校長先生の授業 5月6日までの約束①


 皆さん、家での生活はどうですか。不要不急の外出はしていませんか。ただし、3密を避けて、歩いたりジョギングしたりは兵庫県も勧めています。リズム正しい生活を心がけましょう。
←(これについては次回お話しします)

 さて、これから、学校再開まで、この場を借りて時々ミニ授業をします。内容は、皆さんに「5月6日までに本を10冊読みます」と4月8日に宣言をしたので、その読んだ本を通して授業をしたいと思います。

     「一途一心、命をつなぐ」(著者:天野 篤  出版社:飛鳥新社)

この本は、順天堂大学医学部教授の天野篤(あまの あつし)さんの心臓外科医として過ごされた半生(現在も精力的に手術をされている)が書かれています。2012年天皇陛下の心臓冠動脈バイパス手術を成功され、一躍有名になりました。バイパス手術の専門医として年間500件の手術をこなし、98%の成功率を持つ心臓外科医です。 心臓外科を扱ったテレビドラマ「医龍」や、映画「チーム・バチスタの栄光」の監修にも携わっておられます。この本から二つのことに強く印象を受けました。
 一つ目は、題名にもなっている一途一心(いちずいっしん)という言葉です。本の中でも一途一心とは、「ひたむきに、ひたすらに」と述べられています。1つのことにひたむきに取り組む。自分の事も、周りのことも気にならないくらい、無心になって向き合った経験が大切」と述べられています。皆さんはそんな経験がありますか。また、ひたむきに努力したものだけが手にすることができる不思議な力があると述べられています。皆さんも勉強、部活動、趣味を含めて、そんな力を感じたことはありますか。
 二つ目は、患者さんへの励ましの大切さです。天野先生は一日に3つの手術があっても、その合間に手術着のまま患者さんを看に行かれたりされています。それが夜明け前に手術が終わったあとであっても、だそうです。本当に医者という仕事が好きなんだなぁと感じ、私も見習わなければと反省しました。
 さて、その中で手術の腕が上がる秘訣が紹介されていました。それは「真似る」ということです。本文の中に「スポーツや職人の世界では、修業時代に一流選手の技をひたすら真似たり、匠の技を懸命に盗んだりして力をつけていくものだが、これは外科医の世界でも同じだ。目の前に自分よりも腕のたつ医師がいたら、積極的に真似て、その技を自分のものにしていく。(中略)大事だと思うことは全部、頭の中に画像としてしまい込んだ。そして、自分も同じようにやってみた。何度も繰り返しやってみた。その先生の“ミニ版”と言われるくらいまで真似をした。ぼくは徹底的に真似た」
 私の専門は数学です。数学ができるようになるには?という質問がありますが、「考えること」はもちろん大切です。しかし、自分の力で問題が解けるためには、例題などが瞬間的に思いつくまで徹底的に繰り返すことは避けて通れません。徹底的に真似る前にみんな止めてしまいます。
 さて、物は考えようで皆さんもこの臨時休業中、家での時間がたくさんあるので、繰り返し真似て、何かひとつ身に付けてはいかがでしょう。では、今日の授業は終わります。
 


 


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