コシアカツバメ 07.08.07



お知らせ

サーバーシステム更新のため、8月第3週の“自然のページ”はお休みをさせていただきます。
次回の“自然のページ”の更新は、8月21日(火)の予定です。どうぞお楽しみに。

赤いパンツをはいたツバメ



 南但馬自然学校の周辺で見られるツバメは、ツバメ(普通のツバメ)、イワツバメ、コシアカツバメの3種類です。今週の「自然のページ」は当地で“つばくろ”と呼ばれ親しまれているコシアカツバメのお話をしたいと思います。
 コシアカツバメの一番の特徴は空を飛ぶときによく目立つ赤いパンツをはいているように見えるオレンジ色の腰です。大きさはツバメと比べて一回り大きな身体をしています。身体が大きいせいか、身のこなしや空を飛ぶ姿はツバメよりもどこかのんびりしています。のんびりしているのは動作だけではありません。ツバメたちのヒナはとっくに巣立しているこの8月に、コシアカツバメの中には今頃になって巣作りをしているペアもいるほどです。実はこれには訳があります。ツバメもコシアカツバメも渡り鳥ですが、日本にやってくる時期にかなりの違いがあります。ツバメは早い年では2月下旬に姿を見せますが、コシアカツバメはそれよりずっと後になって渡ってきます。ちなみに今年の南但馬自然学校周辺での初認日は5月19日でした。

 それでは、コシアカツバメの巣作りの様子を少しのぞいてみましょう。この天井にくっついているのが工事中のコシアカツバメの巣です。材料はツバメと同じで土でできていますが、形はずいぶん違います。ツバメのおわん型に対し、コシアカツバメの巣はとっくりを縦割りにしたような形をしています。
 工事中の巣では内側から土玉を少しずつ盛りつけていく地道な作業をしています。そこへペアの1羽が帰ってきました。するとこれまで巣の中で工事をしていたものが外へ飛び出し入れ替わります。観察しているとこの行動を何度も何度も繰り返します。「なぜ2羽で巣作りをしないのだろう?」当初は不思議に思いましたが謎はすぐに解けました。巣も完成間近になり、狭いとっくりの首の部分にさしかかると、きっと2羽では手狭なんでしょう。ほらこんなに窮屈です

 巣材の土は田んぼや砂地から運んできます。巣材の調達場所を見つけると、コシアカツバメをじっくり観察できるチャンスです。ここには数羽のコシアカツバメが代わる代わるやって来ては、あちらでもこちらでも土採りに精を出しています。口からこぼれそうなほど土をくわえると巣に向けて飛び出していきます
 土採りをしているコシアカツバメを間近で見ていると、そのスタイルや色に惚れ惚れしてしまいます。黒い羽の奥からにじみ出るように光る藍色。細くどこまでも伸びる尾羽。ピンと胸を張ると前に突き出す肩の羽。長い時間をかけて飛ぶために特化したフォルムです。
 どうですか、みなさんもコシアカツバメに会いたくなってきませんか。彼らに出会うには巣をかけている所に行くのが一番です。コシアカツバメの巣は一般の民家より、学校や倉庫、病院や市役所などのコンクリートでできた建物に多く見られます。とっくり型の巣を見つけたらしめたもの。しばらく待つときっと赤いパンツをはいたツバメに出会えますよ。
 
文責 増田 克也

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