55.大気中のNOX(窒素酸化物)の測定 |
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[目的] | 大気汚染の原因物質の一つであるNOX(窒素酸化物)の濃度をザルツマン法により測定する。 |
[領域] | 化学:窒素の酸化物 アゾ化合物 環境:NOXの測定 |
[準備] | 50%トリエタノールアミン(CH2CH2OH)3N ザルツマン試薬 亜硝酸ナトリウムNaNO2 サンプル管(5ml程度) ろ紙 分光光度計(または光電比色計) |
[操作] |
1) | 検量線を作成する。 |
2) | サンプル管の内側にろ紙を巻き付け、50%トリエタノールアミン(NOX捕集液)をろ紙に均一に染み込むように滴下し、ふたを閉める。 |
3) | 捕集液を含ませたサンプル管のふたを取り、測定場所に逆さまに設置する。直射日光があたらないようアルミホイルなどでサンプル管を覆う。 |
4) | 24時間後にふたを閉めてサンプル管を回収する。 |
5) | サンプル管に(4の亜硝酸ナトリウム溶液+ザルツマン試薬と同量になるように)ザルツマン試薬を入れ、よく振って10〜15分間放置する。 |
6) | ピンク色に発色してきた試料を計器にかけ、出た値と検量線とを比較しNOXの濃度を算出する。測定日時、測定場所の環境等と共に用紙に記録し比較するとよい。 |
年 組 番 氏名 | サンプル | ||
測定日時 | 年 月 日 時 分 〜 月 日 時 分 | 天気 | 開始時の気温 ℃ |
測定場所 | 設置場所の高さ | ||
測定場所の環境 | 1.幹線道路に面している 2.道路に面している 3.道路に面していない
a.公園 b.宅地 c.学校 d.工場 e.沿道 f.その他( ) | ||
幹線道路からの距離 | 吸光度 μA | NOX ppm |
[留意点・工夫点] | ||
・ | 試薬は特級、器具はホールピペット、メスフラスコを使用する。 | |
・ | より信頼性のある測定値を得るためには、紙質が均一で密な50のろ紙を使用するとよい。 | |
・ | ろ紙が、管の内側に端が重ならないように注意して巻き付ける。サンプル管が5mlの場合、クロマトグラフィー用ろ紙を4.4cmに切ればよい。 | |
・ | サンプル管を回収後すぐに測定しない場合は、ふたをしてビニール袋に入れ密封し冷所で保管しておく。 | |
・ | トリエタノールアミンは遮光して冷所で保管する。 | |
・ | ザルツマン試薬も遮光し、常温で保管する。1ヶ月以上たったものは使用しない。 | |
・ | ザルツマン試薬は市販されているが、自校でも調製できる。 | |
@ | 沸騰直前で火を止めた純水50mlにスルファニル酸p-C6H4(NH2)(SO3H)1gを溶かす。 | |
A | 30〜40℃に冷めたら、純水134ml リン酸H3PO46ml 0.1%N-1ナフチルエチレンジアミン二塩酸塩C10H7HNCH2CH2NH2・2HCl 10mlを加える。常温で保存する。リン酸の代わりに酢酸を用いてもよい。 | |
・ | NOX濃度は分光光度計(溶液を透過する光を分散させ回折格子によってスペクトル強度を測定)や光電比色計(有色の液体試料を透過した光量から溶液濃度を求める)を用い、あらかじめ検量線を作成して求める必要があるが、簡便にNOX濃度が測定できる機器も市販されている。また、ガス検知管を利用すればNOX以外にも大気中のさまざまな物質の存在や濃度を調査できる。 | |
・ | 検量線の作成方法 | |
@ | 濃度の異なる亜硝酸ナトリウム溶液を作成する(1、2、5、10ppm程度)。 | |
A | それぞれをサンプル管に入れ(5mlサンプル管の場合、各1mlずつ)、ザルツマン試薬を加え10〜15分間放置する。 | |
B | 発色した液を計器にかけ、出た値と亜硝酸イオン濃度との関係をグラフ化する。 | |
・ | 車の排ガスや、調理等で物を燃やしたときの空気を集め同様にでNOX濃度を調べることもできる。ガスの温度が高い場合は体積の補正が必要である。また、捕集時のやけどにも注意する。 | |
・ | この実験は、塩基性のトリエタノールアミンに酸性のNOXを吸収させ、ザルツマン試薬との反応で生じたアゾ化合物の濃度から吸収量を測定するものである。 |
[関連実験] | 硝酸と窒素の酸化物 アニリン・アゾ染料 |
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