30.プラスチックを知ろう

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[目的]プラスチックをさまざまな方法で分類し、それを原料にした色々なものを作る。
[領域]化学:高分子化合物
1.プラスチックの性質を調べる
[準備]アセトン プラスチック試料(ポリスチレン ポリエチレン ポリ塩化ビニル
ポリプロピレンなど) 酢酸メチルCH3COOCH3 塩化ナトリウムNaCl水溶液
[操作]
1)試料を水中に入れて密度を調べる。浮かんだ試料は酢酸メチルに、沈んだ試料は10%塩化ナトリウム水溶液に入れかき混ぜて、浮き沈みを観察する。
2)試料をつけた銅線を炎に入れて焼き、火からはずして燃えるようすを確かめる。
3)試料をアセトンで溶かしてみる。
[留意点・工夫点]
換気は充分に行う。
液中に入れる際、気泡が付くと試料が浮いてしまうので、よくかき混ぜる。
溶媒の密度
水:1.0
10%食塩水:1.07
酢酸メチル:0.93
試料を焼く際、滴が落ちないようアルミホイル等を敷くとよい。
プラスチックの種類によって燃え方は次のようになる。
素材名ポリエチレンポリエチレンテレフタレートポリ塩化ビニルポリプロピレンポリスチレン
高密度低密度
識別マーク
略号HDPELDPEPETPVCPPPS
用途例ラップフィルム
ポリタンク
ロープ
ポリ袋
フィルムケース
ペットボトル
ビデオテープ
カセットテープ
卵パック
卵パック
水道パイプ
食品用のコンテナ
プリンカップ
洗面器
洗いおけ
魚箱
包装材
バラン
燃え方すすをあげずに滴をたらして燃え、吹き消すとロウの臭いPEと同じだが、振るとすぐに消える炎の中では燃えるが外に出すと消える(自己消火性)銅線と燃やすと、緑色の炎色反応を示すPEと似ているが、吹き消すといやな臭い多量のすすをあげて燃える

2.消しゴムの成分元素を知る
[準備]消しゴム 酸化銅(U)CuO 石灰水 硝酸銀AgNO3水溶液 硝酸HNO3
塩化コバルト紙
[操作]
1)細かくきざんだ消しゴムと酸化銅(U)の粉末を混ぜて入れた試験管を加熱し、反応してできた気体を石灰水に通す。
2)反応後、試験管の口付近についている液体に塩化コバルト紙をつける。
3)試験管が冷えたら純水を加えてろ過し、ろ液に硝酸を加えてから硝酸銀水溶液を加える。
[留意点・工夫点]
石灰水は二酸化炭素で白くにごる。発生している気体は二酸化炭素である。
塩化コバルト紙は水分によって青→赤に変わる。
硝酸銀水溶液で白色沈殿AgClが生じたら、塩素が存在している。

3.プラスチック繊維を作る
[準備]ガラス管 ストロー
[操作]
ストローを熱して引っ張る。
[留意点・工夫点]
先を細くしたガラス管にストローを挿し込んで加熱し、ガラス管からとろけて出てきた ストローを同じ速さでゆっくり引っ張る。ガラス管は試験管ばさみなどで固定しておく。
1本のストローで、細い丈夫な繊維を10mぐらい引き出すことができる。
ストローの代わりに細長く切ったペットボトルでもできる。

4.発泡スチロールを作る
[準備]プラスチックコップ アセトン
[操作]
プラスチックコップの小片にアセトンを加えてつぶし、水蒸気で蒸して密封し冷やす。
[留意点・工夫点]
ポリスチレンのコップを使用する。
つぶす時は手やガラス棒で十分練り、やや固めの飴状になるまで放置する。
蒸した後に密閉してすばやく冷やすと、アセトンが発泡剤となり膨らんで発泡スチロールができる。アスピレーターで吸引してもよい。
密閉する際、練った試料を針金に付けておくと取り出しやすい。
スチロールはかんきつ類に含まれるリモネンで溶ける。リサイクルにもこの方法が使われている。

5.ゴムボールを作る
[準備]酢酸CH3COOH水溶液 ゴムの乳液(ラテックス)
[操作]
水にゴムの乳液をけん濁させて、酢酸水溶液を加えかき混ぜる。かたまってきたら取り出して丸める。
[留意点・工夫点]
酢酸水溶液の代わりに食酢やレモン汁でもよい。
かき混ぜてしばらくすると白いかたまりができて、溶液は透明になる。
かき混ぜている際、ゴム乳液が残っていたら酢酸を追加する。
きちんと球形に丸めると弾性に富んだボールができあがる。
酢酸のにおいがきついのでよく水洗いするか、水酸化ナトリウム水溶液で中和してから水洗いする。
ラテックスはゴムノキの樹皮から取れる白い液で、天然ゴムの原料となるものであるが、合成ラテックスを使用してもよい。
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