沈黙が語るもの――遠藤周作「沈黙」を読んで――
なぜキチジローを救わないのか。

自分が得た神の真意をどうして話してやらないのか。

私は最後でとうとう司祭がわからなくなりました。

もし目の前に司祭がいたなら問い詰めたでしょう。

その神の声に一体あなたは何を得たのかと。

そしてなぜそれをキチジローにも伝えてやらないのかと。

こんなにもあなたを慕い、畏れ、救いを求めてすがりつく彼なのに。

納得いきませんでした。

一人の人間も救えない、いや救おうとしない者が司祭なのか。

それどころか、一人の人間すら救えない神が、本当に神なのか。

神とは?宗教とは?救いとは?

――やっぱり読まなきゃよかった。それが正直な最初の感想です。

この本は私に山のような疑問を押しつけ、

混乱のまま自己満足のラストで終わり、私を置いてきぼりにしてしまった。

とどのつまりが信徒の書いた本なのだ。最初はそんな落胆があったのです。
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