キチジローがどのような死を迎えるのか。
そのときどんな結論に達しているのか。
一生涯をかけてこの問題に取り組むことを自らに課した
作者の誓いのような気がしてなりません。
内面に問いかけ、常に真理を欲し、外界に感性を広げてゆく。
この精神こそ私の琴線に触れたものなのです。
長い間この本を避けていたのも、自分に挑んだ作者の勇姿に、
今に安住する私の憶病さを突きつけられるのが怖かったからでしょう。
しかし結果としてその生き方は私をこんなにも占領してしまいました。
作者の選んだこの道が、私の前にも広がっていたのです。
私にも、一生涯をかけて追い求められるものがみつかれば、と思います。
26回生2年 Kさん