授業の流れ

学習・教材資料

第6学年 理科(B分類)

 本単元は、今年導入されたGIGAスクール端末とLEGO education SPIKE ベーシックを利用し,てこで体験した手応えや、てこがつり合うときを調べる実験を通して、重いものを小さい力で持ち上げる方法や、てこがつり合うなどの規則性について理解する単元である。 また、小さい力で重いものを動かせるという視点で、身の回りを観察し、さまざまな道具でてこの原理が利用されていることを捉えることができる。 単元の導入と学習の出口では、プログラミング体験を取り入れ主体的な学びを促す。導入では、てこのはたらきに対する知識・技能を身に付けていない段階で、重い物を持ち上げるためにプログラミングを利用する。レゴブロックのつくりやプログラムの工夫によって、 持ち上げたい物(作用点)やモーターへの固定箇所(支点)、つり合わせるための重り(力点)それぞれの距離や重さの関係を体験的、感覚的につかませる。
 これまでに身に付けた知識・技能を活用し、教科としての見方・考え方をプログラミング体験ではたらかせることで、 教科の学びをより確かなものにする。また、プログラミングで動かすモデルは、持ち上げたい物(作用点)が最も遠く、モーターへの固定箇所(支点)までしかない状態を設定し、スタート時は共通の形にする。この状態では、 持ち上げたい物が重くて持ち上げても水平に保つことができない。ここでの試行錯誤によって、力点を近づけたり、作用点を遠くに作ったり重りを付けたりすることや、そのバランスによってモーターのプログラムを変える必要があることから、力点と作用点の関係に気付かせる。また、取り付ける重りの重さを量ったりそれぞれの距離を測ったりすることを促すことで、児童に、教科の見方・考え方をはたらかせ、単元のねらいに迫らせる。
 このような活動を通して、STEAM教育で扱われるような教科横断的な学習活動に取り組ませていく。        

てこのはたらき

配布プリント

〇児童用シート Word   PDF

ソフトウェア・教材等

LEGO education SPIKE ベーシック(1台/4人)

小学校理科のねらい

・荷物台を水平に保つために必要なはたらきをフローチャートで構造化することができる。(資質能力体系表 1ウ②)
・荷物台を動かすプログラムづくりで、作成したプログラムのテストの結果からプログラム内の数値を最適化することができる。
(資質能力体系表 2ウ②)
・チームで協力して、使う人を想定した役に立つプログラムになるように工夫することができる。(資質能力体系表 3ア③i)

学習指導案

【単元の流れ】※( )内の数字は時間数

【本時の学習】(9/10時間)

単元計画

1 単元の課題について知る(1時間)

・プログラミング体験を通して、使用するソフトに慣れ、モーターで持ち上げたものを水平に 保つことができないという課題に気付き、原因を分析する。

2 支点・力点・作用点について知り、重いものを小さな力で持ち上げることができることに気付く。(2時間)

(1)バールでの釘抜きを通して、てこのはたらきを活かせば小さな力でも楽に作業ができることや支点・力点・作用点という用語について知る。
(2)砂袋を棒で持ち上げる実験を通して、支点・力点・作用点の距離と必要な力の関係について整理する。

3 実験を通して、てこの距離や重さの規則性について妥当な考えをつくりだし、表現することができる。(2時間)

(1)実験用てこを使って、左右のおもりの重さや位置を変えながら、てこの規則性を調べる。
(2)実験の結果を考察して、「おもりの重さ×支点からの距離」を使って、左右のつり合いについて考える。

4 身の回りには、てこの規則性を利用した道具があることを理解し、共通点や相違点を考察して自分の考えを表現することができる。(2時間)

(1)てこを利用した道具を探し、支点・力点・作用点がどこにあるかまとめる。
(2)支点・力点・作用点の位置という観点で道具を仲間分けして、共通点や相違点を考える。

5 水平につり合わせるためには、支点・力点・作用点それぞれの距離や重さを工夫することが必要なことに気付き、工夫したモデルを利用して 課題を解決できるようプログラミングすることができる。(3時間)

(1)導入で取り組んだ課題をふり返り、単元で学んだことを活かして課題を解決できるよう計画を立てる。
(2)計画をもとにプログラミングに取り組む。(本時)


学習活動

導入

1 本時のめあてをつかませる。
<レベル1>
・モーターを止めずに水平に3秒間保つ
<レベル2>
・モーターを止めて水平に3秒間保つ

展開1

2 チームで課題解決に取り組む。
<課題解決>
・荷物台のつくり
・プログラミング

展開2

3  センサーを使い、チームで課題解決に取り組む。(発展)
・センサー制御 カラーセンサーによる複数処理
・音、ディスプレイ
・グラフ化による荷物ごとの数の記録

振り返り

4 学習を振り返る。
・本時の振り返りをする。


児童生徒の活動

作成したプログラム・児童の作品

活動の様子

授業後の児童の感想

振り返りワークシートより

・プログラムの工夫は、一回動作したら一回停止するプログラムの工夫をしました。
・音声を入れることで「荷物を運んでください」のように荷物を運ぶタイミングがわかりやすくなったのかもしれないと思いました。
・倉庫で働く人のためということを意識してつくってみたいと思いました。
・色で仕分けができたり、音声が流れればもっと良くなっていくと思いました。さらに、スピードまで変えられると良いです。
・プログラムでグラフとか物によって動く速さとかセンサーとかライトを入れました。役立つプログラムにもグラフとか色々できました。

授業者の声


 本単元は、てこで体験した実験を通して、重いものを小さい力で持ち上げる方法や、てこがつり合うなどの規則性について理解する単元です。児童は制作の中で、「反応の時間」「反応する文字や色」等について、当初の想定と比較し、それが妥当かどうかをグループで検討し、てこが正確にバランスを保つよう何度も取り組む姿が見られました。プログラミング体験を取り入れ、主体的で対話的な学習が行われていました。また、フィジカルな教材を使用することで、理科の見方や考え方が数量的に比較・分析をしており、教科の深い学びにもつながったと実感しています。
 課題は、グループ内でICT端末の活用やフィジカル教材の使用に差があったことです。ICTの活用に消極的な児童は決して活動に参加していないわけではないのですが、全員にICT端末等の使用時間を均一に確保していきたいです。そういった支援により教科の深い学びやプログラミング体験に理解がさらに進むと思われます。
 GIGA端末を活用したまとめ活動は、既習学習を簡単に想起することができ大変有効でした。また、班で撮影した作品のプレゼンテーション動画はいつでも見返すことができ、児童の個別評価にも大いに役立ちました。今後も、GIGA端末を積極的に活用し、児童の情報活用能力を育成していきたいです。

多可町立八千代小学校 市位 真