真夏の夜の幻影 (10/15)

作者:CROW

次の日、いきなりの出来事だった・・・・。
そう、俺達が朝から海でサメを取っていた時に、いきなり水平線の向こうにある物が見えた。
そう、俺達が帰るために乗るフェリーだ。
どうやら俺こと斎藤は洞窟の中で1日半を過ごしたらしく、
今日はフェリーが来る5日目の朝だったのだ。
俺は皆にすぐに荷物を片付けるように指示すると自分自身も含めものすごい速度で撤収を始めた。
そして撤収が完了するころにはもうフェリーは後数分の距離まで来ていた。
「俺達助かったんだ!生きてるんだ!!」
遂に瓜生が半分暴走を始めたが。
早く帰りたいという点においては俺も気持ちは同じである。
しかし、その声は突然朝日の昇る海岸に響いた。
「ブガスコーーーーーーーーーーン!!!!!」
だれもが身震いした・・・・。そのダサイ、そして腹の奥まで響き渡るおぞましさ。
そしてだれしもが恐怖した。目の前のフェリーが海を離れ浮かび上がるさまに。
次の瞬間、重力の制御下に身を委ねたフェリーは水面に激突し海の藻くずと化した。
見るも無残なフェリーだったものは少しずつ海の中へとその姿を消していった。
俺達は膝をついた・・・。その化け物の恐ろしさ、そして圧倒的な強さ。
・・・・そう、もう後は無い。
あの化け物は次は必ず自分たちの元へと来る・・・。
生き残るにはイカダで一刻も早くここを脱出するしかない・・・・。
皆そう考えたのか、もう俺の後ろではイカダを沖へ出す準備をしていた。
俺も急いで手伝う。
なにしろこのイカダは優れもので杉沼の50トンハンマーを乗せても沈まなかったほどだ。
例え嵐だろうと俺達さえ生きていれば絶対帰ることができるはずだ。
そしてようやく俺達が全ての荷物を積み終わる頃には昼間を過ぎていた。
ほどなくして島を出るときがやって来た・・・。
「じゃあな結城、東堂、お前らのことはきっと忘れない・・・。」
そう言って瓜生はイカダに乗り込む。
その後ろ姿に二人に対する哀れみは破片も感じられない。
杉沼と熊次郎も無言で、だが最後に島の全景を眺めてイカダに乗り込む。
(さらば、結城。来世で会えることを楽しみにしている。)
そう願い俺は二人の荷物を海岸へと投げる、
そしてついにイカダは淡路島へと向かって動き始めた。
しかし、最後の最後になんと森の中から二つの影が姿を現す。
それはロケットランチャーを右手に携えた遠目にもわかるボロボロの東堂。
そしてその後ろには黒く長い髪、猛獣のような牙と爪をもち、
瞳は黒く、身長はさほど高くないが、その姿は輝く砂浜と青い海すらも
包み込むような漆黒の死の波動を放っている化け物がいる。
そして化け物はこちらへ向かいながら叫ぶ。
「ブガスコーーーーーーン!!!!!!!!!」

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