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兵庫県立神戸高等学校

平成30年度 入学式 式辞

県立神戸高等学校 校長  中野 憲二  


 春爛漫の今日の佳き日、ここに兵庫県立神戸高等学校第73回入学式を挙行できますことは、本校にとって、この上もない喜びとするところです。本校の教職員を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。

 ご来賓の皆様には、ご多忙の中ご臨席を賜り、錦上花を添えて頂きましたこと誠にありがたく、高壇からではございますが厚くお礼申し上げます。誠にありがとうございます。

 保護者の皆様、本当にたくさんのご出席、ありがとうございます。皆様の熱心さが、学校の支えでございます。

 先ほど入学を許可しました360名の皆さん、入学おめでとうございます。今日から皆さんは、神戸高校73回生として本校で学ぶことになりました。

 本校は、明治29年に兵庫県神戸尋常中学校が、明治34年に兵庫県高等女学校が創立され、その後幾多の変遷を経て、この両校が昭和23年の学制改革により統合して現在の兵庫県立神戸高等学校として誕生し、この間「質素剛健」「自重自治」の4綱領のもと、皆さんの先輩たちは勉学、部活動、学校行事等に全力で取り組んでこられました。この歴史と伝統ある神戸高校に入学された喜びはひとしおでありましょう。今の気持ちを忘れないでください。

 さて、新入生の皆さん、皆さんがこの日を迎えることができたのは、もちろん自身の努力があってのことです。しかし、その陰には、親身になって支えてくれたご両親をはじめとするご家族の計り知れない援助があったことを忘れることはできないはずです。また、3月までお世話になった中学校の先生、学校生活の基礎を教えてくれた小学校の先生、つらく苦しい時に励ましてくれた友人など、さまざまな人に支えられて今の自分があるはずです。感謝の気持ちを忘れず、自分を大切にして、責任と思いやりのある高校生になってほしいと思います。

 さて、「未見の我」という言葉があります。「未見の我」とは、未だ見ない我、自分です。これは、安積得也(あずみ とくや)という人の詩集にある言葉です。内に隠れて見えないけれども、そして自分にも他人にもわからないけれども、自分のうちにこそ、未見の我の偉大な姿が隠れている、というものです。73回生の皆さん。素晴らしい仲間と切磋琢磨し、刺激し合うことができる本校での3年間の高校生活を通して、自分の中に秘められている、自分も今は気付いていない未知の力、限りない可能性をみつけてほしいと願います。

そのため、 
まず第一は、積極的に学ぶ姿勢を持ち続けてほしい、ということです。

 校歌の一文に「きわむる 自然 人文の真理」とあります。

 現代の文化は、人類が気の遠くなるような長い年月をかけて作り上げてきたものです。学問はまず、そこに込められた英知を地道に学ぶことから始まります。その上ではじめて文化の発展に貢献することができます。知識はそれを活用することができてはじめて本当の力になります。
学んだ知識を使って、自分自身や社会について考え、分析し、判断し、解決していこうとする態度も心がけてください。

 しかし、世界を見わたすと、地震・津波、火山の噴火、豪雨・豪雪などの自然災害、エネルギー、食糧、環境などの諸問題、思想的対立、貿易を巡る問題、武力紛争、難民、許しがたいテロ等々、多くの事象が絶え間なく発生し、毎日報道されています。答えのない難しい課題ばかりです。それでも、過去から現在へ、現在から未来へ、私たちを取り巻く様々な問題や課題について、考え、解決に向けて一歩でも進んでいくことは、私たちの使命です。

 

第二は、部活動や学校行事、自治会活動に積極的に参加してほしい、ということです。

 学ぶべきものは学業のことだけではありません。高校生活は自分の人格を形成する最も大切な時期の一つです。気力、体力、感性、品格、愛情、友情など、学力とともに大切にすべきものがたくさんあります。高校時代の一瞬一瞬は、二度ともどりません。部活動や学校行事、自治会活動に積極的に参加し、悔いのないように一日一日を過ごし、生涯の友人をつくり、高校生活の充実感をぜひ味わってください。本校では、たくさんの運動部、文化部が活発に活動しています。さらに、自治会を中心としたたくさんの学校行事があります。皆さんは全員が自治会員です。先生、友人などできるだけ多くの人と接することで常に自分を見つめ、今後の自分の人生への経験知を高めることが必要です。様々なことに挑戦し、大いに刺激を受けてください。

 神戸高校は、皆さんが主体的に学び、活動し、自分がやりたいことを思いっきりできる学校であり、だからこそ、政治や経済、医学、自然科学、文学、芸術・スポーツなど、様々な分野で、そして日本国内だけでなく世界中で活躍する人を輩出してきたのだと思います。皆さんにもできるだけ大きな夢を抱いてその実現に向けて努力し続けてもらいたいと思います。

 

第三は、「能力の差は小さいが、努力の差は大きい。継続の差はもっと大きい。」ということです。

 高校で学ぶ内容は、より高度で専門的になります。部活動のレベルも格段に上がります。むずかしくて理解しにくい科目、好きになれない科目に出会ったとき、また、他の人と自分を比較して自分は劣っているのでは、と感じたとき、簡単に諦めないでください。自分を決してみくびらないでください。神戸高校に入学できた皆さんのポテンシャルは本当に高いものがあります。失敗を恐れず、高い志を抱いた、皆さんの懸命に生きる姿こそが、限られた3年間を価値ある一瞬の連続に変貌させます。そのような生徒で溢れている学校が真に魅力的な学校であると信じて疑いません。

 

 ただ、挑戦しなければ成功や高い目標達成はありません。しかし、必ずしも成功するとは限りませんし、挑戦する過程では、厳しいことやつらいこと、失敗や挫折の方が多いかもしれません。むしろ、失敗や挫折を経験しそれを克服した人の方が次の成功を呼び寄せます。そして、自分には強く、人には優しくもなれます。今は、そのような経験をした人材が社会から求められる時代になっています。

 そうはいっても、時には自分だけでは抱えきれない不安や焦りを覚えることもあるでしょう。どうかそのときには、一人だけで抱えず、家族・友達、先生に相談をしてください。時間はかかっても必ず途は開かれます。

 

 最後になりましたが、保護者の皆様、お子様のご入学、おめでとうございます。心よりお祝い申し上げます。大切なお子様を本校の生徒として、本日よりお預かりすることになりました。私ども教職員一同、啐啄同時、時には師弟同行の精神で、全力をあげてお子様の教育に取り組む所存でございます。教育は、家庭と学校が連携してこそ実を結ぶものであります。どうか、本校の教育に温かいご理解とご協力を賜りますようお願いいたします。お子様が、本校での3年間、充実した日々をすごされ、人として確かな成長を遂げられますことを祈念して式辞とします。

 

 

  平成30年4月9日

兵庫県立神戸高等学校長  中野 憲二  

 

2018.4掲載

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