11.酵素の働き |
A. | カタラーゼ |
[目的] | カタラーゼは、呼吸の副産物として生じる有害な過酸化水素を分解して無害な物質にかえる酵素で、この酵素は動物の体にも植物の体の中にも存在する。無機触媒の二酸化マンガンと比較しながら、その働きと性質を調べる。 |
[材料] | 酵素液(レバー にんじん じゃがいも もやし 大根など) 過酸化水素水 塩酸溶液 水酸化ナトリウム溶液 二酸化マンガン 線香 |
[準備および操作] | |
1) | 酸 アルカリ 熱など条件を変え、カタラーゼがどのように働くか調べる。 |
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2) | 火のついた線香を気体の発生した試験管の中に入れ、気体が何か確かめる。 |
[留意点・工夫点] | |
* | 酵素液を作るため材料は、すりつぶしたり、すりおろして必要に応じて水を加えガーゼで絞る。 |
* | 固形の材料を使用してもよいが絞り汁を使用する方が、酸・アルカリ・熱の影響を受けやすい。 |
* | 材料により酵素の活性が異なるので様々な材料で試してみるとよい。 |
* | レバーは、1班4〜5gが購入目安。小分けして冷凍しておくと長期間保存出来る。 |
* | もやしは、1クラス3袋が購入目安。 |
* | 二酸化マンガンは粒状のものを使用するとよい。同じくらいの大きさのものをそろえる。終了後は回収して流水で洗い、乾燥させて再使用する。 |
* | レバーは凍らせてすりおろすと早い、すりつぶす場合は石英砂を入れてすりつぶす。 小片でも使用できる。 |
* | 半解凍の状態が切りやすい。生レバーは、はさみで切るとよい。 |
* | 固形物の材料は流しに流さず回収する。 |
B. | デヒドロゲナーゼ(脱水素酵素) |
[目的] | 呼吸は、呼吸基質(グルコース)が酵素によって順次分解される反応で、クエン酸回路の中間産物であるコハク酸は、脱水素酵素によってフマル酸になる。メチレンブルーを指示薬としてこの反応を調べる。 |
[器具・材料] | |
ツンベルク管 アスピレーター 酵素液(乾燥酵母 レバー ささみ じゃがいも もやしなど) コハク酸ナトリウム溶液 メチレンブルー溶液(Mb) |
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[準備および操作] | |
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[留意点・工夫点] | |
* | ささみは、1クラス4本が購入目安。 |
* | もやしは、1クラス3袋が購入目安。 |
* | 水につけてふやかしておいた大豆や小豆などをつぶして使ってもよい。 |
* | メチレンブルー溶液は、0.01mol/l(約0.3%)溶液を作り、酵素液の濃度に合わせて希釈して使う。 |
* | ツンベルク管は、グリースを拭きとってから液体洗剤を入れた湯で2〜3回繰り返し煮るとよい。エーテル、石油ベンジンで溶かしてもよい。 |
* | 使用した試験管の落ちにくい汚れは、洗浄液に1日つけおき、ブラシで水洗いするときれいになる。(一般編器具の洗浄参照) |
* | 動物性材料より植物性のものを使用した方が洗いやすい。 |
* | アスピレーターは一度にたくさん使用すると水圧が低下する場合があるので、本数を制限するなど工夫する。 |
* | アスピレーターの代わりに真空ポンプも使える。 |
* | 主室と副室が取れなくなった場合は、湯につける、木槌でたたく、冷凍庫に入れるなど試してみる。 |
* | コハク酸ナトリウム溶液の代わりにコハク酸溶液も使用できる。 |
* | ツンベルク管の代わりに試験管に酵素液などを入れ流動パラフィンで空気を遮断したものでも同様の結果が得られる。 |
<その他の酵素> | ||
アミラーゼ | : | 人の唾液、だいこん汁に多く含まれる消化酵素・・・デンプン(アミロース)をマルトース(麦芽糖)に分解する。 |
ペプシン | : | 胃から分泌される消化酵素・・・タンパク質をペプトンに分解する。 |
パパイン | : | パイナップルやキウィに含まれている酵素・・・タンパク質を分解する。 |