風の錬金術師「ティア」

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風の錬金術師「ティア」

「四十」さすがに私も驚く。

「ですがやつらは、いつも洞窟の中にいるので、洞窟さえ塞げばなんとかなるかも・・・。」

なるほど・・・ならば望みは出てきた、時間さえあればなんとかなりそうだ。だが・・・。

「ところで錬金術士様・・・解毒剤はお持ちでないでしょうか？」

「はい？」

聞くところによると、男の子の一人が村の近くにあった変な草を食べて毒が回ってしまったらしい。

毒の種類はスズランだから、場所と道具さえあれば薬は多分作れるのだが・・・。

「とにかく、獣を倒さないと薬は作れないので、さっきの男性の方、手伝ってもらえますか？」

「え？」

荒れていた・・・村の畑はそれは無残な物だった。

農作物は存在せず、畑は踏みにじられ。そして狼がのうのうと歩いていた。

そして、その八匹の狼の向こうに見えるぽかりと口を空ける大きな洞窟。

「じゃあ・・・ロウさんはこれを走って洞窟に投げ入れてきてください。」

そういって私を連れてきた男性・ロウさんに丸い物体を渡す。

「あのぅ・・・これは？」

「爆弾です、着火しましたから後２０秒くらいで爆発しますよ。」

「なぁぁぁ」

さすがにロウさん大慌て、さらに。

「私、実は見習い錬金術士でありながら、爆薬だけがもう、めーちゃくちゃ得意なんですよ！」

わざと含み笑いをしながら真実を述べる。

青ざめた顔のロウさん、まるで私から逃げるように洞窟へ走り始めた。

もちろん私も手持ちの爆弾にマッチで火を着ける。

こちらは試験用だから導火線は短く１５秒程で爆発するはず・・・だから私も走る。

狼は最初ロウさんに気がいったが、近寄ってくる私の方に気が付いて迫ってきた。

９・・・８・・・７・・・・

カウントダウンしながら狼を睨みつける・・・すっごい怖い。

「ギャウギャウギャウ！」・・・・・・・・・あーもう怖い！

迫りくる狼の方へ適当に爆薬を投げ込む。

すると爆弾は見事、狼の群れのド真ん中で大爆発する、どうやらカウントダウンがずれていたようだ。

そして、爆煙が晴れるまでに遠くの方でもまた爆音が響く。ロウさんのも爆発したのだ。

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