真夏の夜の幻影 (14/15)

作者:CROW

「我が戦友熊次郎の怒り!!受けよ!!」
杉沼のハンマーの一撃はまさに神速で化け物を芯に捕らえる。
「ブガスコーーーーーーン!!」
それを化け物は素手で受け止めると口を開き紅蓮の炎の塊を杉沼に向けて放つ。
それを紙一重で杉沼はかわし新たな25トンハンマーを懐から取り出し後退する。
そしてその炎は甲板の一角を蒸発・分解させた。
「ヤバイって!!!」
斎藤は次々と手榴弾を投げる。それこそ無限を思わせる数を・・・。
それを化け物は全て飲み込み、背後へ回った俺こと瓜生へ吐き出す。
それを俺は愛刀”大蛇丸”で後方の杉沼へと流し、化け物の腹へ一撃をHITさせる。
「ブガスコーーーーーン!!!」一撃を受け怒り狂った化け物は今までに無い速さで横凪ぎの一撃を俺目がけて放つ、それを予想していた俺は軽々と攻撃をかわし、
背後の杉沼の後ろまで一気に疾る。
それを追撃にくる化け物へ見事、先ほどの手榴弾を杉沼がハンマーで化け物へと直撃させる。
「ブガスコーーーーーーーン!!」
化け物の声に今までに無い焦りの感じが伺えた。
「ほら!プレゼントだ!!」
と、その時、斎藤はいつのまのか特製S爆弾を化け物へ向かって放っていた。
ドッバーーーーーーーーーーン!!!!
「ブガスコーーーーーーン!!!!」
叫び声に遂に苦しさが伝わって来た。
しかし化け物は爆風と共に高く飛んでこちらへと襲いかかる。
「ふっ・・・・・熊次郎!今一度俺に力を!」
杉沼は迫り来る化け物に向かい128トンハンマーを構える。
まるでスローモーションのように感じる長い時間。
刻々と迫り来る化け物。
そして遂に杉沼の射程範囲に入る。
「奥義!!128トンハンマーーーーーストラーーーーーイク!!!!!」
思いきり振りかぶり腰の回転、遠心力全ての持てる力を使って一撃を放つ。
その一撃は何かが砕ける鈍い音と共に化け物を空の彼方へと消し去る。
「終わった・・・・・か?」
斎藤が立ち上がりこちらへと近づく。
「手ごたえはあった・・・・多分殺った・・。」
「どんな手ごたえ?」いらん質問かもしれないがとりあえず聞いてみた。
「こうなんかごきゃりというかめきゃっていうかー・・・・。」
しかし、そんな談笑は一瞬の内に終わった・・・・。
俺たち全員に向けて放たれた空中からの魔界の炎とも言える業火によって・・・。
フェリーに化け物が降り立ったとき、そこには真ん中をえぐりとられたような甲板と俺たちの影しか存在しなかった。

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