(((平成21年度 研究紀要 第120)))
 

「読解力」をはぐくむ国語科指導に関する研究
PISA型「読解力」向上のための取組に関するアンケート調査をとおして

     義務教育研修課            指導主事 道前 弘志
 

  2003年に実施されたOECDによる「生徒の学習到達度調査」(PISA)の結果において、日本の子どもたちの「読解力」の得点が参加国の平均値程度まで低下しているなどの状況が明らかになった。このことを受け、文部科学省は「読解力向上プログラム」をまとめ、「各学校で求められる改善の具体的な方向」を示した 。しかし、「平成21年度全国学力・学習状況調査」において「資料の情報を根拠にして自分の考えを書く」力が十分でないといった課題が指摘されるなど 、「読解力向上プログラム」で示された課題は必ずしも克服されているとは言えない状況にある。本研究では、こうした背景を受けて、「読解力」をはぐくむ授業実践の取組状況及び実践上の課題等を調べるため、「小・中学校『読解力』をはぐくむ国語科教育指導講座」の受講者に対するアンケート調査を実施した。そこで抽出されたPISA型「読解力」に おける「熟考・評価」の取組に関するいくつかの課題を踏まえて、「熟考・評価」につながるPISA型「読解力」の観点別に即した発問の展開例を具体的に示す。

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     高等学校数学Tにおける二次方程式、二次不等式及び二次関数 の

       学習指導に関する一考察 

学校から高等学校への学習内容の円滑な移行を目指して−   

    高校教育研修課            指導主事 駒田  勝
 

 高校数学Tで最初に学習する内容に方程式と不等式、二次関数がある。二次関数のグラフを描いたり、二次方程式や二次不等式の意味をグラフに関連づけて理解したりするには、因数分解、平方根、二次方程式、関数 y=ax2 のグラフなど幅広い中学校数学の知識が必要である。このため、中学校数学から高等学校数学へ、スムーズな移行が図れず、高等学校入学早々から数学に対して苦手意識を持つ生徒が少なからずいるものと考えられる。 そこで本研究では、二次方程式、二次不等式及び二次関数に焦点をあて、学習者のつまずきとなる原因を探り、中学校から高等学校への数学学習の円滑な移行を図るための、二次方程式、二次不等式及び二次関数の学習指導について考察する。 具体的には、質問紙法により、学習者がどのようなところでつまずくのかを調査分析し、学習者が抱える課題を明確にする。更に、課題を解消するための方策を示すことで、学習指導の一助とする。

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科学的な思考力を育む観察・実験の在り方に関する研究  
観察・実験のまとめ方を中心に

     高校教育研修課            指導主事 千家 弘行
 

  生徒に科学的な思考力を育む理科教育の在り方については、これまで多くの議論がなされている。中央教育審議会の答申「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善について」においても、思考力・判断力・表現力の育成の重要性が述べられている。そして、学校現場においても、知識伝授型の授業から、観察・実験などの体験的、課題解決的な学習活動を行うことの必要性が説かれている。しかし、実験計画書の手順にそって、既知の結果を確かめる実験は、実験を行うことそのものが目的となってしまい、実験の結果・データから何を導き出すかという思考力を要する学習活動に結びつかないという課題が指摘されている 。そこで本研究では、科学的な思考力を育成するために、実験手順や結果の確認よりも結果をグラフや表に整理し、考察し、発表する学習活動を重視した観察・実験の授業の重要性について述べる。さらに、それに関する教授支援方略を検討することを目的とした授業計画の提案を行う。

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学校間の連携を生かした産業教育の新たなシステムづくりに向けて
−教育情報ネットワークを活用した学校相互の連携による産業教育の新たなシステムを目指して−

