39.樟脳作り

もくじへ
[目的]楠から樟脳を分離、精製する仕方を知る。
[領域]化学:物質の分離
環境:天然抽出物
[準備]楠の葉 水蒸気蒸留装置 エタノールC2H5OH
[操作]
 1)細片にした楠の葉を枝付きフラスコに入れガラス管を差し込む。
 2)水蒸気蒸留装置を組み立て水蒸気蒸留を行う。
 3)得られた樟脳をろ過してから水分をろ紙で除去する。
 4)樟脳にエタノールを加え加熱溶解後、冷却し析出物を取り出す。(再結晶)
[留意点・工夫点]
楠の葉は、若葉ではなく古葉を使う。枯れ落ち葉でもよいが予め水洗いをしておく。枝も使える。
葉をミキサーにかけてもよい。水200mlと楠の葉5gを入れて20〜30秒かける。吸引ろ過したものを使う。
葉は、フラスコに隙間なく入る大きさにし、枝付きフラスコに詰める。ガラス管はできるだけ底の方まで入れる。
水蒸気を発生させるフラスコに入れる水は容量の1/3〜1/2くらいがよい。沸騰石を入れる。蒸気圧を見るためにガラス管を差し込む。
二つのフラスコを繋ぐゴム管は蒸気が液体にならないように短いほうがよい。
回収用の三角フラスコは切り込みの入ったゴム栓で繋ぐ。アダプターは樟脳で詰まることがあるので使用しないほうがよい。
冷却管に付着した樟脳は針金で三角フラスコに押し出すか、少量の蒸留水で洗い流し、ろ過をして回収する。
300mlのフラスコいっぱいの楠の葉で約0.3gの樟脳が取れる。
樟脳は水に対する溶解度が室温で0.167g/100mlである。三角フラスコに残っている樟脳は、ろ液を使って再ろ過する。新たな水は使わない。
水と混和しない有機化合体を精製するとき、または、これを異物から分離する時に水蒸気蒸留の方法が使われる。
互いに溶け合わない2物質の混合物(水と樟脳)を熱すると、それぞれ単独に熱せられた時と同じ蒸気圧を示す。それぞれの蒸気圧の和がその時の気圧と等しくなった時に、その両物質は沸騰する。したがって、このような混合液はそれぞれの沸点よりも低い温度で気化する。

[参考文献]「図解実験観察大事典 化学」  長倉三郎 武田一美 監修  (東京書籍)
「化学実験操作法」  緒方章 菰田太郎 新延信吉 共著  (南江堂)
もくじへ