ノビタキ 07.04.17





春を運ぶ小鳥



 4月14日、南但馬自然学校の周りに“ノビタキ”がやって来ました。ノビタキは春に東南アジアなどの南の国から、南但馬自然学校がある近畿地方を通過し、本州中部より北の繁殖地を目指して旅をする渡り鳥です。ノビタキを見かけるようになると、山間地の本校でもオオヤマザクラコブシが花を開きます。ノビタキは南但馬自然学校に春を運んでくれる小鳥です。

 この「自然のページ」でノビタキを取り上げるのはこれで3度目です。前回は、当地で*越冬したノビタキを紹介しました。覚えておられる方は、上の写真をご覧になって「あれ、この黒い鳥がノビタキ?」と思われたことでしょう。この黒いタキシードを着たような姿は、夏羽になったオスの特徴です。そして、こちらの淡い色合いのものがメスです。

 ノビタキ(野鶲)はその名前が示すように、開けた環境を好みます。田んぼや畑の周りに突き出たように残る枯れ草の茎を、しっかり握りしめてとまり、ここから地面や空に、にらみを効かせ虫を狙らっています。それぞれ、個体によってお気に入りの場所があるらしく概ね決まった茎にとまりますが、人気のある茎は・・・ほらこの通り、上下に仲良く並ぶこともあります。

 こちらは畑脇のカキの木で虫を狙っています。虫を見つけるとサッと飛び立ち、またもとの枝にもどって来ます。地面に下りても獲物をめがけてジャンプ! ノビタキたちは、まだ薄暗い早朝から夕方まで、ほとんどの時間をエサ捕りに費やしています。
 日が西に傾くと、ノビタキたちもそろそろ仕事仕舞いです。田んぼ脇の小川にそろりと入ると、しぶきを上げて豪快に一風呂。風呂上がりにはグルーミングは欠かせません。「あ〜気持ちよかった
 冬をこの地で過ごし、間もなく北へ旅立つ“マヒワ”がカキの木にやって来ました。何やら内緒話をしています「おい見ろよ、ノビタキがいるぞ」「そろそろ私たちも出発しないとまずいんじゃない・・・」側では同じく帰郷組の“ツグミ”も聞き耳を立てています。

 ノビタキは2週間ほどで、南但馬自然学校周辺を通過していきます。次回、彼らに出会えるのは、越冬地を目指して南下する9月下旬頃になります。今度はこの春生まれた若鳥も一緒に秋を運んできてくれることでしょう。

文責 増田 克也

*越冬したノビタキについて
観察を続けてきた、越冬ノビタキは4月1日を最後に姿を見せなくなりました。おそらく、南からやってくる仲間を待たず、一足先に北国に旅立ったものと思われます。これまで気にかけてくださった皆様に、ノビタキの旅立ちをお知らせし、お礼に代えさせていただきたいと思います


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