化学教育兵庫サークル 第9号


研究会の内容

  1. 期日・場所・参加者

    期 日:平成8年2月10日(土)13時30分〜17時00分
    場 所:神戸大学 発達科学部(旧教育学部)
    参加者:北川(御影),小西(小野),中澤(兵庫),中(鈴蘭台)
            安岡(尼崎稲園),浅井(東播磨),平田(神大大学院),高田(舞子)
                                 〔順不同,敬称略〕
    

  2. 巻頭言

    理科教育への思い
    兵庫県立尼崎稲園高等学校 安岡 久志 今年の1月,神戸で「青少年のための科学の祭典」が初めて開催され,大盛況のう ちに日程が終了した。しかし,その来場者の中で高校生が何と少ないことだろうか。 私は,改めて「理科離れ」の一端を垣間見た思いがしたのである。  私は,このサークルで多くのことを学習させて頂いている。そして,ここで得た知 識を授業に活用できるよう努力しているつもりである。理科の教師として本来の姿を 取り戻し,「理科離れ」を防ぐ何等かのお手伝いができたらと日々思う。  このサークルが,私にとってその原動力となっていることは間違いのない事実であ る。
  3. 研究協議

    @ PETボトルを用いた再生繊維作りの試み(栗岡)

     PETボトルによる再生糸の記事をもとに,マブチモーターやビールの空き缶を利
    用してのPETボトルの繊維化を試み,一応の成功と問題点についての報告があった
    。実際に再生された繊維糸はなかなか素晴らしいものであった。
    
    A 硬水とセッケン,洗剤について(中澤)
      以前,話題にのぼった,硬水中におけるセッケンと洗剤の沈殿の是非についての実
    演があった。教科書において「セッケンは沈殿するが,合成洗剤は沈殿しない。」と
    いう内容が記載されているが,実際にやってみるとどちらにも沈殿がみられた。
    
    B スーパー繊維「ケブラー」について(小西)
      防弾チョッキ等に使われている「ケブラー」についての特性,構造,活用例につい
    ての報告があった。「ケブラー」が誕生してから約20数年もの間,その高分子があ
    まりにも強くて硬すぎ,使える形にすることができなかったが,ステファニー・クオレクの作っ
    た溶媒(濃硫酸)に溶解し世に出たという話しには驚かせた。
    
    アラミド繊維(ケブラー)のサンプルと資料提供していただいたのは
      デュポン・東レケブラー(株)
         技術部 波多野氏
       06-445-3337   FAX  06-445-2389                                            
    
    C  化学発光体について(浅井)
      『青少年科学の祭典』の出展から。ルミノール反応の実演と化学発光体(商品名:サ
    イリューム)についての紹介があった。暗室の中で光るルミノール反応は神秘的であっ
    た。		   
    		                         
    資料提供
    	  日本化学発光(株)	         
    	         092-413-1300	
    	   フリーダイアル 0120-00-3930
    D 使用済蛍光灯を使って「真空とは」を問いかける(安岡)
    
     赤く色づけした水をはった水槽に,使用済蛍光灯を立て,水中でヤスリにより穴を空
    けると,みるみるうちに赤い水が蛍光灯の中を沸騰しながら駆けあがっていくのを実演
    された。この現象を見せることにより,真空について考えさせるとともに,圧力と沸騰
    の現象について考えさせることができる。また,蛍光灯の中に入った水を取り出す方法
    を考えさせるのもおもしろい。
    
    参考文献
    「理科教室(新生出版)」12月号
    E インターネットの利用について
     インターネットを利用することにより色々な理科に関する情報を得ることができるこ
    との実例を出しての説明があった。また,この研究会の情報を他に伝えることもでき,
    将来的に実現させようとの話しも出た。
  4. 次回研究会の案内

    期 日:平成8年3月9日(第二土曜日)14時00分より
    場 所:神戸大学発達科学部(旧教育学部)(教室については当日正門を入ったところ
        に案内板を置き連絡します。)
        【住所】神戸市灘区鶴甲3丁目11番
         阪神御影,JR六甲道,阪急六甲のいずれかより,神戸市バス36系等鶴甲
         団地行きに乗車して発達科学部(旧教育学部)前にて下車。
    内容 1部(14:00〜15:30):話題提供による協議
       2部(16:00〜18:00):講演会
                        題名 「エネルギーと環境」
                        講師 東京大学原子力総合センター助教授
                            小佐古 敏荘 先生
    
     
  5. 編集後記

      サークルができてから1年が過ぎようとしています。発足当時は,ただただ1年で姿
    を消すことがないことを願っていました。しかし,現在は,毎回豊富な話題で盛り上が
    りとても充実した内容の会が続いています。私自身にとっても多くの情報を得,とても
    多くの刺激を受けました。次回は1年の区切りとして講演をしていただくことになりま
    した。是非,多くの方にいらしていただきたく思います。
    
                                                      T&K《平成8年3月1日》
    
訂正とお詫び
先月号(8号)において「化学ア・ラ・カ・ル・ト」の話題の提供者が谷口先生となっておりましたが小西先生の間違いでしたのでお詫び申し上げます。

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