兄の承諾を得て『晴れやかに、さもうれしそうになった』弟の目は、

しかし喜助には残酷だと思います。

高瀬舟で喜助は庄兵衛に問われ、

恐ろしいこと、不思議でしかたがない、

夢中でしたと答えます。

が、後悔しているとは絶対に言いません。

むしろ遠島先での暮らしが楽しみだとさえ言うのです。

鴎外自身、喜助になっていたかもしれないのです。

これは鴎外の安楽死に対する答えなのではないでしょうか。

 今回再び読み返してみて、

この問題が至極現代的であることに驚きました。

同時に自身の問題として捉えている自分にも驚きました。

医学が進歩した現代こそ、

鴎外が提起したこの問題を吟味する必要があります。

私はもう一度、死について考えてみようと思いました。


                             26回生1年 Kさん
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