50.粒時計 人工イクラ |
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[目的] | アルギン酸被膜を応用して人工イクラや粒時計を作る。 |
[領域] | 化学:浸透圧
生物:細胞の構造 |
1. | 粒時計を作る |
[準備] | アルギン酸ナトリウム水溶液 塩化カルシウムCaCl2水溶液 ペットボトル2本
ビニールホース | |
[操作] |
1) | アルギン酸ナトリウム水溶液を塩化カルシウム水溶液に滴下する。 | ![]() | ||
2) | 出来た粒をペットボトルに入れて水を加え、ビニールホースをジョイントにして、水がこぼれないように2本のペットボトルをつなぐ。 | |||
[留意点・工夫点] | ||||
・ | アルギン酸ナトリウム水溶液をポスターカラーなどで何種類か着色するときれい。 | |||
・ | ホースと注ぎ口はビニールテープなどで補強するとよい。 | ![]() | ||
・ | ペットボトルの水に微量の硫酸銅を入れ、気泡が入らないようにして接続すると、水がくさりにくい。 |
2. | 人工イクラ |
[準備] | アルギン酸ナトリウム水溶液 塩化カルシウム水溶液 赤パプリカ 油 | |
[操作] |
1) | アルギン酸ナトリウム水溶液を熱水などで完全に溶かし、赤パプリカなどで着色する。油はさらに濃く着色する。 | |
2) | アルギン酸ナトリウム水溶液の中に油を包み込んだ液滴を作り、塩化カルシウム水溶液の中に滴下していく。塩化カルシウム水溶液はスターラーなどでゆっくり回転させ、人工イクラを固まらせる。 |
[留意点・工夫点] | ||
・ | 市販されている人工イクラは、塩化カルシウムの代わりに乳酸カルシウムが使用されており、食塩や調味料、だしなどで味付けされている。 | |
・ | アルギン酸ナトリウムの代わりに水で戻した昆布をミキサーで砕いて使用してもよい。(少し昆布のにおいが残る) | |
・ | アルギン酸ナトリウムのカプセルにサラダ油を注入すると本物らしくなるが難しい。塩化カルシウム水溶液中に多量の油が入ったら、水溶液を作り直すとよい。 | |
・ | 着色は赤パプリカ以外に赤キャベツの絞り汁や食用色素、βカロテンなどでもよい。 |
[全般的な留意点・工夫点] | |
・ | アルギン酸ナトリウム水溶液、塩化カルシウム水溶液は1%ぐらいでよい。 |
・ | アルギン酸ナトリウムは溶けにくいが、電子レンジなどを使ったりして完全に溶かしきる。 |
・ | アルギン酸が作る半透膜が、生物の細胞膜と同じ性質を持つことを観察することができる。 |
・ | アルギン酸ナトリウムは昆布などの海藻類に多く含まれる天然多糖繊維質で、健康食品など食品分野で多く利用されている。アルギン酸ナトリウム水溶液はカルシウムイオンによって不溶性になり、表面に半透膜ができる。 |
・ | アルギン酸ナトリウムは、中に酵母を入れてアルコールを生産するなど、バイオリアクター(充填型生物反応器)として利用される。常温・常圧で特定の物質にのみ作用して、特定の反応を効率的に進めるという生物反応の利点を生かしている。 |
[参考文献] | 「imidas 2003」 集英社 |
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