
県立神戸高等学校
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1学期 終業式 式辞
県立神戸高等学校 校長 中野 憲二
1学期も今日で終わりです。
この1週間の暑さにも耐えよく頑張りました。1年生、2年生、3年生のそれぞれの活動を見ていますと、勉強、各種行事、部活動等に全力で取り組み、結果も出してくれた1学期であったと思います。本当におつかれ様でした。
皆さんは、普段は、「時間割」という、学校から提示された計画の中で生活をしています。しかし、夏季休業中は、40日間、自分で「時間を割って」生活することになります。
1学期の間は、毎日、ペースメーカーや伴走者がある状態でした。夏季休業中は、自分でペースを作らなくてはなりません。まさに自分との闘いの日々になります。
2つお話をしておきます。
まず1つ目です。
臨済宗の寺院では、ときおり「主人公」と書かれた掛け軸を見ることがあります。
いまや「主人公」とは小説や映画、ドラマなどでいう「主役」と同じ意味で使われていますが、もとは禅宗の公案の言葉の1つです。
公案というのは師が弟子に投げかける問いのことです。師と弟子との問答いわゆる禅問答によって悟りを開いていく手立てともいうものです。
「主人公」という公案は、公案を集めた書の1つ「無門関」の中にあります。
中国浙江省の瑞巌寺に住していた師彦(しげん)禅師は、毎日坐禅しながら大きな声で自らを「おーい主人公」と叫び、「しっかりと目覚めているか」「はい」、「人をあざむくことも、あざむかれることのないよう努めているか」「はいはい」と自問した、と言います。
つまり、「主人公」とは、禅で言うところの「本来の面目」ということ、「本来の自己、真実の自己」ということだそうです。
この夏季休業中、自分で少し時間を作って、1年生は、神戸高校に入学した時の気持ちを思い出しながら、2、3年生は、それぞれこの1年間、2年間を振り返りながら、是非「自己を見つめ直す」機会にもして下さい。
3年生は自分に負けずに頑張ってください。
なお、参考までに、ほかの公案の例をあげておきます。日本史を選択している人は習っているはずですが、如拙が画いたとされる瓢鮎図は「<つるっとした>瓢箪(ひょうたん)で<ぬるっとした>ナマズを捕らえるには」という公案を絵で表したものですし、「両手をあわせると音がする。では片手での音はどんな音か」、という公案もあります。
2つ目です。昨年も伝えましたが、命を大切にして下さいと言うことです。
多くの人から受け継いでいるたった1つしかない命を大切にしてください。
誰でも、死にたくなるほど辛く思うことや絶望的になってしまうこともあります。そんな時は、誰かに弱音を吐いて下さい。助けて欲しいという手を出せば、必ず誰かが手をさしのべてくれます。時には愚痴もこぼしながら、くれぐれも命を大切に、健康に気をつけて、充実した夏休みになること、そして9月には再び、このように元気な顔を見せてくれることを願って、終業式の式辞とします。
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2018.7公開