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兵庫県立神戸高等学校

1学期 始業式 式辞

県立神戸高等学校 校長  中野 憲二  


 昨年度来、神高生のポテンシャルの高さについて触れてきました。

 今日は、安積得也(あずみ とくや)という人の詩集「一人のために」の中の「未見の我」の一節を紹介します。安積得也という人は、1900年東京生まれで、東京帝大を出た後、内務官僚となり、栃木県や岡山県知事も経験した人ですが、詩人でもあります。

 

   詩集「一人のために」から(安積 得也)

内に隠れて見えないけれども
現在(いま)こそ内に眠り底に潜んで
自分にも他人にも発見(わか)らないけれども
五尺の我のうちにこそ
未見の我の偉大な姿が隠れているのだ
ありがたや

自分の中には自分の知らない自分がある
強くして能あり
清くして正大なり
現在(いま)の我とは比較にもならぬ
未来相の我だ

私はもう私を見くびらない
弱小の私
無能の私
あやまち多い私

しかし私は未見の我の故に
私の全身全霊を愛惜する

彼はつまらぬ奴だ
馬鹿なまねをしやがった
しかし私は彼を見棄てない
彼の内なる未見の彼を
私は限りなく尊重する

 

 実は自分自身というのは、自分にとって一番身近な存在であるにもかかわらず、自分の顔を直接見ることはできず、鏡や写真を通して、あるいは他の人が言ってくれることを通して、間接的にしか自分自身を理解することができない存在です。考えてみれば自分自身とは自分にとってとても遠い存在なのかも知れません。

 

 神戸高校での生活をとおして、他の人との比較なのではなく、是非、みなさんそれぞれの自分の中に秘められている、自分も知らない未知の力、限りない可能性をみつけてほしいと願っています。

 

 3年生にとっては受験、高校生活最後となる部活の大会が続きます。2年生もその3年生の姿を見ながら、それぞれ目の前にあるものに真剣に粘り強く取り組んで下さい。同じくポテンシャルの高い仲間と切磋琢磨できるこの神戸高校という環境の中で、刺激し合いながら、「未見の我」を発見し、大きな夢や目標にチャレンジしてください。

 私たち職員もそのために努力を惜しみません。

 以上、式辞とします。

 


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2018.4公開

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