真夏の夜の幻影 (13/15)

作者:CROW

「ふう、意外とうまくいくもんやな。」
俺こと瓜生の右隣で斎藤が赤いき○ねを食べながら言う。
「よし今度から大阪でこれやろか。」
そして俺の左隣では杉沼が緑のたぬ○を食べながら言う。
そしてその二人の間で俺はハンバーガー5個を圧縮してダブルバーガーもどきにしたものを食べている。
「いや、やっぱこんな田舎町だから募金箱作戦は成功しただけやろう?今の不景気な都会じゃあ誰もいれてくれへんって。」
俺ははっきりと杉沼の意見を否定する、あっさりとしなやかに・・・。
そう、俺達はあの浜茶屋小笠原から逃げるように帰りのフェリー乗り場へ向かう道中。
3人が3人首からお揃いの募金箱をさげ、これみよがしに自作のユニセフ募金のポスターを持って街を歩いたのだ。
すると予想に反してたまることたまること・・・・・。
あっと言う間に帰りのフェリー代+自分達の分の食料代、それだけ使ってもまだ少し残っていた。
「いやーウハウハですな。」
また古い言葉を口に出す斎藤。
しばらくしてメシを食べ終わった後俺達は甲板へと出る。
すっかり夜の海は穏やかで満月は薄暗く海を照らす。
風には潮の香りが交じり軽くほおを撫でる。
「ああ、なんかいろいろあって疲れたなぁ・・・・。」
もうあまり思い出したく無いことをいきなり杉沼は口にする。
「まぁいいやん。そのことはもう忘れようじゃないか。」
斎藤も風に身を委ね船の行く先を見続ける。
時間からいって、あと小1時間程で俺達の波乱の旅は終わる。
「・・・・・・・・・?」
俺はなにかが水を跳ねる音を遠くに聞いた。
「どうかした・・・・。」
「ブガスコーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!」
斎藤が言い終わる前にその雄叫びは全ての静寂と平和を砕きながら夜空に響き渡る。「!?」いきなり船が傾いた。
なにかにひきづられるように船の先端は持ち上がっていく。
「まさかな・・・・。」
杉沼の言葉も虚しくただ船は傾いていく。
そして遂に船の傾きが45度を越えた時、船は半ばから真っ二つに折れた。
船が傾いてから約2分・・・乗客は誰ひとりとして避難すること叶わず。
沈む船の後体と共に海の亡霊となっただろう・・・。
そして残った甲板は元どうり水面と平行となった・・・。
「緊急避難用のボートの類いは無し。」
俺は以外と冷静に状況を分析していた。
「ふぅ・・・・追い詰められたか・・・。」
「まあなぁ・・・・。」
斎藤もどこからともなく手持ちの手榴弾を用意する。
「ブガスコーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!」
ザバっという派手な水音と共に化け物は甲板へと降り立つ。
「最終決戦・・・・・開始!」
ハンマーを手に杉沼は疾りだした。

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