1.顕微鏡の取り扱い方

[目的]顕微鏡の構造を知り、その正しい取り扱いができるようになる。
[器具・材料]
  顕微鏡  顕微鏡観察実験セット
[共通する準備や工夫]
A.顕微鏡観察実験セットの準備
各班毎(4人または2人に1セット)に顕微鏡観察に必要な小物をセットし使用している例が多い。
  
ろ紙の小片は余分な水や染色液を吸い取りやすいように切っておく。大きい角型のろ紙を切るのが経済的である。
水洗いしたスライドガラス・カバーガラスをエタノール(30%)を入れた容器に入れ、使用するときに各自でふき取る。(残った染色液が落ちやすい)
スライドガラス・カバーガラスの洗浄は一般編第3章器具―洗浄に関連項目あり。
 
 
B.簡易プレパラート(一時プレパラート)の作成
材料に水または染色液を落とし、カバーガラスで封じたものをいう。
水を落とすのにスポイトを使うが、スポイドびんや点眼びんに水を入れておくと便利。
爪に塗るマニキュアでカバーガラスの周囲を封じると数日はそのまま観察できる。冷蔵庫などで保存すれば長期にわたって大丈夫な場合もある。
厚みのあるものはホールスライドガラスを用いる。
動きが速いものは脱脂綿や糸くず、メチルセルロースなどを入れると観察しやすい。
スライドガラス上にパンチで穴をあけたビニールテープを貼り付け、その中に原生動物などの材料を封じるとホールスライドガラスより一定の厚みで観察できる。(参照「淡水微生物の観察」
水や染色液で封じたプレパラートを観察するときは、ステージを傾けないようにする。
観察中のプレパラートが乾燥してきたときは、カバーガラスの脇に水や染色液を少し落とすと、毛細管現象でカバーガラスの中にひろがる。
《文字プレパラートを使って顕微鏡に慣れる》
高校で主に使われているプリズム内蔵でない顕微鏡で材料(文字)の見え方とプレパラートの動かし方に慣れる。
*新聞、辞書のコピーを使用する。OHPシートにコピーしてもよい。
C.顕微鏡操作 ⇒ 一般編へ
D.収納・保管
接眼レンズと対物レンズをセットしておく。常時使用しないレンズは、班または顕微鏡毎に乾燥剤と一緒にケースに入れる。
レンズをセットしていない場合は、埃よけのため対物レンズは取り付ける直前までレンズ面を上にしておく。
接眼レンズの交換は、埃が対物レンズに入らないように、レボルバーを回して鏡筒の下に対物レンズが来ていない状態で行う。
鏡筒にサンプルビンやフィルムケースをかぶせておくと埃よけになる。(接眼レンズをつけたままでもかぶせられる)
保管するロッカーは顕微鏡の大型化に伴い適応できるものを探す必要がある。顕微鏡専用のロッカーもある。
スケッチの方法、コツ
右ききの人は左目で顕微鏡をのぞいたまま、右目でスケッチ用紙を見ながらスケッチする。
輪郭を一続きの実線で描き、色の濃淡は点の密度によってつける。
黒く塗りつぶしたり,線を重ねてあいまいにしたりしない。
測定した長さや名称などは引き出し線をつけて書く。
顕微鏡観察では、倍率を記入する。
=参考=
《顕微鏡写真を写すには》
1.専用カメラ、カメラ内蔵顕微鏡
2.普通のカメラ
3.レンズつきフィルム
4.デジタルカメラ
《テレビ画面に写すには》 
1)顕微鏡・実体顕微鏡にカメラ(テレビ装置)をつける。
2)カメラからモニターに接続する。
3)ビデオデッキに接続すれば録画できる。
4)カメラ内臓の顕微鏡もある。
 ※顕微鏡写真を写すには上記のようなカメラによる違いが考えられる。
 2.4の場合は専用のアダプターが市販されており、それを使うとよい。ただし、カメラの機種によって対応しないものもある。
 3.4の場合、アダプターを自作してカメラを固定する。
 アダプターの作製はフィルムケースや、黒のゴムシート、黒のセルスポンジ、水道用のゴムパッキン、フェルトなどを使い、カメラのレンズと接眼レンズとの間の光を遮り、レンズのクッションになるように考える。
 倍率が高くなれば暗くなるので、できるだけ感度のよいフィルムを使うとよい。
 特に2.3の場合、照明はできるだけ明るくする。
 シャッターを押すときカメラの角度が変わったりするので注意する。
 オートオフの機能は解除しておく。
 ☆接眼レンズの上にデジタルカメラをあてて撮影した例
 
接眼レンズにフェルトを貼り、
カメラレンズを保護

顕微鏡150倍のとき
(使用するカメラにより見え方は異なる)
[参考文献]
「新 観察・実験大事典」  東京書籍