化学教育兵庫サークル 第6号


研究会の内容

  1. 期日・場所・参加者

    期 日:平成7年11月11日(土)13時30分〜17時00分
    場 所:神戸大学 発達科学部(旧教育学部)
    参加者:小西(小野),水野(加古川東),中澤(兵庫),安岡(尼崎稲園),今濱
        (赤塚山),滝川(市立神戸工業),吉田(川西),谷口(鳴尾),浅井(
        東播磨),高田(舞子),平田,小林(神戸大大学院)
    
                           〔順不同,敬称略〕

  2. 巻頭言

    雑談の効用
                          県立小野高等学校  小西邦和
    
     ChEC Hyogoの例会もはや6回が過ぎた。私の出席率は70%くらいだろ
    うか。気楽に気長につき合わせてもらいたいと思っている。
     私がこの会に魅かれるのは,様々な先生方と話をしている中で,実に教えられるこ
    とが多いからだ。特に,話題が提供された後の,それに関連したfree talki
    ngは楽しい。個人的には,話題のテーマから少々はずれてもそこから派生した雑談
    はした方がいいと思っている。案外,そんなところから本質的なことを学んでいるよ
    うな気がする。
     社会の中では”自由な”とか”活発な”とかいった集団が見られるが,そういう集
    団の持つ雰囲気とは構成メンバー間の自由な意志の疎通ができて初めて生まれるよう
    に思う。しかも新しい発想などは,意外に堅苦しい会議などでは生まれず,自由な雑
    談から出てくることが多いという。我がChEC Hyogoもこうなっていけば,
    と思っている。あっ,すでにそうなっているか。いずれにせよ,これからのこの会の
    発展を祈念し,私もできることから協力していきたいと思っている。
    
  3. 連絡など

     ・第7回研究会は,12月9日(土)13時30分より神戸大学発達科学部(教室
      未定)にて行います。その後忘年会を予定しています。
    
  4. 研究協議

    @ 小学生雑誌の付録より(中澤)

     小学生雑誌「学研」の付録より日光に当てると紫色に変色し,陰におくと,もとに
    もどる恐竜モデルの紹介があった。他にも理科の題材に使えるものが多くあると思わ
    れた。
    
    A FAXを利用しての情報の取り出し方(中澤)
     ・花王の生活科学研究所が行っている「花王FAX生活情報」の利用の仕方につい
      ての説明があった。セッケン等に関する多くの情報がこの利用により得られると
      のことであった。
     ・NHK教育テレビで毎週月曜日18:50〜19:20(再放送土曜日10:30〜11:00)に放送
      されている「やってみようなんでも実験」の各回の内容をまとめたニュースレタ
      ーのFAXによる取り出し方についての説明があった。ニュースレターには簡単
      でおもしろそうな実験が多くあった。
    
    B 洗剤と安全性(中澤)
     花王の研究所から提供していただいた高吸水性樹脂と市販の紙おむつを使って,そ
    の吸水性とその時の状態を観察する実験の実演があった。
     これらのものの吸水性の大きさには非常に驚かされた。また,樹脂の構造上から,
    吸水後,酸(塩酸など)を加えると,吸水されていた水がもどり,これにもまた驚か
    された。次回に,もう一度実演していただくことになった。
    
    C 使い捨てカイロの反応熱の測定の実験について(安岡)
     使い捨てカイロの成分のはたらきと化学反応を理解することを目的とした実験につ
    いての実践報告があった。
    カイロの成分の中から1つ抜いて反応熱を測定し,その結果を比較することにより各
    成分の役割考察をするというものであった。生徒に抜く成分を自由に選ばせたところ
    ,水を抜くところもあり,とてもおもしろい実験のようであった。
    
    D 局部電池としての鉄錆の生成の実験について(安岡)
     局部電池の例として鉄錆を取り上げ,塩がこの反応を促進することを実証し,その
    メカニズムを理解することを目的とした演示実験の報告及び実演があった。
    フェノールフタレインやフェリシアン化カリウムを使った色の変化によりはっきりとした違いが確認され
    ,塩が反応を促進する要因であることがよくわかった。少し疑問が残った点は,鉄釘
    を曲げた方が鉄錆が進行しやすいのは何故かということであった。
    
    E 水処理用凝集剤について(水野)
     前回宿題になっていた水処理凝集剤の多木化学(加古川市)の硫酸バンドとポリ
    塩化アルミニウムについての報告と実演があった。
     校庭の砂を水に混ぜたものに硫酸バンドとポリ塩化アルミニウム(PAC)をそれ
    ぞれ加えその様子を観察した。ともに時間的な違いはあるが,上方から網を打ち,そ
    れにより砂などの粒子が捕らえられ沈殿していくような感じで凝集されているのがよ
    くわかった。また,PACはpHが大きく影響し,pH>7ではじめてその効力を発
    揮し,pH<7では効力がないことが印象的であった。
    F 砂からガラスをつくる実験(谷口)
     校庭の砂からガラスをつくる実験の説明とつくった実物の紹介があった。確かに,
    砂の成分もガラスと同じ二酸化ケイ素であるが,ただの砂からガラスがつくれるとい
    うのには驚いた。
    
  5. 次回研究会の案内

    期 日:平成7年12月9日(第二土曜日)13時30分より
    場 所:神戸大学発達科学部(旧教育学部)(教室については当日正門を入ったとこ
        ろに案内板を置き連絡します。)
        【住所】神戸市灘区鶴甲3丁目11番
         阪神御影,JR六甲道,阪急六甲のいずれかより,神戸市バス36系等鶴
         甲団地行きに乗車して発達科学部(旧教育学部)前にて下車(バス代20
         0円)。
     
  6. 編集後記

     ここ数回,環境に関する話題提供が続いています。今回は生活雑排水に含まれる石
    鹸,洗剤の安全性の問題や水処理凝集剤についての話しでした。これらの話題が提供
    される度に,社会問題となっている環境問題において化学の分野が大きく関っている
    ことを実感するとともに,単なる化学の身近な一例に止まらず何とか生徒たちに自分
    たちの問題として考えさせることができないものかと強く思います。
     また,砂からガラスをつくる実験のように,容易にでき,「ハッ」とする実験は一
    種のひらめき的感覚を覚えます。
     次回は,研究会と忘年会の2本立てです。研究会はもちろんのこと,忘年会でどの
    ような話しがでてくるか,ワクワクしながら待ちたいと思います。
    
                            T&K《平成7年12月1日》
    

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