ノビタキ 07.03.13





とうとう越冬



 昨年12月に、この「自然のページ」で、なかなか南に旅立たない“のんびり屋のノビタキ”を紹介しました。そのときは「間もなく旅立つだろう」と思いながら観察を続けていましが、その後も、餌場の耕作放棄田とその周辺に居座り続け、とうとう越冬してしまいました。

 ノビタキは「旅鳥」と呼ばれる渡り鳥で、春に東南アジアなどの南の国から、繁殖地の日本中部以北を目指して、南但馬自然学校がある近畿地方を通過していきます。そして、子育てを終えた秋には、再び越冬地の南の国にもどるため、近畿地方を通り南下します。ところが、上の写真のノビタキは、越冬地にもどる途中でこの地に居着いてしまいました。先島諸島では越冬した例があるようですが、但馬地方で越冬するとは驚きです。

 ノビタキが越冬できたのは、やはりエサとなる虫が確保できたためでしょう。ノビタキのエサの捕り方は二通りあり、枯れ草のてっぺんなど少し高い場所から、地面にいる虫を探す方法と、飛ぶ虫を空中で捕らえる「フライングキャッチ」と呼ばれる方法です。今年は雪に閉ざされる日がほとんどなく、地面でイモ虫などが捕れたことに加え、耕作放棄田にしみ出す水場で真冬でも小さな虫が発生したので、エサには不自由しなかったのでしょう。ノビタキが越冬した原因は暖冬の影響が多分にあったと言わざるを得ません。

それでは、これまでのノビタキの様子をダイジェストでご覧ください。

 さあ、このノビタキはこれからどうなるのでしょう。あと一月足らずでやってくる仲間と一緒に繁殖地へ旅立つのか、それとも一足先に北上するか、あるいは同じこの地で越冬する、猛禽類の餌食になってしまうのか、それは誰にもわかりませんが、姿が見えなくなるその日まで観察を続けたいと思います。

文責 増田 克也

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