるから書くことができるのでもありません。書くことによって考えていることが明らかになるのです。発表することは他者の前に自分をさらすことです。自分をさらすことでそれを聴いた他者(仲間)との対話が生まれます。生活体験発表会は一方通行的に発表者の話を「聞くこと」ではありません。「聴くということ」は双方向のコミュニケーションです。だから、大会が終わった後の講評で「聴く者」の態度も褒められるのです。

 

今一度言います。生活体験発表は、定時制の生徒の「成長の物語」です。その生徒たちの「成長の物語」にかかわることができる。それが定時制教育の素晴らしさです。私たちも皆さんの話を聞いて成長しました。洲高の定時制で年間または年間の「学び」は、皆さんがこれから一生たくましく生きていく上での「資本」となるのです。

では、長い夏休み、事故にも遭わず、病気もしないで、全員、元気に日の始業式でお会いしましょう。


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