授業の流れ
学習・教材資料
生活に欠かせない電気やその利用について興味・関心をもって追求する活動を通して、電気の性質を知るとともに働きについて推論する能力を育てる。また、それらについての理解を図り、電気は発電したり蓄えたり他のエネルギーに変換したりできるという見方や考え方をもつことをねらいとしている。また、身の回りには電気により生活を豊かで
便利にしているものが多い。電気の働きを目的に合わせて利用したり、電気を制御したりしている物があることを捉え、効率的に電気が社会で活用されることで生活が豊かになっていることに気づくことができる単元である。
本単元では、理科としての学びを生活と結びつけ、より深く確かなものとするためにLEGO education SPIKE ベーシックを使用したプログラミング体験を取り入れる。
生活の中では、電気はコンピュータによって制御されて利用されることが多い。また、センサーを活用することで、便利で無駄がないように電気を利用している道具もたくさんある。電気をセンサーで制御するプログラミング体験を通して、生活が電気によって支えられていることや、コンピュータが用いられていることに気づくことができる
ものになっている。
小学校理科のねらい
・豆電球やモーターが動作する2つのフローチャートを用いて構造化することができる。(資質能力体系表 1ウ③)
・「電気がつく、消える」や「モーターが回る、止まる」などの2パターンの処理を最適化した上で、それぞれの機能を適切に連動して処理できるようにプログラムする。(資質能力体系表 2イ③)
・プログラミングを通して、より豊かな生活や社会の実現を向けて、自分なりの考えや意欲をもつことができる。(資質能力体系表 3ア③ⅱ)
学習指導案
【単元の流れ】※( )内の数字は時間数
【本時の学習】(9/10時間)
単元計画
1 単元の課題について知る。(計1時間)
・身の回りでどのように電気が使われているか考える活動を通して、生活の中で電気を活用していることを意識し、その電気が発電されたり蓄えられたり していることに気づく。2 手回し発電機や光電池を用いての実験を正しく記録し考察することで、発電に対して妥当な考えを作り出すことができる。(計4時間)
(1)手回し発電機で発電して、豆電球やモーターをつないで器具を観察し記録する。3 コンデンサーと発行ダイオードを用いての実験を正しく記録し考察することで、電気を効率よく利用することについて妥当な考えを作り出すことができる。(計3時間)
(1)手回し発電機でコンデンサーに蓄電し、豆電球と発行ダイオードに電流を流して観察と記録を行う。4 プログラミングによって豆電球やモーターを制御する条件を考えることで、蓄えた限りのある電気の効率的な利用について量的な視点で比較し考えることができる。(計2時間)
※授業案として、豆電球を用いるAパターンとモーターを用いるBパターンが考えられる。学校の実情に合わせて選択あるいは両方を行うことが可能である。学習活動
導入
1 本時のめあてをつかませる。
(1)課題解決の条件と、コンデンサーや電気の変換について既習事項を確認する。
(2)動作タイミングを指示する1分間の動画を流して、センサーを活用しないと1分間動作を続けることができないことを確認させる。
展開1
2 チームで課題解決に取り組む。
(1)コンデンサーへの蓄電量を統一する。
(2)「ON」「OFF」のメッセージを作成させる。
(3)センサーとの最適な距離(cm)を測る。
(4)何度もテストさせ、どれだけ節電ができているか定量的に捉えられるようにする。
(5)順序立ててプログラムを1つずつ確認させる。
展開2
3 自分のみの周りで電気を効率よく利用しているものについて考える。
(1)センサーで電気を制御し、無駄なく利用しているものに気づく。
振り返り
4 学習を振り返る。
(1)本時の振り返りをする。
児童生徒の活動
作成したプログラム・児童の作品
活動の様子
授業後の児童の感想
振り返りワークシートより
・プログラミングはとてもおもしろく、もっと自動で動く物を考えていきたいと思いました。
・プログラミング体験をして、生活を便利にする機能を考えることができて楽しかったです。
・身の回りには、プログラミングされて使用されている物がたくさんあることがわかった。将来、もっと「自動」が使われているかもしれないから、プログラミングの知識が大切だと思いました。
・プログラミングの使い方は無限大だなと思いました。「これがこうだから~」と自分たちでプログラムしていくのが、とても楽しかったです。
授業者の声
「発電と電気の利用」という単元の中で、LEGO education SPIKE ベーシックを用いて「エネルギーの効率的な利用」を学びました。
児童たちは試行錯誤の中で、普段使っている電気についての理解を深めていくことができていました。
児童は、「どのようにすれば、1分間のモーターを動かすことができるのか。」という課題に対して、グループ内で仮説を立て、フローチャートを作り、その通りにプログラムを作っていくがなかなか成功しない、しかし、
何度もグループ内で話し合うことで、フローチャートに沿った正しいプログラムを作成させることができていました。
成果は、単元の理解を深めるために、自ら考えてそれをグループ内で共有し、検討しながらプログラムの調整を行い、グループごとに課題解決まで到達できていたことがあげられます。
それぞれの方法で、「エネルギーの効率的な利用」=「エコ」を実践するに至り、SDGsの理念にも気づくことができていました。
また、手回し発電機を何度も回すことで発電の大変さを知ったり、コンデンサーを見ることで溜まった電気が消費されていく様子を見たりすることで、節電を感覚的に理解することもできました。
そして、普段使用している電気を使った道具が、コンピュータによって制御されることで生活が便利になったり豊かになったりしていることに気づくこともできました。
課題は、「順次処理」「反復処理」「条件処理」に則った見立てや見通しを確実にしていくことです。課題達成の仮説を立て、それを達成させるためには不可欠です。
グループ内での話し合いで、どこをどのようにすればいいのかに気づき、それを論理的にプログラミングすることが確実にできればよかったと思いました。
今後も、プログラミング体験を通して主体的で対話的な深い学びを経験させ、論理的に課題解決に向かう児童を育成していきたいと思います。
多可町立八千代小学校 市位 真