校長先生の授業 5月6日までの約束⑦

みなさん、元気ですか。早いものでもう5月も半ばです。国民みんなの行動や経済活動の制限、そして医療関係者の方の努力のおかげで学校再開も見えてきました。しかし油断禁物です。新しい行動様式を意識して、感染の拡大防止には努めましょう。また、学校再開に向けては、まずは生活リズムを整えましょう。課題はやっていますか。1学期の成績の評価にも入ってきます。きちっと仕上げていきましょう。では、7回目のミニ授業です。

今回は「読書する人だけがたどり着ける場所」(著者:齋藤 孝 出版社:SB新書)です。

  著者の齋藤孝先生は、明治大学の教授で「声に出して読みたい日本語」など、様々な本を書かれていますが皆さん知っていますか。テレビでもNHKや「全力!脱力タイムズ」などにも出演され、幅広くご活躍しておられます。
 本書の中で、1日の読書時間ゼロの大学生が、半数を超えたことが紹介されていました(第53回全国学生生活協同組合連合会による学生生活実態調査53.1%が大学生の1日の読書時間)。これは、読書の楽しさを知らずに、大学生活を過ごしてしまっていることになります。皆さんは「朝読」(新入生の皆さんも本校では朝、本を読んで1日をスタートします)があるので、半分の大学生よりも上ということでしょうか。
 しかし、皆さんの中には文章はネットで読んでいるよ、と言う人がいるかもしれません。齋藤先生は、ネットで文章を読むことと本を読むことは違う、と言われています。ネットで本を読むと言うのは、パッパパッパと色々な情報を面白いか面白くないかで選り分け、ドンドン消費する消費者と言われています。例えば、曲を聴くときでも、イントロを聴いていることが我慢できなくなって、次の曲を探し始めるということです。
一方、本を読むときは、じっくりと本と向き合い、そこに深い思考があると述べておられます。確かに、今回私もこれで7冊目の本を短期間に読んでいますが、どの本を読んでも深く深く海に潜っているように感じ、じっと考えているような感覚になっている時があります。今回の授業③でAIの話が出てきました。齋藤先生は本書の中で、「 AIに負けないことを目的にして生きるなんて本末転倒です。 AIが出てこようが出て来なかろうが『自分の人生をいかに深く生きるか』が重要なのではないでしょうか」と述べられています。さらに、齋藤先生は歌手のJUJUさんのことを紹介しています。JUJUさんは、コンサートなどで各地に行った時に、必ず本屋さんに立ち寄るそうです。「本というのは、ドラえもんのどこでもドアみたいなもの。その本がそれぞれの世界に連れてっていってくれる」と楽しそうに話されています。1冊の本が、様々なところに連れてってくれるそういう楽しさを、皆さんは朝読で毎日経験しています。
 齋藤先生は本を読むときに、次のような事をよくされるそうです。それは本の中から素敵な文章を3つ選ぶということです。よく考えてみたら、私も今回皆さんに本を紹介するときに、いつの間にかこれはいいなぁと思うところを紹介していたと思います。皆さんも本を読んだときに、これはいいなぁという文章を選んでみてください。 
 これからも本を読んで、豊かな高校生活を過ごしていってくださいね。私もこの1ヵ月そんな毎日を過ごしています。これで今日の授業は終わります。
  

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