43.食品中のビタミンの検出 |
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| [目的] | ビタミン剤や食品から抽出したビタミン・過酸化水素の検出の方法を学ぶ。 |
| [領域] | 化学:酸化還元 |
| 1. | ビタミンB1を検出する |
| [準備] | 試料(精白米 米ぬか ごま 焼き海苔 大豆など) ブタノールC4H10O
ヘキサシアノ鉄(V)酸カリウムK3[Fe(CN)6]水溶液 水酸化ナトリウムNaOH水溶液 | |
| [操作] |
| 1) | 純水を加えた試料を充分に煮沸した後静置し、上澄みに薄い水酸化ナトリウム水溶液を加えてアルカリ性にする。 | |
| 2) | 薄いヘキサシアノ鉄(V)酸カリウム水溶液を加え、更にブタノールを少量加えてよく振る。 |
| [留意点・工夫点] | ||
| ・ | 米ぬか、ごま、焼き海苔は4倍量の純水を、他の試料は2倍量加えるとよい。 | |
| ・ | ビタミン剤は溶かして用いる。 | |
| ・ | ビタミンB1を含む液体にヘキサシアノ鉄(V)酸カリウム水溶液を加えると、かなり薄いが蛍光を発する。ブタノールを加えてよく振ると、蛍光物質が移行してブタノール層が藍色になる。暗所で見ると分かりやすい。(チオクロム反応) | |
| 2. | スポーツ飲料からビタミンCを検出する | |
| [準備] | 試料(スポーツ飲料 ジュースなど) ヨウ素ヨウ化カリウム溶液 デンプン水溶液 | |
| [操作] |
| 1) | 試料にデンプン水溶液を加え、希釈したヨウ素ヨウ化カリウム溶液を滴下する。 |
| [留意点・工夫点] | ||
| ・ | デンプン水溶液は試料5mlに対して1滴ぐらい加える。 | |
| ・ | 希釈したヨウ素ヨウ化カリウム溶液を試料が紫色に色づくまで滴下する。 | |
| ・ | 試料に0.1%ジクロロフェノールインドフェノール液(深青色)を滴下してもビタミンCの検出ができる。ビタミンCが含まれていると、この色素が還元されて液の色が消える。 | |
| ・ | 試料を10%炭酸ナトリウム水溶液で中和し、薄い塩化鉄(V)水溶液を加えても検出できる。ビタミンCが無い時は、ヨウ素デンプン反応により紫色になるが、ビタミンCが存在すれば、ビタミンCが酸化され、同時にヨウ素が還元されるのでヨウ素の色が消える。 | |
| 3. | ビタミンCを含む飲料から過酸化水素が発生することを確認する | |
| [準備] | 試料(缶入り飲料) 硫酸チタン(W)Ti(SO4)2水溶液 | |
| [操作] |
| 試料に5%硫酸チタン(W)水溶液を少量加えて色を観察する。 |
| [留意点・工夫点] | ||
| ・ | 過酸化水素が含まれていると液の色が淡黄〜黄色に変わる。 | |
| ・ | 検出限界値がやや高く、少量の過酸化水素では反応しないかもしれないので注意する。 | |
| ・ | 飲料水を開封すると、酸化防止剤として使用されているアスコルビン酸ナトリウム=ビタミンC=VCが容器の金属と反応してO2で酸化され、酸化型アスコルビン酸(デヒドロアスコルビン酸)となる。これが他を還元してe-を出す。このe-が酸素を活性酸素に換える。O + H2O → H2O2 この反応は金属イオンがあると促進される。天然果汁のものはペルオキシターゼという過酸化水素分解酵素を含んでいるので検出されない。缶入り以外の飲料で比較実験を行うと違いが分かる。 | |
| ・ | 飲料中に含まれているビタミンCによって本来含まれていないH2O2が発生していることを調べる実験である。 | |
| [関連実験] | 酸化還元反応 |
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