                             情報教育研修課

主任指導主事兼課長  

 難波 宏司
 

          指導主事

 米谷   繁
 

         指導主事

 岩井 高士

 産業教育を行う高等学校の専門学科(農業科・工業科・商業科・水産科・家庭科)では、実践的な職業人育成のため、地域や企業などとの連携を深める教育実践を行っている。その連携先を見てみると、企業や大学との連携や地域や幼稚園、小中学校との連携であり、専門高校同士での連携は余り実施されていない状況にある。そこで、さらに職業的な責任感や連帯感を高め、より「実践的な職業人育成」を目指し、専門高校(学科)間で連携しての教育実践を考えた。当所で実施している平成21年度一般研修講座「学校間の連携を生かした専門教育体験講座」の中で、その意義や方法についての研修を行ったところ、教育情報ネットワークを活用して、11例の学校(学科)間連携での教育実践が行われた。本論では、この活動を紹介し、その効果と発展の方向について考察する。

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  緊急時におけるネットワークを活用した学校情報発信・収集の方法について       

−新型インフルエンザ流行時の学校・家庭間の情報伝達の実際をとおして−

                             情報教育研修課

主任指導主事兼課長  

 難波 宏司
 

     主任指導主事

 河合 良成
 

        指導主事

 坂本 泰三
 

         指導主事

 三原 智雄

 平成21年4月、海外で確認された新型インフルエンザ感染は 、すぐさま世界各地に広がりを見せ、5月には本県での発生が確認される事態となった。その際、兵庫県下全ての学校が一斉に臨時休業することになり、学校側が個々の生徒の体調を把握したり、刻一刻と変化する詳細な情報を早急に伝えたりする必要性に迫られるなど、従来からの学級連絡網を活用した情報伝達の方法のみでは間に合わない状況に陥り、県内の各学校では生徒・保護者への連絡や、健康状態の確認に苦心した。いくつかの学校では、ネットワークを利用した連絡方法を試みており、その詳細は、緊急時であったため、学校により様々であった。本研究は、在籍生徒の居住地域が広域のため、困難が予想される高等学校の情報伝達の在り方に焦点を当て、ネットワークを活用した、緊急時における学校・家庭間の連絡方法や、発信・収集する情報の内容について、県下の高校が実際に試みた事例の検証を行い、効果的な情報伝達の在り方について提案を行う。  

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「小学校外国語活動」における教員の指導力向上に関する研究(中間報告)  

−教員の意識調査にもとづいた指導力向上プログラムの開発−     

教務部 部長 水田 時男    
企画調査課 課長  浅井 憲一     指導主事 稲次 一彦
義務教育研修課 課長  越川 昌信     指導主事 行本 健一
          指導主事 早瀬 幸二
高校教育研修課 課長 長谷川 宏  主任指導主事 高橋 信之
情報教育研修課 課長 難波 宏司     指導主事  三原 智雄

  平成18年3月に小学校の新学習指導要領が告示され 、小学校第5学年及び第6学年に「外国語活動」が導入されることとなった。昭和61年4月の臨時教育審議会「教育改革に関する第二次答申」の中で、小学校における「外国語活動」の導入が示唆されてから現在まで約20年の間に、総合的な学習の時間を中心に全国の小学校で「英語活動」が取り入れられた。文部科学省が実施した平成19年度小学校英語活動実施状況調査によると、97.1%の学校が何らかの形で「英語活動」を実施している。しかし、年間実施時間については、70時間を超える学校から10時間を下回る学校まで現状は様々であり、外国語の教授法について専門的な教育を受けていない多くの小学校教員にとっては、とまどいや不安も多いと考えられる 。

 本研究は、以上のような状況を踏まえ 、小学校教員の「外国語活動」に対する不安等の意識を調査し、その分析結果をもとにした指導力向上プログラムを開発することを目的とする。本年度は、意識調査の結果や「平成21年度 コミュニケーション能力の素地を養う外国語活動研究講座」の分析を行い、指導力向上プログラムの策定に向けて「平成22年度 外国語活動実践研修講座」の講座内容に反映する。

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