26.石鹸と合成洗剤 |
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[目的] | 身近にあるものから石鹸や合成洗剤を作り、石鹸と合成洗剤の性質の違いを比較する。 |
[領域] | 化学:油脂 コロイド |
1. | 石鹸を作る |
[準備] | 原料油脂 水酸化ナトリウムNaOH水溶液 食塩水 | |
[操作] |
原料油脂に、水酸化ナトリウム水溶液を加えて加熱しながらよくかきまぜる(けん化)。飽和食塩水を加えて混ぜ(塩析)、白い固体(石鹸)が浮いたら水分除去する。 |
[留意点・工夫点] | ||
・ | 原料油脂はヒマシ油、オリーブ油、ヤシ油、食用油、廃油、マーガリンなどである。 | |
・ | 強塩基の水酸化ナトリウムの代わりに弱塩基のオルトケイ酸ナトリウムを使用してもよい。 | |
・ | 水と油を溶けやすくするためにエタノールを加えてもよい。その場合、アルコール臭が無くなるまで静かに加熱する。(70℃以上にならないようにする) 激しく加熱するとアルコールに引火する可能性があるので注意する。 | |
・ | 透明度を増すためにはショ糖を加えるとよい。 | |
・ | 水分除去する際、ろ紙でろ過すると時間がかかるので、ガーゼやコーヒーフィルターなどを使うとよい。 | |
・ | 塩析して出来た石鹸は多少黄色味がかっているが、乾燥すると白色になる。 | |
・ | 油脂に水酸化ナトリウムを加えて作るときの反応は次のようになる。 | |
C3H5(OCOR)3 + 3NaOH → C3H5(OH)3 + 3RC00Na | ||
油脂 グリセリン 石鹸(高級脂肪酸のアルカリ塩) |
2. | 合成洗剤を作る |
[準備] | ラウリルアルコール 硫酸H2SO4 炭酸水素ナトリウムNaHCO3 | |
[操作] |
ラウリルアルコールに濃硫酸を加え温浴で溶かした後(エステル化)、さらに炭酸水素ナトリウムを加えてかき混ぜて溶かす。 |
[留意点・工夫点] | ||
・ | 濃硫酸は新しいものを使用し、30〜40℃くらいの温浴でかき混ぜる。温度が高すぎると、できたものが粉末になりにくい。 | |
・ | 炭酸水素ナトリウムが少ないと粉末にならない場合がある。過剰に入れたほうがよい。その場合、pHは8付近になる。 | |
・ | 炭酸水素ナトリウムを加えてかき混ぜると二酸化炭素が発生して膨らむが、冷やすとペースト状になり、室温でさらにかき混ぜると白色のさらさらとした粉末になる。粉末になりにくい場合には氷水で冷やしながらかき混ぜると粉末化が早い。 | |
・ | 油脂臭が気になる場合は、硬度が増してきた段階で香水を加えるとよい。 | |
・ | 反応は次のようになる。 | |
C12H25OH + HO-SO3H → C12H25OSO3H + H2O | ||
ラウリルアルコール 硫酸 ラウリル硫酸(このエステルは強酸) | ||
C12H25OSO3H + NaHCO3 → C12H25SO3Na + H2O + CO2 | ||
ラウリル硫酸ナトリウム |
[全般的な留意点・工夫点] | |||
・ | 石鹸と合成洗剤の比較 | ||
![]() | ・ | 酸性溶液では、弱塩基性である石鹸水の脂肪酸イオンは減少する。そのため極端にあわ立ちが悪くなる。 | |
・ | カルシウムイオンが加えられると、石鹸は水に不溶性の脂肪酸カルシウムをつくるため濁りを増す。合成洗剤では影響を受けない。 | ||
・ | 油と混合した場合、石鹸水と合成洗剤水溶液は共に界面活性剤なので油が均一に乳化して白くにごる。石鹸より合成洗剤のほうが乳化しやすい。放置すると多少分離する。 | ||
・ | 石鹸や合成洗剤の分子は炭素原子が長く連なった部分(親油性)と電荷を帯びた部分(親水性)からなり、水にも油にも溶けやすく、両者をなじませる作用を持つ物質(界面活性剤)として使用されている。 |
[関連実験] | セッケンと合成洗剤 |
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