化学教育兵庫サークル 第5号


研究会の内容

  1. 期日・場所・参加者

    期 日:平成7年10月14日(土)13時30分〜17時00分
    場 所:神戸大学 発達科学部(旧教育学部)F棟F−151教室
    参加者:吉田(川西)、中澤(兵庫)、滝川(市立神戸工業)、春元(家島)、
        浅井(東播磨)、谷口(鳴尾)、安岡(尼崎稲園)、水野(加古川東)
        出口(宝塚東)、高田(舞子)、平田(神戸大院)、栗岡(加古川北)
                                〔順不同,敬称略〕

  2. 巻頭言

    『出会い、そしてこれから』
       舞子高校 高田 泰英  池に石が投げ込まれ、その輪が広がっていくように、ある人との出会いから確実に 人の輪が広がり、自分に新しい知識・考え方を与えてくれていると感じるこの頃です 。いつも”導入−展開−まとめ”といった流れを確立し、生徒がこのことはわかった と思える授業を目指しています。そのために生徒のわかろうとする姿勢を引き出す動 機づけが大切となってきますが、もっといい話題や実験はないものかと悩みます。ま た、理論で説明したものを決定づけ、実証してみせるものはないかと探します。それ が、この会への参加によって、毎回のようにこれはやってみよう使ってみようという 発見になって返ってきます。自分が1人の生徒になって純粋に驚き、感動し、よし今 度やってみようといった感じになるのです。そして、今まで教科書の内容をいかにわ かりやすく教えるかだけにとらわれていた自分にとって、STS教育の「クロスカリ キュラム」や「イギリスの試験からみた理科教育」、環境問題をテーマにした「水」 や「二酸化窒素の測定」の話しは非常に新鮮で、社会の中の理科教育という新しい観 点を与えてくれました。これをこれからの授業にいかに生かしていくかを今後考えて いきたいと思っています。  これからもサークルの輪がさらに広がり、新しい出会いと発見が生まれることを期 待し、積極的に参加していきたいです。
  3. 研究協議

    @  二酸化窒素の測定について(安岡)

     大気中の二酸化窒素の量の測定について、授業で実践していること及び夏休みなど
    を利用して得たことについての紹介があった。詳細は、4頁〜8頁の資料を参考にし
    ていただきたい。
     説明の中で印象深かったことは、次のことであった。測定の結果得たデータ(μg
    )を、ppmへの換算は、換算係数を用いて行うため、異なった測定方法で行われた
    データーの比較が難しい。環境基準に照らし合わせて、判断するにしても、換算係数
    の取り方によって、適にも不適にもなる可能性があり「数値」は必ずしも客観的なも
    のとはいえない。
     測定方法もいくつかあり、簡単に測定のできる「ECO ANALYSER NOX」や「フィルターバ
    ッジ NO2」などの市販されているということである。
    
    A 有機化学の学習に関して(水野)
     ・授業で実施している実験の紹介と解説があった。(詳細については、9頁参考)
     ・有機化学の反応の流れ図を一太郎の化学キットで作成し授業で活用している報告
      があった。(プリントは、10頁〜13頁に掲載)
    
    B 日常生活にある物の利用(栗岡)
     ・赤色と緑色の炎の出る使い捨てライターについて
       「東海」よりでているリチウムと銅の炎色反応を利用した使い捨てライターを
      持参しての紹介があった。1個200円とのこと。他の炎色反応もないものだろ
      ううか?との声があった。
     ・「雪の素」について
       信州熊ノ湯高原の土産物として市販されている「雪の素」を持参しての紹介。
      これは前回に報告のあった吸水性ポリマーである。ある本の紹介によると、屋内
      人工スキー場の雪は、これに水分を吸収させた後、凍らし粉砕したものであると
      のことである。(23頁参考)。
     ・「尿素(肥料)」の利用
       化学と教育の記事を参考にしての追試の紹介があった。(14頁参考)。
     ・入れ歯用の義歯を安定剤を利用して、風船を作りその中に水素を入れ、水素の爆
      発実験を行った報告があった。
    
    C 食品中の亜硝酸塩の定量(中澤) 
        授業で行っている食用のハムの中の亜硝酸塩の定量について話題提供があっ
       た(15頁〜16頁参考)。高価なハムと安価なハムでは高価なハムの方が含有量
       が多いとのこと。安価なハムは魚肉が入っており色素による着色があるため。
       色素はコチニールといってサボテンに寄生する虫から採られる色素とのことで
       あった。
    D 「見直したい水道水」(中澤)
         大阪市立環境科学研究所が行っている講座に参加した報告があった(詳細
        は、17頁〜22頁の持参資料の抜粋を参考)。水道水について、その浄水方法
        や水質基準などの講座の内容が、当日使われた資料をいての報告であった。
         この中で現在の浄化方法では、河川に流れ込んできた農薬や洗剤は除去で
        きないとの説明は衝撃であった。含まれている有機物の半分は洗剤とのこと
        である。
    E アルミニウムアマルガムと空気の反応(出口)
      「化学を楽しくする5分間」(化学同人)の上記のタイトルの実験について紹介
     があった。アルミニウムはイオン化傾向が大きいにも関わらず酸化皮膜のために反
     応しにくい面がある。反応しやすさを実感させる実験として効果的とのことである
     (同書21〜22頁に掲載)。このことから、アルツハイマー病とアルミニウムイオンの
     関係やポリ塩化アルミのことへと話題がいった。ポリ塩化アルミは高砂のタキ化学
     の製品にあるとのこと、次回水野(加古川東)もしくは浅井(東播磨)から実物を
     手にいての報告がある。                                    
    F インターネットについて
     インターネットの話が若干話題に上った。これからの時代パソコン通信が重要な情
    報源となってくるだろう。インターネットや一般のパソコン通信といったものを道具
    として扱えなくてはいけない時代の準備をせねばならないと感じた。
  4. 次回研究会の案内

    期 日:平成7年11月11日(第二土曜日)13時30分より
    場 所:神戸大学発達科学部(旧教育学部)(教室については当日正門を入ったとこ
        ろに案内板を置き連絡します。)
        【住所】神戸市灘区鶴甲3丁目11番
         阪神御影,JR六甲道,阪急六甲のいずれかより,神戸市バス36系等鶴
         甲団地行きに乗車して発達科学部(旧教育学部)前にて下車(バス代20
         0円)。
    
     
  5. 編集後記

     ChEC Hyogoのロゴマークが上記のようにできました。神戸大大学院生平
    田さんの作です。有り難く使わしていただきます。
     毎回、どなたか新しい参加者が見られるようになりました。今回も家島高校から春
    元先生が初参加されました。参加者も増え、活動が途中で途切れる心配もなくなって
    きました。毎回参加するというのは、休日とはいえ部活動など公務の都合、また私的
    な都合からも難しい面があります。6〜8割ぐらいの出席率でも研究会が維持できる
    ようになれば、この会も長く続けていけると思います。私自身もこの研究会の活動に
    、無理なく、しかし多少の無理をしながら頑張っていきたいと考えています。
     12月9日の第7回研究会の後、忘年会を開く予定です。今から予定を空けておき
    ましょう。
     研究会だけでなく、「科学の祭典」にもこの会の多くの方がかかわっています。是
    非成功させましょう。
                           T&K 《平成7年11月1日》
    

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