真夏の夜の幻影 (11/15)

作者:CROW

俺こと斎藤の目の前で東堂はいきなり問答無用でこちらに向けて
ロケットランチャーを撃ち放つ。
「おい!ちょっと待てィ!!」俺はとにかく叫んでみるが。
もう遅い、放たれた砲弾は雨の如く降り注ぐ。
その中のこちらへと飛んできそうなものは全て杉沼と瓜生が撃墜する。
しかし、東堂はなぜか弾切れも無く、絶え間なくロケットランチャーを撃ち続ける。
しかし時間が経つにつれ俺達をのせたイカダは少しづつ確実に島を離れている。
と、いきなり東堂の叫び声が響く。
「俺の酒飲むなぁーーーーー!!!!」
「・・・はい?」東堂の突然の叫びに俺は不思議に首を傾げるがすぐに事態を把握した。
そう俺のすぐ後ろでは杉沼と熊次郎が仲良く東堂の酒で宴会をしていた。
「・・・・・・やめろよ・・・・・。」
俺はつぶやくが何気に東堂がどこからともなく丸太を大量に飛ばしてくる。
が、それらの丸太は全て目の前にさっそうと現れた瓜生によって薪となる・・・・。
「なあ、もうさっさと逃げへん?」
横で泥酔している杉沼が俺と瓜生の首を絞めながら提案してくる。
ちなみに操船は意外にも酒に強かった熊次郎が一人でやっている・・・・・・。
「う〜ん確かに、なんか東堂やったら無限に武器だしてきそうやしなぁ・・・・。」
そう言いながら俺も熊次郎に加勢してオールを漕ぎ始める。
後ろではまだひたすら東堂が重力やら慣性やらを無視して、
色んな土器やら自然の木々や動物達を投げてくる。
そしてそれらの全てをまた自然の摂理を無視して瓜生が切り払う。
(・・・・・不毛だな・・・・。)そう思った時だった・・・。
「ギャーーーーーーーーーーーーーーーーーース!!!!!」
後ろで東堂の絶命の叫び声がこだまする・・・・・。
後ろを振り向くとそこには砂にめり込んだ東堂と、
こちらへゆらめきながら近づいてくる化け物の姿が見える。
かなりスピードが速い・・・・・。
見るとなんと海の上を走っている。そう、雄叫びを発しながら。
そして遂に化け物が大きく海面を踏み空へと跳躍・・・もとい空中を疾走する。
(なんでもありか!?つーか捕まる!?)そう思った時いきなりイカダが急激に沈む。
そう、後ろを見たときそこにはもう熊次郎の姿はなかった・・・・。
俺達の頭上で化け物と熊次郎は交錯する。
その一瞬熊次郎の笑みが見えたような気がした。
そして化け物の雄叫びと熊次郎の雄叫びが水中での激しい戦いのゴングを告げた・・・・。
「熊じろーーーーーーーーーーー!!!!」
いきなりしらふに戻った杉沼の悲痛な叫びが曇り始めた空の下で響いた・・・・。

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