
県立神戸高等学校
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1学期 終業式 式辞
県立神戸高等学校 校長 中野 憲二
1学期も今日で終わりです。
1年生は、入学から3ヶ月余り、勉強のスピードについていきながら、各種行事や部活をこなすという、ある意味で大変な1学期ではなかったかと思います。
2年生は部活動や自治会等で、3年生から引き継いでいくことも多くなり、神高生の中核となる意識が芽生えているかと思います。
3年生は、自己実現、希望進路実現に向け、受験のプレッシャーも感じているかと思います。
それぞれの活動を見ていて、勉強、各種行事、部活動等に全力で取り組み、結果も出すというよく頑張った1学期であったと思います。本当におつかれ様でした。
一つ報告をしておきます。7月16日の日曜日に兵庫高校との夏季定期戦である水泳大会がありました。
22種目あり、11種目で勝利しましたが、総合得点では残念ながら僅差で敗れました。
水泳部の皆さんはよく頑張ってくれました。おつかれ様でした。
さて、明日から夏休みにあたって2点お話をしたいと思います。
1つめです。中井貴一さんという俳優がいます。お父さんは佐田啓治という俳優でしたが、中井さんが2歳の時、交通事故で37歳の若さでなくなっています。中井さんが3年ほど前に、ある番組でお父さんについて語っておられた話です。
概略はつぎの通りです。
父(佐田啓治)が「あなた買います」という映画で、毎日映画コンクールのブルーリボン賞の主演男優賞をとった時のこと。挨拶で「非常に嬉しいです。ありがとうございました。私は次は、助演男優賞をとれるように頑張りたいと思います」って言った。帰ってきて母が、「何随分キザな事言ってんのよ。みんな主演男優賞とりたいと思っててね、助演男優賞なんていやらしいわよ」って言ったら、「お前は何にも分かってない。主演男優賞って、立っててもとれるんだ。助演男優賞は、自分が動いてはじめてとれる賞なんだ」って言ったっていう。
主演男優賞はとらせてもらうもの、助演の人たち、周りがとらせてくれる事。立ち回りもそう、斬り手が上手いんじゃない、斬られ手が上手い。だから、一番大事なのは、まわりを歩いているエキストラ。真ん中にいる2人の主役が、多少オーバーな事をやっても、まわりのエキストラの人たちが、本当に隠し撮りしてんじゃないかぐらいに、普通に歩いててくれると、全部が真実に見える。だから、いかに、主軸でない人が大事かということ。
この話を聞いて、皆さんの中でも「主演男優賞」の話に共感する人、「助演男優賞」の話に共感する人に分かれるかもしれません。
中井さんは、自分がなくなった父の年齢に近づき、超えるころ、いろいろなことを考えたそうです。そのことは、彼が時代劇、シリアスな現代劇、コメディ、そしてナレーションにも挑戦していくなど、その後の芸歴、芸の幅を広げていく原動力にもなっていったとのことでした。
人間は、成長していく過程で、いろんなものを経験していきます。いるものいらないものとか、前の自分と今の自分はこう違うんだという比較ができたりするっていう事は、実はすごい成長なのです。1学期の自分を振り返って、そんなことも考えて欲しく思います。
2つ目です。命を大切にして下さいと言うことです。
みなさんの命はとても尊いものです。
親が自分より先になくなった子供の供養をすることほど、悲しくて辛いことはありません。
仏教用語ではこれを「順縁」に対して「逆縁」というそうです。
そして、親より先に亡くなることは最大の親不孝とされています。
多くの人から受け継いでいるたった1つしかない命を大切にしてください。
交通事故などの事故に気をつける、ということだけではありません。人間には時には、死にたくなるほど辛いことや絶望的になることもあります。その時は、お父さん、お母さん、友達、担任の先生、部活の先生、保健室、中学校の時の友達、先生・・・、を思い出して下さい。助けて欲しいという手を出せば、必ず誰かが手をさしのべてくれます。
くれぐれも命を大切に、健康に気をつけて、充実した夏休みになることを願って終業式の式辞とします。
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2017.8公開