化学教育兵庫サークル 第22号


研究会の内容

  1. 期日・場所・参加者

    期 日:平成9年4月12日(土)14時00分〜17時00分
    場 所:神戸大学 発達科学部
    参加者:中澤(兵庫)、内田(東洋大姫路附属)、安岡(尼崎稲園)、浅井(東播磨)
        芝崎(武庫川女子大附属)、谷口(鳴尾)、小西(小野)、池畑(小野)
        吉田(川西)、中林、高田(舞子)、中西(神戸大学大学院生)
        川野(神戸大学4回生)
        
    
                            〔順不同,敬称略〕

  2. 巻頭言

           理科教育とは何かを求めて
                         兵庫県立柏原高等学校  谷川 直也
    
     昨年の4月にChEC  Hyogoに入会させていただきました。毎月送られてくる会報は、
    片田舎の教師にとって、大きな刺激になっています。母校に勤務して5年目、今までは、
    教科書の内容を理解させることにガムシャラに取り組んできましたが、最近、やっと今
    までの自分の取り組みを振り返る余裕ができてきました。1980年代、理科教育の分
    野で「構成主義教授・学習論」が注目を集めています。この理論によると、「子供達は
    学校で理科を学ぶ以前から、自然科学について彼ら独自の理論に基づいた考え方を発展
    させてきており、それは、学校で行う授業では容易に変えることができないほど堅固な
    ものであり、テストでは、わかったふりをして答えている。」というのです。確かに、
    日々の授業の中でこのような場面にはよく遭遇するものです。「受験化学では、生徒は
    育たないよ」という先輩教師の言葉が思い出されます。何とか、生徒の持っているこの
    素朴概念を打破できるような授業ができないものかチャレンジしていきたいと考えてい
    ます。そして、また振り返りたいと思っています。
    
  3. 連絡など

     ・第23回研究会
       5月10日(土) 14:00より  
       神戸大学発達科学部にて実施。
      東大の渡辺 正 先生の講演と協議を物理サークルとの合同で行ないます。
      
      
     ・物理サークルとレターの交換を行い、互いに情報交換をしていくことになりました。
     
      ・平成9年度会員名簿ができました。誤り、変更があれば高田(舞子)までご連絡下さい。
      
     ・平成9年度笹川科学研究助成金の申請が通りました。
      研究テーマ「危険実験・おもしろ実験ビデオの作成」   代表 浅井 尚輝(尼崎西)
    
     
     
    
  4. 研究協議

          @ 電池学習会(松下電池工業株式会社)に参加して(中澤、安岡)

     電池について多くの資料が提供された。我々が日常見かける電池については、多くの疑問点が
    あるが、その中のいくつかは解明された思いがした。また、手作り乾電池(350円)を使って
    の実演もあった。非常に簡単に乾電池ができた。
     その際、色々と話が広がった。乾電池を直列につないだ場合、その中の一つを+,−を逆につ
    ないでも電池は流れるが危険であることや松下のNationalとPanasonicの違い等話がつきなかった。
    
    
    
    A 投稿 平成8年度情報教育指導者講座に参加して(清水)
     今回、レターへ投稿ということで参加いただいた。教育の場にどんどんコンピュータが導入さ
    れている昨今、いかにそれを活用し、教育に生かすかが大きな課題である。この課題を考えるに
    あたって貴重な報告をいただいた思いがする。感想にも述べられているが、「これからの情報教
    育は、マルチメディアとインターネットである。」は実感である。これにより子供の能力をどの
    ようにして育てるのか考え、例としてあげていただいている。
    
    
    B 見せておきたい化学実験(芝崎) 
      ・ニトロセルロース
       脱脂綿などを用いてのニトロ化と違い、セルロースとして、油取り紙えお用いての実験で
      あった。きわめて薄い形状のものを用いることにより混酸がしみ込みやすく、反応が2〜3
      分で完結する。また燃焼が観察しやすい。
    
     ・黄リンの自然発火(演示実験)
       ニトロ化した油取り紙を用いて黄リンの自然発火を観察した。とても危険な薬品で見せて
      やりたいと思いながらもいい方法が思いつかずにいましたが、この方法だと案外と簡単に見
      せてやることができると思えた。しかし、注意を要することはもちろんである。
    
     ・エーテルの引火
       エーテルを気化させ、太いガラス管に入れる。それに点火すると一瞬にして炎がガラス管
      の中を走りとてもインパクトがあった。これを生徒に見せるとエーテルの性質が一目でわか
      ると思われた。 
    
    C 実験 圧電ボンに使える 安くて性能のいい圧電素子発見(内田)
     岡山県久米郡旭小学校の戸田幹雄先生の考えられたものの実演を行った。
     フィルムケースにたいこ釘をさしたものを用意する。その中にアルコールを数滴入れ気化させ
    た後100円ライターの圧電メカを用いて放電爆発させる実験であった。火花と音が非常に衝動
    的であった。この圧電メカの購入方法もわかった。
    
     
      
    
    D 酸性雨から広げる クロスカリキュラムの試み(高田)
     舞子高校の授業研究会のメンバーが、学年考査後の特別時間割を利用し実施したクロスカリキュ
    ラムの実施報告である。わずか1日でその効果を問うことは難しいが、今後へつながる試みである。
    テーマを酸性雨にしぼり化学、家庭、社会、国語の順序で授業を展開してあった。
    
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    第23回研究会のご案内

    期 日:平成9年5月10日(第二土曜日)14時00分より
    場 所:神戸大学発達科学部(旧教育学部)A棟2F大講義室
         当日、正門を入ったところに案内を掲示いたします。
        
    内 容:理科教育講演会
         演題 「中高校の電気化学:錯誤の半世紀」
         講演  渡辺 正   東京大学生産技術研究所教授 工学博士
     上記の要領で兵庫物理サークル、神戸理科サークルと合同で研究会を講演会として実施いたします。
     是非ご参加ください。
        [住所] 神戸市灘区鶴甲3丁目11番
        阪神御影,JR六甲道,阪急六甲のいずれかにより,神戸市バス36系統鶴甲
        団地行きに乗車して発達科学部教育学部前にて下車
    
  5. 編集後記

     今回初めてレターへの投稿による参加がありました。この会の発足に当たり、「で
    きるだけ多くの情報の交換」があげられています。得た情報を少しでも多くの先生方
    に提供することが大切であると考えています。自由な形での参加、情報の提供をお願
    いたします。
     また、いよいよ「危険実験、おもしろ実験のビデオ作成」が笹川科学研究助成金を
    いただき開始されます。是非、多くの方の参加と協力をお願いいたします。
    

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