61.洗剤の成分を調べよう

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[目的]洗剤の成分を調べ、安全性や環境汚染の面で問題となる界面活性剤の存在を確かめる。
[領域]化学:エステルと油脂
環境:水質汚染
[準備]各種洗剤 酢酸CH3COOH メチレンブルー 濃硫酸H2SO4 クロロホルムCHCl3
無水硫酸ナトリウムNa2SO4 エチルバイオレット溶液 酢酸緩衝液
キシレンC6H4(CH3)2 (またはトルエンC6H5CH3) 希塩酸HCl
[操作]
 洗剤を水に溶かし検液を作り、成分について調べる。
 a.セッケンが含まれているかどうかを調べる:
   検液に検出試薬(水:酢酸 を7:3の割合で混合する)を数滴落とす。
 b.メチレンブルー法で界面活性剤の種類を調べる(陰イオン系、陽イオン系):
   検出試薬に検液を数滴加えよく振る。
 c.LASの存在を調べる:
   検液5mlを試験管に取り、酢酸緩衝液0.25ml、エチルバイオレット溶液0.1ml、キシレン(またはトルエン)3mlを順にいれる。
[留意点・工夫点]
使用する器具を、希塩酸で洗った後、純水ですすぐと洗剤の残留が避けられる。
aで液が白濁すればセッケン分が含まれている。ただしASF、DA、SE等が含まれている場合も弱い白濁がおこる。
メチレンブルー法検出試薬の調製は以下のようにする。
 メチレンブルー0.03g 濃硫酸7ml 無水硫酸ナトリウム50gを水に溶かし全量を1lにする。この試薬1mlとクロロホルム1mlを混合したものに、LASを含む洗剤を上層と下層の色が同じ濃さになるまで数滴加えよく振る。
bで陰イオン系界面活性剤が存在すれば、メチレンブルーと結合し有機溶媒であるクロロホルムに溶け込む。上の青が薄くなり下が濃くなる場合は陰イオン系、上が濃くなり下が薄くなる場合は陽イオン系である。非イオン系であれば、上下とも青くなる場合がある。
クロロホルムを用いない検出試薬として、0.05mol/l塩酸5mlに0.1%チモールブルーを3滴加えたものも使用できる。陰イオン系界面活性剤が存在すると橙色が赤紫に変化する。
LAS検出試薬の調製は以下のようにする。
 エチルバイオレット溶液:エチルバイオレット0.492gを水1リットルに溶かす。酢酸緩衝溶液:硫酸ナトリウム10水和物Na2SO4・10H2O 322g EDTA 14.6g 無水酢酸ナトリウムCH3COONa 27.2g 酢酸12mlを水に溶かし全量を1リットルにする。
cでキシレン層が青くなれば、LASが含まれている。
各種洗剤の主な成分は衣料用洗剤の場合は界面活性剤(セッケン・合成界面活性剤)・洗浄力増強剤(アルミノケイ酸塩・ケイ酸塩・炭酸塩・プロテアーゼなどの酵素)・蛍光剤など。台所用洗剤では高級アルコール系界面活性剤(POE・R ・LAS)、マイルドタイプのものには非イオン系界面活性剤が使用されている。洗顔料やボディソープには水溶液が中性から弱酸性を示すMAP等も使用されている。
分子が親油性の基と親水性の基を共に持つ場合、その分子は親油基が水から反発を受け水と油の境目(界面)に集まりやすい性質を持つ(界面活性)。界面活性剤は少量でこの性質を起こしやすく、難溶性の物質を簡単に水に溶かし込むことができる。
代表的界面活性剤とその略称および用途

[関連実験]合成洗剤残留テスト 合成洗剤が生物に及ぼす影響を調べる 水質調査  汚水の精製
[参考文献]「よくわかる洗剤の話」 小林勇 (合同出版)
「洗浄の基礎知識」 大木建司・八木和久 (産業図書)
「化学小事典」 猿橋勝子・池永長生 (三省堂)
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